雑誌付録の32ビットプロセッサー
32ビットARMプロセッサーの登場(6/20/08)
書店でふと手に取った雑誌(デザインウエーブ)にSDカードに動画を記録する特集が出ていた。将来的にはこの方向に行きたいと思っていたので、買って読んでみたら、記事で使っているプロセッサーが、数ヶ月前、この雑誌の付録についていた32ビットのプロセッサー(ARMのCortexM3)であることを知った。Wiiで有名になった加速度センサーもついた基板が付録になっていて、\2,480だと言う。フラッシュは128Kだが、クロックは76MHzの高性能チップだ。
目の前のプロジェクトがうまく進まないときに限って別のものに手を出す悪い癖がある。立て続けにAVRチップ2つを壊したとき、衝動買いした16ビットのH8ですらまだまともに使っていない。狙っていた漢字フォントが8×8では使い物にならないかも知れないと気分が落ち込んでいるときにこれである。 これ以上、間口を広げてどうするという理性も強いが、欲しいなと思ったらなかなかそれをとめることが出来ない。
値段の安さもさることながら、こういうものは単品ではこの機会を逃したら、恐らくアマチュアには絶対手に入らないものだと、自分に言い聞かせ、仕事の次の休みの日、車を駆って新宿の紀伊国屋に付録のついているバックナンバーを探しに行った。本店の方が、技術系の本の種類が豊富だ。店員に聞いたら即座に10冊以上並んだバックナンバー(2008年5月号)の棚を教えてくれた。
なんだ、慌てて来なくてもまだ沢山在庫がありそうだ。2冊買うのはさすがにやめる。帰って早速、CDROMより少し厚いボール紙の綴じ込みから取り出し、USBケーブルを取り付ける。ターミナルソフトを起動させて雑誌の指示通り、*を入れると、おお、LEDが点き、加速度センサーの数値が出た。蛙が跳ぶソフトもセキュリティの解除(何故自分のところでアプリを動かすのにこんなにうるさいのか)に手間取ったが、ちゃんと蛙も跳んだ。
買ってあったSDカードソケットは残念ながらヒロセのでなくこの基板には合わなかったが、これで秋葉に行く用事が出来た。ひとわたり触ってみて少し感慨にふける。このあいだから調べているFPGAと云い、がた老研究所も8ビットから始まっていよいよ組み込み系の先端のところまで辿りついた感じがする。雑誌の付録ごときで大げさと言えば大げさだが、とりあえずは2軍のファームから、1軍のキャンプに参加を許された選手の心境であろうか。
JTAGとかバウンダリスキャンとかFPGAだのVerilogなどの最近技術とは全く無縁の世界から、少し関連するレベルに達したということだ。FPGAで往年のパソコン全部のロジックを組み、動かしたと言う記事を見つけて素直に嬉しくなる。そうか、こういうことが可能になる時代なのだ。今まで、大資本下のハードの技術者に独占されてきたハードウエアがアマチュアの手に戻ってくる時代が来る予感がする。
ただ、雑誌の記事にでていたミックスドオシロスコープの値段が80万と知って少し暗くなる。まあ、メーカーには数百、数千万円する測定器はごろごろしているからな。一万円のロジアナで感激しているなんて可愛いもんだ。
ハード工作は順調(6/24/08)
昨日久しぶりに秋葉原に出かけ、通り魔事件の現場を遠目にみながら必要な部品を買い集めた。まず、雑誌付録のSTM32F基板につけるSDカードソケットをラジオデパートの西川電子で求める。生意気な店員で、いきなりソケットを差し出すので型番を確かめて付録の基板に合うものか問うたが、はっきり答えない。末尾の番号が合っていたので「これだと思う。何種類もあるからね」と言ったら、「何十種類もあります」とのたまわった。喧嘩しても始まらないので無視して次の店へ急ぐ。
次の目的は、Mega128とSDカードソケットをブレッドボードから正式な基板に組むときの3Vロジック(SDカード)と5Vロジック(AVR)を接続するバッファーICだ。手持ちの74HC126は5Vトラレントでなく、3VのVccより高い入力電圧では、出力がVccを超えてICがこわれる可能性があるし、そもそも3.6Vが限界のSDカードに4V近い電圧がかかるのはさすがにまずい。Webの情報で、74VHCシリーズがこういうためのものらしいので千石に寄る。秋月の品揃えには癖があり、こうした汎用ICは置いていない(その後、秋月で同種のバッファーを見つけた。5ヶで¥100!失礼しました)。
しかし、千石でもVHCシリーズはあるものの目的のVHC126はなかった。頼みの鈴商は定休日。隣のマルツを試しに覗いてみると、あった。マルツもなかなかの品揃えで感心する。\168と少々高いが(あとでWebで調べたら通販のサトー電気では半値の\84)、感心した勢いで2つも買ってしまった。VHC シリーズはDIPではなく、表面実装の1.27ピッチのSOPだが、もうひるむ必要はない。変換基板という強い味方がいる。かねて調べてあったダイセン工業の安い変換基板が千石で売り出したのを知っていたので、再び千石に戻り、5枚組で\500のSOP変換基板を入手した。
こいつは一枚の単価が100円の上に、表が1.27ミリ、裏が0.65ミリピッチでどちらか16ピンのSOPチップがつけられ、このあいだ買ったアイテムラボのSOP28ピンの変換基板より汎用性が高い。ついでにUARTの高速化のため、7.3728MHzという周波数の水晶発信子を買おうと思ったら、ケースの中は空っぽで品切れ。仕方なくこの倍の14.76MHzの石にする。UARTは高速になるとボーレートの倍数にあたる半端な周波数の発信子でないと誤差が出てつながらないのである。AVRでVccが3Vでも動く10MHz以下が欲しかったのだがやむを得ない。
全部合わせて2000円もしない買い物だけれど、目的のものがほぼ揃い、充実した気分で家路に着く。帰ってから早速久しぶりのハード工作を楽しんだ。まず付録のCPU基板にSDカードソケットと20Pのピンヘッダーをつける。大分基板らしくなる。アイテムラボから送料単価減少のため1000ピンも買ったピンヘッダーが活躍する。何と言っても1ピンあたりたったの1円50銭、80ピンつけても\120である。次にSOP変換基板にチップをつける。このあいだの0.65ミリに比べれば、1.27ミリは鼻歌まじりでつけられる大きさである。この基板にもピンヘッダーをとりつけこれでブレッドボードへの対応がすんだ。
いや、気分が良い。Webをみてみたら、私と全く同じダイセン工業の基板を使っている人がいて苦笑する。調子に乗って14.76MHzのUARTのテストもやった。3Vベースなので心配したが、115Kbpsも、230Kbpsも簡単に動いた。いや早いの何の、ターミナル(TeraTerm)の画面一杯のデータが一瞬で表示される。満足、満足である。
74VHC126のバッファーもピンをつけて動かしてみる。ブレッドボードのスペースがもう残り少なく、少し離れてつけたため、ジャンパーコードがうず高く盛り上がってしまったが、問題なく動いた。電圧を測ってみた、ところが3.3Vでなく、まだ3.5Vを超えている。何故だ。良く分からない。最大定格の3.6V以内とはいえ気持ちが悪い。ひとつひとつ配線を抜いて原因を調べているうち、いつのまにか、3.26Vという元の電源電圧に戻った。???である。発振でもしていたのだろうか。そういえばこの石にパスコンはつけていない。とりあえずコンデンサをつけて様子を見ることにする。
やれやれ、最後に少しみそをつけてしまったけれど、ここ数日の作業は怖いくらいに順調である。
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