マイコン製作にはまる
はじめに
記念すべき最初の記事です。備忘録のつもりでこれまでずっと書き溜めた記録があります。これを公開するのが一番手っ取り早いのですが、今読み返してみるとちょっと冗長すぎる感じがします。 ただ、今までの経験を言えば、他の人が困っている状況を知ることは大変自分にとって参考になりました。「みんな同じ苦労をしているんだ」と思うと、とても励みになるのです。恥を忍んで少しづつご紹介していきたいと思います。
10/20/2007
マイコン製作にはまる
株式の低迷で手持ち無沙汰になり、GPSロガーとか、長年の懸案だった自記温度計の自作などの資料を散策していたら、たまたまAtmel社のAVRワンチップマイコンを知った。ワンチップマイコンはMicroChip社のPICマイコンが有名で、私も5年ほど前、参考書を買って少し調べたことがある。レジスターの数が少なく余り好きになれないアーキテクチャーで、プログラムをロードするのにライターが必要だったりして実際にものを手に入れて実験するところまでは行かなかった。
それに、本屋の電子工作の参考書や秋月などのショップに行っても、PICばっかりで生来のへそ曲がりが出て嫌気がさしていたところに、AVRの発見である。PICがインテルならAVRはモトローラというWebの情報も気に入った。その気になれば今はいくらでもWebから情報だけでなくソフトも手に入る。
先週あたりからWebで調べ始めて、どんどん熱が上がり、遂に今週の火曜、久しぶりに秋葉原を訪ねた。当然のように千石電商で部品を調達する。秋月には、ご時世だろう団塊の世代の元ラジオ少年らしい年配者でごったがえしているが、千石は玄人向けなのですいていて助かる。ただ、ここでは私も素人の方に入るので店員との応対は気を遣う。 2Fの半導体の売り場の兄ちゃんに「Atmelのマイコンチップは...」と恐る恐る聞くとと「うちはAtmelおいてません!」と剣もほろろの返事である。代理店か何かの事情があるのか。AtmelはEEPROMでは有名な会社なんだけどな、とひとりごち。
仕方なく、秋月によってチップを手に入れる。一ヶ¥280。肩の抜ける値段である。DIPソケットのATmega8あたりが欲しかったのだが、この店は何故か、megaシリーズはQFPなどという0.8ミリピッチの表面実装の石しか置いていない。あんなもの顕微鏡でもなければ自作で半田付けはできない。仕方なくTinyシリーズのATtiny26で我慢する。まあ、最初なのだからあまり背伸びはやめよう。
車を走らせて家路に急ぐ。久しぶりの高揚感がある。家に帰り、半田ごてを出し、部品棚をかきまわし製作の準備をする。夕食もそこそこに地下の部屋にこもってWebから集めた資料を元に実体配線図を描き、まずISPシリアルライター(PCとターゲットマシンを接続するところ)の製作。これは暫く使うので、小さいユニバーサルボードで組んでいく。WebにはAVRマイコンの自作記が数多くあり、情報には困らない。UEW(ウレタン)線というのもここで初めて知った。
DSUBコネクターを無理やりボードに固定するのに時間がかかり、夜中も2時を過ぎたので4箇所くらいの半田付けを終わったところでやめる。前に電話回線の着呼でPCを立ち上げるアダプターをTTLで作ったときより楽だが、線が細くもう拡大レンズなしにはきれいな仕上げはできない。
次の日は飲み会で夜がつぶれたので、工作を再開したのは木曜である。家内を吉祥寺に送って帰ってきた昼前から夕方まで工作に没頭し、ほぼ出来上がった。ターゲットマシンができないと通線テストもできないので、こちらはブレッドボードでLEDを点ける簡単なしかけをつくる。ブレッドボードは結構便利であることにあらためて気づいた。AVRstudioというAtmel社提供の開発環境をダウンロードし(いや高速回線にしておいてよかった)、早速テストに入る。もう夜中を過ぎているが、こんな面白いことをやめるわけにはいかない。
悪い予感はあたって、接続しても全く何の反応もない。そんな機械はありませんとにべないメッセージである。通信が絡むシステムのデバッグが一番難物だ。すべての要素が完全に動いて、やっと結果が出てくるAll or Nothingの世界なので、分析ツールがととのっていないと手がつけられないのである。
そうも言っていられないので、少しづつ調べ始める。Webをよく読んでみたら、このISPアダプターは、AVRstudioという開発環境ではサポートされていないことが判明。あわててフリーソフトのAVRspを落として動かしてみるが結果は同じ。これでこの日はあきらめる。
金曜日。家内が決算の申告をするというので、アッシーを引き受け、ついでに秋葉原に再度寄ることにする。「松屋でそばを食おう」という惹句で決まり。ドライヤーで熱収縮チューブを熱したとき誤ってICを壊した可能性も捨て切れなかったのでその補充を買っておきたかったのだ。夕方から再開するが、ICを換えてもだめ、ターゲットマシンの配線をあれこれ換えてみるも変化なし。シリアルのクロスケーブル指定のピン接続がどうも腑に落ちないので、もういちど参考書にあたって確認するが、ちゃんと合っている。このchaN氏は相当の技術レベルの人だ。
テスター代わりのLEDを回路につけ、PC側の接続ソフトを動かすと、一瞬ターゲットマシンの入力線で光るのを確認し少し安心するが、これ以上のことはわからない。ケーブルが少し長すぎるも気になるが、この程度で動かないと言うことはないだろう。結局、この日は、古いテスターのボリュームを取り替えたり(シャフトが足らなくて仮止め)、開発環境を調べたりして、時間をすごす。それでも寝たのは3時。
土曜日。フルートの練習をやって、工作の再開。重なるときは重なるもので、手の中に入ってしまうGPSロガーがこの日届き、これも触りたいのだが我慢する。もういちど、初手から、ISPアダプターのチェックを、昨日買ったマルチメーターの導通テストモードでひとつひとつ調べ始めた。DSUBピンと、抵抗のところは「接続されている」、その配線は途中、別のピンを経由してそこも接続されているの
だが、念のため、そのピンにプローブをあてると「導通していない」! 何と言うことだ。ウレタ
ン線が被覆をつけたまま半田付けされていたのだ。ピンに線を一回まわして、その上から半田が乗っているので外見上からは完全につながっているように見える。試しに線を引っ張ってもビクともしない。
あわてて半田付けをしなおし、午後4時。製作を開始して3日半目にやっとブレッドボードのATtiny26マイコンはLEDの点滅を始めた。開発時間は、初日6時間、2日目12時間、3日目8時間4日目3時間というところか。いや久しぶりに、解決したときのあのぞくぞくする気持ちを経験した。ほんとに安い娯楽である。このあとは正直言って、今までの自分の得意分野(ソフトウエア)に入る。サーミスターも買ってある。EEPROMを足せば不揮発メモリは200バイト以上あるTiny26なので、温度ロガーはこれだけで作れそうである。
今回の功労者:
秋月の¥2100のマルチメーター
(導通テストモードは助かった。これがあったので導通テストまでやる気になった)
ブレッドボード
(はじめよく使い方がわからなかったが、これは便利だ)
chaN氏のWebページ、kumanさんのAVR試行記
(そもそものライターは彼のオリジナル。またkuman氏の懇切丁寧な試行錯誤の報告がとても力になった。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。)
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