周波数表示付きの秋月FGキット制作も大詰め
ロータリースイッチでも26Mhzが楽々(11/10/08)
秋月FGキットのケースのレイアウトで一番気を遣ったのが、周波数帯を決めるコンデンサーとロータリースイッチの位置だった。ウェブには、この秋月FGキットの沢山の制作例が紹介されており、凝った例では、リレーを並べて切り替えているものもある。秋月のキットにしては珍しくページの多い説明書には、「コンデンサーは半田付けしろ。スイッチで切り替えるな」とある。インダクタンスと浮遊容量で正しく動かなくなるそうだ。
しかし、いくら何でも半田付けはないだろう。現に、ソケットにしてコンデンサーを差し込み、全く問題なく動作している。リレーにするのも工作心(ごころ)を刺激するが、それほど大げさにするのも何か抵抗がある。で、出来る限り配線に近づけたロータリースイッチでコンデンサーを切り替えようと考えた。
基板の固定用の穴を開ける前に、ロータリースイッチに7ヶのコンデンサーを付け、仮配線をして、どれだけ動くかテストすることにした。グランド側が空中配線になってしまうが、うまくコンデンサーがロータリースイッチに固定された。これまでのコンデンサーのソケットがそのまま役に立ち、本体とはピンプラグで接続する。このコードの長さもあとで効いてくるはずだ。なるべく短くする。
スイッチを所定の開けた穴に固定し、FG基板をケースに入れて接続する。基板の位置決めも兼ねている。電源を入れる。おおー、これは楽だ。今まで、バラのコンデンサーをひとつひとつ入れ替えていた周波数切り替えが一瞬にしてできる(当たり前だ)。出力も安定している。
高い周波数帯にロータリーをまわしていく。順調にオシロの波形が細かくなっていく。最高の周波数帯である22pFのところも問題ない。いよいよ最高周波数の挑戦だ。バラックでは、26Mhzが安定して出ていた(仕様上は20Mhzが上限)。微調整可変抵抗器のネジをドライバーで回し(これが結構面倒なのだ)、周波数を上げる。20Mhz、問題ない。何だ、バラックと同じ26Mhzまで軽く出るではないか。暫く様子を見るが、何の問題もない。方形波もオーバーシュートだらけだけどちゃんと出る。
やれやれ、スイッチを使うなというのは、線を引き回すなということだったのか。心配のしすぎだった。ちなみにロータリーを未接続のところへ回すと(12接点もあるロータリーしかなかったので)、周波数は、29Mhzを示した。ロータリースイッチの浮遊容量分というところだろう。
意外にもろい3端子レギュレーター(11/12/08)
久しぶりの事故である。それもお恥ずかしいことに、半田ごての熱で7805をおしゃかにしてしまった。これまで半田付けの熱でICを壊したことは一度もない。昔のトランジスタは熱に弱く、ピンセットでリード線を押さえて熱を逃がしたり、相当気を遣っていたが、最近は強くなったというし、半田ごてのパワーも小さいので殆ど気にしていなかった。まあ単価の高いCPUチップやICはソケットにして熱が直接かからないようにしてはいるが、3端子レギュレーターあたりは電源用で熱に強そうだしあまり気にとめていなかった。
ちょうどグランド線が混んできて、非力な基板配線用の半田ごてではうまく半田が流れないので、30Wの電気配線用の半田ごてを持ち出したのが良くなかった。こいつは強力だが、こて先が太い。うっかりしてレギュレータの隣の端子と半田ブリッジをしてしまった。このブリッジを吸い取り線でとる作業が思いのほか時間がかかったのが致命傷になったのだろう。組み立てて通電したが7805なのに4Vしか出てこない。
ちょっとショックだった。どうも3端子レギュレーターとは相性が悪い。前は逆接続して淡い煙とともに昇天させたし、こんどは初心者のやる半田ごてのあてすぎの破壊だ。原因は、はっきりしている。「レギュレーターを軽く見ている」からである。自戒。自戒。
気を取り直して、部品箱をかきまわして予備の7805を探す、これがない!このあいだまでゴロゴロしていたのにどうして?あった。いやこれは負電源用の7905だ。そうか沢山あったと思ったのはこの7905だったのだ。これは困った。7805ひとつのために秋葉原に行くわけにはいかない。このまま作業を中断するのも気分が悪い。と思い出したのが、このまえに雑誌付録基板の時に買った電圧が可変できるレギュレーターLM317(秋月で4ヶ¥100)である。3個も残っている。このレギュレーターは、電圧が任意に変えられるのは便利だが、がた老AVR研究所は今のところ、5Vと3.3Vしか使用しておらず、抵抗器2つとはいえ、部品が余計に必要なので使っていなかった。
これこれ、早速データシートをとりだし必要な抵抗値を計算する。3倍比の抵抗の組み合わせで5Vがでるようだ。こういうデータシートで困るのが絶対値が書いていないことだ。3倍の組み合わせは無数にある。雑誌の記事を参考に、手持ちの330Ωと1kΩにする。秋月で100個入り¥100という袋で買ってきてある定数のところである。ちょうど良い機会なので前からやりたかった、5%抵抗のバラつき調査をやることにする。仕事なら「この忙しいときに」と叱られるが、これがアマチュアの特権である。
330Ωをやってみた。ロットで袋に入れていくのだろう。ばらつきは±5%に均等に散らばってはいない。つまり330Ωを中心に正規分布していない。私の買った袋は、320Ωあたりに平均値があり、分布は5%より狭い。結果として5%の中に納まっている。しかし、平均値が下に行っているので、欲しい333Ωは見つからない。331Ωで我慢する。
電源部が少し広がってしまったが、LM317は何事もなく納まった。電気を入れてみる。ややや、0Vだ。何い、さっき出ていた負電源も0Vだぞ。顔が青ざめる。ショートさせたか。色々な部品を触って発熱を確かめる。問題ない。そのときテスターに手が触れて、一瞬、電圧が出た! いやいや悪いことは重なるものである。テスターのリード線が断線してついたり消えたりする。
そういえば、このあいだからどうもテスターの調子が悪く、電池を取り替えたが、そのあとも導通テストが時々動かないときがあった。テスター棒の付け根で断線をしているようだ。まあ¥2000少々のテスター(これも秋月製)で耐久性を求めるのも酷な話だ。テスター棒は一体成型でコードだけの取替えは出来ない。今度の秋葉原に行ったときに棒ごと買ってこよう。
テスターの導通を確かめて、もういちど通電。出た。4.997V。1KΩのところは990Ωを選んだお陰で、0.1%以内の精度の5Vである。いや思い通りに出ると嬉しい。いやなことを忘れさせてくれる。
ロジックは間違っていなかった(11/13/08)
電源部の実装が終わったので、次はカウンター部の実装である。アマチュアの電子工作は、目的と手段がはっきりしないことで、これを仕事にしている人から見れば、「何という無益なことを」と呆れられることばかりだろうが、これが楽しいのだから仕方がない。
3端子レギュレーターの分圧抵抗の選択など最たるものだ。 真夜中、袋から100個の抵抗を机にぶちまけて、ひとつひとつ抵抗を測っていく自分が我ながらおかしかった。そう、これまでのシステム開発の仕事は、目的に向かって少しでも前進できる、合理的、かつ効果的な、あらゆる方法を46時中考え続け、それを実行することが使命だったから、その反動ということなのだろう。
翌日、断線したテスターの接続コードを見ていて、また脱線してしまった。プローブとコードは一体化されているので分解するわけには行かないが、断線した場所の見当はついている。プローブの付け根付近である。このテスターはコードを本体の横に収納できるようになっているので、収納するときここに無理がかかりやすい。
はじめは、予想が正しいか確かめるだけのつもりで、ニッパーで線を切った。ピンセットで銅線を引っ張ったら、見事に予想通りの長さの断線のかたわれが出てきた。こうなるともう止まらない。プローブ棒がやわらかいプラスチックなので、ナイフで半分に少しづつ裂いて中身がどうなっているか調べ始めた。どうせ新しいのを買えばゴミになる運命である。
少々裂いても全く変わらず、このプローブ棒は先端のピンをコードにつけたあと、プラスチックを圧着して作っているようだと独り言を言った途端、ひらめいたものがある。そうだここに切ったコードを半田付けしてあとはビニールテープかなにかで巻けば、少し短くなるがまだ使えるのではないか。笑ってください。写真が修復後のプローブである。ビニルテープを巻くまでもない。裂いた部分は、細い銅線で縛ってあるだけである。これで当面しのげる。
それはともかく、カウンター部の実装である。ブレッドボードで最後の調整を行った。クロック用のクリスタルの換装である。 この前、較正に使った20Mhzの発振器をMCUクロックにし、より正確にする。まあ、無線をやるわけでもないのでここまで必要ないと思うが、周波数カウンターと言うからには、少し贅沢をして恰好をつけてみた(といっても¥150だが)。
絶対値の最終的な較正は、先日、秋月で買って来たプロ機並みの精度があるといわれる12.8Mhzの京セラの発振器でやる。周波数精度が1ppm、温度補償があって温度特性も数ppmというから、時計に使えば、月差数秒という高精度なもので、これで値段がたったの¥200。いやいや秋月電子さんには、テスターから何からお世話になりっぱなしである。値段が良心的なのが嬉しい。我々アマチュアの強い味方である。
ブレッドボードに差し込む。Tiny2313のヒューズビットを切り替え(CKSEL1~3 を000)、まず、MCUを20Mhzの水晶発振器の外部クロックで動かす。 動いた。今度は、京セラの発振器にVccを入れ発振させる。オシロで波形を確認する。波形はあまりきれいではないが、ちゃんと12.8Mhzと表示された。
カウンターの電源を入れる。LCDに周波数が表示された。おや、6.4Mhzで数百ヘルツ多いぞ。何だ何だ。このまえ補正した分だけ多いじゃないか。ブログの記事にはそれらしく書いたが、実は書いてから、どうも腑に落ちないところがあって自分では納得していなかった。割込みルーチンでタイマーの処理をしている間にも、タイマーそのものは動いているから、最後の端数の調整は、本当なら計算で求めた値から少なめにしないと、その分余計に時間をとってゲート期間が増え、実際より高い周波数が出るはずである。
ところが、最初の結果は、実際より低い周波数だった。最初の端数値は理論上の数で、遅れを考慮していない。本来なら、ゲートが長くなるので周波数は高くならないとおかしいのに、逆に端数を増やして(実際にはスタートを遅らせる)、ゲートを広げ、周波数を増やしてピッタリにあわせた。従って最初の狂いは、どうも当初の¥50のクロックの発振子の誤差のようである。
端数を最初の理論値にもどして動かしてみる。ピッタリ6.4Mhzで20 hz以内に納まった。うむ、俺の計算が正しいことが証明された。微調整で1回だけひとつ端数を変えてみたが、50hz近く変動し、これ以上の調整はあきらめる。計算上は3.2μsの違いは0.4秒ゲートを開けているので6.4Mhzで5hz位のはずなのだが、割込みルーチンのロジックが増え、さっきの端数値に効いてくるからだろう。
これで、カウンター部の構成が確定した。今度はLCDを乗せるため大きめの基板にしたのでスペースに余裕がある。部品も少ないし実装は楽だ。周波数表示付きの秋月FGキット制作もそろそろ大詰めを迎えた。
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