« 雑誌付録のイーサネットマイコン | トップページ | 気分転換にH8/3069Fに挑戦 »

2008年9月 9日 (火)

がた老AVR研、音響研究へ

秋月のボイスレコーダキット(8/3/08)
 イーサネットマイコンも無事動いてがた老AVR研究所の懸案はとりあえず片付いた。しかし、AVRのマイコン以外に、種類の違うマイコンが4つも揃ってしまった。小さいほうからあげるとUSBインタフェースのついたNECの78K0(8ビット)、イーサネットのついたフリースケールのMCF52233(16ビット)、USBとSDソケットのついたARMのSTM32F103(32ビット)の3つでいずれも雑誌の付録基板である。これに秋月のH8/3069FのLAN基板もあるのでAVRを合わせれば計5つになる。これに加えて雑誌の付録基板には、25 万ゲートのFPGAもある。もう何が何やら分からない状態である。

 FPGAだってあれから全く進んでいない。少しまともな本を買って勉強しようとは思うが、適当なターゲットが見つからない。今さらシフトレジスタやタイマーを作ってみても応用先がないし面白くない。といって、いきなりVGAのインタフェースを作るのは少し無謀すぎる。

 で、いま少し食指を動かしているのがビデオよりもう少しやさしいデジタルオーディオへの応用である。オーディオDACは安くて実用的なチップがあるので、FPGAをFIFOバッファーにして、SDカードからのWAVデータを連続再生してみようと考えた。SDカードのアクセスとデジタル再生はサンプリング周波数が低ければ、1CPUで何とかできそうだが、少しまともな音にするにはDACチップなどの専用ICが必要でそれもバッファーがないと危ないはずである。

 ということもあって、このあいだ秋月に寄ったとき、1分間録音再生できるボイスレコーダーキット(¥1000)を面白がって買ってきた。小さなブレッドボードがついており、これが他に役に立ちそうで欲しくなったということと、今どきの電子工作のデジタルオーディオのレベルを知っておきたかったというのもある。

 イーサネットマイコンが動いて手が空いたので、袋から取り出し組み立ててみることにした。ブレッドボードなので小一時間の作業で完成する。ただブレッドボードの大きさに比べて部品数が多く結構ギリギリのサイズである。0オームという抵抗を使うのは止め、ジャンパー線にしたのでだいぶすっきりした。このキットには録音、再生を切り替えるスイッチが入っていない。ジャンパーピンで切り替えるようになっている。いくらなんでも操作性が悪いのでスイッチをつけたす。Pict0710

 1分ではなく30秒のハイクオリティにする。あとで調べたらハイクオリティといっても8KHzのサンプリングなので多くは望めない。動かしてみた。おお、ちゃんと音声が録音される。しかし、サンプリングノイズ(ホワイトノイズ)が大きく、音声は聞き取れるが、昔のSPレコードより音質は悪い。明瞭度からいえば昔の黒電話くらいだろうか、少しがっかりした。やっぱり最低でも16KHzくらいのサンプリングは必須のようだ。ただ、音声を最大8つのブロックにわけてそれぞれ外から制御できるので、ロボットなどに喋らせるのには使えそうだ。

 そんなこともあって、今、オーディオ関係の整備が忙しい。実は我が家には、MIDIの設備が一応揃っていて、昔の定番音源ローランドのSC88がPC机の棚の上に乗っていたりする。楽譜を自動的に読み取るソフトはバージョンアップを繰り返して最新版がインストールされている。最近の読み取りソフトの性能は向上し、ピアノ用の大譜あたりだと90%以上の認識率がある。一時はソフトシンセの世界に入りかけたが、何十万円もするウイーンフィルの音源を使った実演奏顔負けの演奏データを、ウェブのMP3データで聞かされ、あまりの奥の深さに恐れをなし、先に進むのを思いとどまった。

久しぶりにMIDIを聞いてみようと思ってSC88に火を入れてみた。そう言えばこのMIDIデバイスは昨年の秋以来、AVRのシリアルライターにCOMポートをとられて孤島になっている。COMポートをAVRライターからこいつに切り替える。と、これが動かないのである。あちこち調べるがPC側のドライバーは正常のようだ。暫く動かすうち、SC88からのアナログ出力は無事出るようになった。しかしMIDI入力がSC88に入っていかない。SC88へのシリアルケーブルは自作である。これは10年以上前、MacからDOS/VにMIDI環境を換えたときに作ったもので資料など残ってない。

 動かないとなると気になって他のものが手につかない悪い癖が出る。マイコンそっちのけで調べ始めた。ケーブルを分解して調べようと思ったとき、はっと気がついた。シリアルケーブルはこのあいだH8マイコンと接続するためクロスケーブルをストレートに換え、AVRのシリアルライターも配線換えしてある。これだ。あわてて自前のストレート・クロス変換コネクタを間につける。しかし、動かない。

 こうなったらケーブルを疑うしかない。まずDSUBソケットを分解して配線を確かめる。おお、あたりだ。CTSとRTSをつないでディバイスをReadyにみせかけるジャンパー線が浮いている。しっかり半田付けをしなおしてつなぐ。しかし、それでも動かない。うーむ、あとはDINソケットのほうの配線だが、これはネジ止めでないので現状を留めたままもういちど開けるのは至難の業である。

 思いあぐねて、シリアルMIDIケーブルのDSUBソケットを見るともなく見ていたら、ソケットがメスだということに気がついた。待てよ。以前使っていたクロスケーブルは両方ともメスだった。ということはこのシリアルMIDIケーブルはこのケーブル経由でつけていない。直接PCのコネクタに接続していたのだ。うはあ、クロスではなかった。さっきのストレートクロス変換コネクタをはずす。音が鳴った。やれやれ。やっぱり断線が音の出ない原因だった。半日がかりのMIDI騒ぎはこれでやっと落着した。

デジタルオーディオも奥が深い(8/6/08)
 今月中に仕事で作らなければならない提案書があるのだが、なかなか具体的に書き出せないでいる。現実逃避で工作を始めたら収拾がつかなくなる危険があるので工作には手を出していないが、相変わらずウェブの検索は、いつのまにかマイコン関係になってしまう。

 いや、それにしてもオーディオの世界も奥が深い。このあいだの¥1000のボイスレコーダーとは違う少しまともなDACを調べ始めると、あとからあとから情報が出てくるのに驚く。ここはもはや電子工作の世界ではなくハイエンドのオーディオマニアの世界であることがわかる。市販のデコーダーに飽き足らない人が、どこで手に入れるのか知らないが多種多様のDACチップとオペアンプでいわゆるSACD(スーパーオーディオCD)などの再生に挑戦している。

 デジタルはチップの性能で殆どが決まるからアマチュアの参入障壁が低いのだろう。昔と変わらないオーディオ自作マニアが元気だ。こちらも独身時代は少しオーディオに凝っていたから、つい道草をして、スピーカーケーブルで本当に音が良くなるのかといった昔からの論争など、本来の目的とかけ離れた記事を読みふけって中々先に進まない。 最近流行の真空管アンプなどは間違いなくこうしたハイアマチュアの努力というか執念が実ったものだろう。

 Windowsのサウンドレコーダーが自由にサンプリング周波数を変えられることを知って、早速試してみた。ウェブには情報が溢れているが、一般的な音質とサンプリング周波数、データビット長の対応を明確にしているところが意外に少ない。自分で確かめるのが一番だ。最近のPCは音源にはことかかない。色々な音で試してみた。その結果、サンプリングが10khzではやはり全く駄目で、せめて15k、データサイズも8ビットではノイズが乗ってまともな音にならないことがわかった。

 今求めているのは、Webで遠隔地からの指示で何らかの音を発生させる仕掛けを作ろうとしているので、それほどの音質は求めていない。と言って我が家でしゃべる電化製品のひとつである風呂の自動湯沸し装置の女性の声くらい(AM放送より良くてFM放送まで行かない)は欲しいところだ。

 とすると、サンプリング20Khz、データサイズ16ビット(AMとFMの中間)というところなのだが、これが微妙な仕様なのである。AVRは16ビットのPWMはあるがクロックが最高20Mhzまでなのでサンプリング周波数をはるかに下げないと無理で、20Mhzではせいぜい10ビットが限界である。PWMをあきらめて専用DACを秋月でひとつ¥250で買ってくれば、ステレオ44.1Khz、16 ビットのCD再生プレーヤーがただちに出来るが、これは目的とはかけ離れてしまう過剰スペックになる。それにこのチップの情報がウェブには殆どないので動かすのに苦労しそうだ。

 以上が3日間の調査の成果である。これまで霧の中だったデジタルオーディオの世界がうすぼんやり見えてきたというところか。しかし、SDカードを読みながら、絶え間なくデジタルデータをPWMなりDACに送るソフトの仕掛けはまだ白紙のままである。まあ、これはこちらの専門分野なので、余り大きな障碍ではない。FPGAでハードをわけてしまえば造作ないことなのだが、せっかくPWMをマスターする機会なのでFPGAの適用は先にしてPWMでやってみたい。しかし、10ビット足らずが最大なので、苦労して作って、がっかりするのもいやだ。そんなことを考えながら、PCに向かっていると時間のたつのを忘れる。こうやって色々迷って調べるのも楽しみの一つである。

|

« 雑誌付録のイーサネットマイコン | トップページ | 気分転換にH8/3069Fに挑戦 »

電子工作」カテゴリの記事

コメント

初めましてAVRを少しいらっていますが一向に進展しません。

投稿: 秘密 | 2008年9月18日 (木) 22時32分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: がた老AVR研、音響研究へ:

« 雑誌付録のイーサネットマイコン | トップページ | 気分転換にH8/3069Fに挑戦 »