H8/3069Fの水晶発振子換装で大騒ぎ
表面実装のクリスタル交換でボードが.....(11/22/08)
ケースに入れた秋月のファンクションジェネレーターが稼動して、すっかり気が抜けてしまった。測定器の自作はあくまでも手段であって目的ではない。元々は、アナログ機器の調整用に、あらゆる周波数の信号が気楽に出せるようにケースに入れて周波数が見えるようにした。そこまでは良かった。しかし、いよいよこれを使ってどんなアナログ機器を作るかという段になって、急にやる気が失せてしまったのである。具体的な目標が見当たらないのだ。困った。
最初はオペアンプを使ったヘッドフォンアンプでも作ろうと考えていた。そのために、オーディオ用の低雑音オペアンプと1WのパワーアンプICまで買ってある。計画では、昔のPCからはずしたCD-ROMドライブで卓上のCDプレーヤーにしようとでも思っていたが、考えてみると殆どのCD-ROMドライブには既にアナログ出力が出ている。これにアンプをつけてみても今さら始まらない。音質が良くなるとは思うが、これは今までに書いたように「良い音の地獄」に入りそうで余りやりたくない。
そもそものアナログ研究のきっかけは、前のプロジェクト、リズムキャプチャーのときの音響パルス入力である。あのとき考えていた次の目標は、ネットを使った音声付きの電光掲示板で、音声発生のため、SDカードなどに入れたWAVデータをDACでアナログにすることだったのだが、CD-ROMドライブ出力からでは、DACの練習にしかならず、どうも食指が動かない。そう、AVR研究所と名乗るからには、マイコンが動かないと面白くない。
ということで、秋月のH8/3069LANボードを棚から持ち出した。このボードは、この夏、OS(MES)のMMCインタフェースを動かそうと散々いじりまわしたが動かず、一時断念して放置してあるボードである。こいつは8ビットながらDACも持っているし、OSでMMCが動かなければchaN氏のコードをアプリケーションで動かしても良い。次の目標にもなる。
それにこのボードは、このあいだ例のサンハヤトの実装部品取り外しセットのテストで、表面実装の20Mhzの水晶発振子を25Mhzに取り替えたまま、まだ動作確認をしていない。このクリスタルはキットの袋の中に、おまけのつもりか入っていたもので、換装しようとして基板の元のクリスタルが、2本の半田ごてを使ってもどうしてもとれず、くやしい思いをして、今度の取り外しキットでやっと換装したものである。
この換装は、実は大変だった。半田が溶けたのは良いが、半田面が石の裏まで広がっており、その一部が良く溶けておらず水晶発振子を表面からずらすとき、無理をしてランドを大分ちぎってしまった。何とか残ったランドに新しい25Mhzの石を載せ固定したがFGキットの制作の方が忙しくてそのままになっている。
久しぶりに電気を入れてみる。クロックを25Mhzにしたので最初のカーネルロードからやりなおしである。このボードのクロックを25Mhzにしたのは実は目的がある。このあいだMMCインタフェースを動かそうと散々実験し、結局、MESの最新バージョンにMMCの不具合があるという情報で断念した。ところが別のウェブサイトで旧バージョンのMESのカーネルが公開されていることを見つけ、ダウンロードしたのは良いが、これが25Mhz版だったのである。
旧バージョンならMMCも動くかもしれない。淡い期待を抱いて換装したボードの電源を入れる。しかし、フラッシュライターは「そんなシリアルインタフェースはないよ」とプログラムロードを拒否してしまう。H8のファーム書き込みは沢山の方法があるので別の方法と思ったとき、ちょっと不安になった。そもそもH8が動いているか確認していない。クリスタルがちゃんと接続されているかどうか確認するほうが先だ。
不安は的中した。換装したH8のクロックが動いていないことがオシロでわかった。やれやれ。半田付け不良か。テスターでピンとクリスタルの接続をチェックする。うわあ、片側がコンデンサーとはつながっているが、肝心のピンとはつながっていないことがわかる。ランドをはがしたとき、ピンとの配線パターンを切ってしまったのだ。
幸いH8ボードは2層基板でとりあえずクロック周りの配線は全て見える。ルーペでピンからの配線を調べると確かにクリスタルのランドの前でパターンが切れている。しかしピンからの配線パターンには余裕があり、レジストをはがして、クリスタルのランドから、そこへ細い線を半田付けすれば接続できそうである。カッターとピンセットで少しづつ配線パターンの上のレジストをはがし銅面を出した。そこへ、電子工作を始めるとき最初に買ったが細すぎて使っていない0.17ミリのUEW線をつけ半田を流してみた。おお、つながったようだ。引っ張ってみるがとれない。結構強く半田付けされている。テスターで確認する。うむ、しっかり導通している。やった。
これで発振回路は大丈夫だ。通電する。しかし、ピンにはクロックがあらわれない。うーむ、やっぱり駄目か。原因はこれだけではないのだ。それにしても、可哀そうなことをした。何もしなければ少なくともハードは何の問題もなく動いていたのに、下手にクリスタルを換装しただけでボード全体が使い物にならなくなってしまった。LANコントローラがちゃんと動いてLEDが点滅するのが哀れである。
ピンとピンの間の半田ボール(球)(11/24/08)
H8/3069LANボードがただのゴミになってしまった。大した値段ではない(¥3400)が悔しい。
「H8はもう古い、Linuxを動かすために新しいボードを買おう」と大分前に言っていたはずだが、やはり諦めきれない。心が残る。貧乏性というか、¥1の抵抗でも生きていれば、ニッパーで切り取らずに再利用しようと半田ごてで回収する性分である。ましてや、2MBのSRAMや、RTL8019のLANコントローラは無傷だ。H8そのものもHTTPのテストをしたくらいでまともに使っていない。
いずれお家サーバー用に、SH3ボードか、ARM9 の玄箱くらい買うつもりはしているが、このH8ボード、まだ何かに使えるところはないだろうかと、動かないH8ボードを手にとって眺めているうち、ボードの両側に並んでいるコネクターピンのところに、半田屑が挟まっているのを見つけた。ちょっと大きめの半田が上から落ちたような形でピンとピンを完全にショートさせている。これはまずいよね、と取り除き、もしかしたらこんなことが原因で、まさかとは思いながら、まあ、ものは試しと電源を入れてみた。
何と、これが原因かどうかわからないが、オシロで見るとH8のクロックピンにクロックが戻ったのである。周波数は25Mhzを指している。間違いない。あわててフラッシュライターをつなぐ。25Mhz用のMESのカーネルは順調に読み込まれた。PCのコンソールを立ち上げ、ボーレートを25Mhzのときの115200bpsにする。動いた!
MMCはどうだ。コマンドを入れようとして殆どのコマンドを忘れていることに気づく。とりあえずうろ覚えでMMCをマウントするが、やはりHardErrorでつながらない。しかし、前と違っていきなりではなく、暫く経ってからエラーになる。ハングアップもしない。少なくとも前よりは進んでいる。まあ良かった。これで解析が進められる。
以前の資料を取り出し、手順を考えてから、暫く経ってコンソールにコマンドを入れた。おやまた動かない。MMCのところでハングアップしたか。電源を入れなおす。やっぱり動かない。調べてみるとクロックが出ていない。あれから何も触っていない。熱で水晶をドライブするコンデンサーの容量抜けを疑ったが、追加してみても同じ。テスターで導通を調べるが異常なし。何かさっき動いたのが幻であったかのような感じでまたH8は頑として動かなくなった。
あーあ、やっぱりこわしてしまったか。それにしても何故動いたのか、突然、動き始めて、また突然動かなくなる。理由がわからないので、手の施しようがない。そもそもクロックが動かなければMCUはただの石である。コネクターピンにはMCUのI/Oポートしか出ていない。このあたりのショートでクロックが動かないということも本来有り得ないはずなのだが、調べるところがない。とうとう、これ以上の究明はあきらめることにした。
次の日、机を片付けながらH8ボードの最後のお別れに、動かないことを確かめようと、電源を入れてみた。ありゃりゃあ、またクロックが出ている。一体これは何だ。PCコンソールと接続してみる。ちゃんとつながる。ネットワークを始動させるコマンドを入れる。大丈夫。HTTPサーバーのバイナリをTFTPで送ってみる。送れた。何だ全く問題ないじゃないか。
ところが、そうこうするうちにまた動かなくなった。うーむ、これはやっぱり換装した場所がくさい。発生熱かなにかで部品がやられたか、水晶か、コンデンサーか。それとも断線か。それなら動かすと変化がありそうだが、少々強く動かしても変化はない。テスターでクロックピンまわりをもういちどチェックする。大丈夫だ。断線はない。それとも、ショートか、いや5Vはしっかり出ている。もう一方は0Vだが、これで良いのか。そう言えば、今まで断線は疑ったが、ショートは余りチェックしていない。
電源を切って導通を確かめる。何ということだ。クロックピンの片側がグランドとショートしているではないか。これはおかしい。やっぱり換装したクリスタルをはずしてもう一度ランドをチェックする必要がある。半田ごての電気を入れてもういちどはがす準備をする。
「食事ですよ」との家族の声で作業を中断して、食事から戻って来て念のためテスターで問題のピンをチェックしたらグランドとショートしていない! えーっ、これはどういうことなんだ。熱だ。熱を持つところは今の回路ではCPUチップしかない。ルーペでボードをよくよく観察する。するとH8のクロックピンと次のピンの間に光るものを発見した。ピンセットでは届かず、まち針でつつくと動く。これだ!次のピンは、何だグランドではないか。小さく光るものは半田ボール(球)だ。間違いない。針でこれを取り出し、フラックスクリーナーで丁寧にふき取る。あやしい箇所がもうひとつあって、これも綺麗にする。
いやいや貴重な経験をした。H8のピン間隔は0.5ミリ、配線パターンに半田付けしたときフラックスのために半田が飛んで、小さな小さな半田球がピンとピンの間に入り込み、熱でピン間隔がせばまりショートしたのだ。冷えれば接触がなくなり生き返る。
この球をとってH8ボードは全く問題なく何時間置いても動くようになった。いや嬉しい。死んだと思っていた行方不明の息子が帰ってきたようなものだ。もともとこのボードはMega168を立て続けに2つ壊したとき、衝動的に買ったもので、どちらかというと継子扱いされてきた。マザーボードは作ったが、使用目的が明確に決まっているわけではない。これから少し本気になって、こいつの行く末を考えてやろう。OS(MES)でMMCが動かないなら簡単に諦めずアプリケーションで作ってやることにしよう。
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