手書きのアートワークはこの辺が限界
ブログの記事が滞っている。もう20日近くあいてしまった。電子工作は私の数多い趣味のひとつだが、最近はまるでこれが生活の中心になったかのように夢中になっていた。ブログのアクセスも日増しに増え、紹介していただけるサイトがあったりして、何かせかれるように工作に熱中し、ブログも頻繁に更新していたが、さすがに少し息が切れた。
息が切れた原因はそれだけではない。珍しくこの2週間の間に、所属する団体の全国大会の準備と、2日間のセミナーの研修講師、それに確定申告という仕事らしいものから、恒例の2泊3日のスキー行、昔の職場の旧友会に学生時代の友人の飲み会という遊びまで、行事が集中し、時間がなかったのだ。
工作の方はあれ以来少ししか進んでいない。しかし、あまり日をあけると記事の連続性がなくなってわけがわからなくなる(自分でも)ので、進んだところだけでも時系列にまとめておくことにした。
ステンレスのハンダ付け(2/26/09)
東京に久しぶりに雪が降った。積もりはしないが雪が降るのを見るのは楽しい。雪国生まれの妻はうんざりするのだそうだが、娘と2人で何となく華やぐ。プレーヤーの工作のほうはレイアウトが決まったので、いよいよ基板固定の穴などを開け始める。今度の電池は薄いので余り高さにこだわることはないが、基板の裏が無駄に空いて上が混雑するのは避けたい。そのためには基板はなるべくケース近くに固定する必要がある。スペーサーを薄くすれば良いのだが、これが小さいと組み立てのときにやたらに苦労する。
見るともなく見ていたchaNさんの電子工作のページに良い解決方法があった。ナットを基板にハンダ付けしてしまうのである。おお、これは楽そうだ。これならビスだけで固定できる。今度はこれにしよう。いやいやchaNさんにはシリアルライターやFatFSから何から何までお世話になりっぱなしである。
2.6ミリの穴を4隅に開け、用意したナットを基板のランドにハンダ付けしようとした。あれえ、ハンダがビスに乗らないぞ。あ、しまった。このナットはステンレスだった。いまどきのネジは殆どがステンレスだ。ステンレスはアルミと同様、表面の酸化膜が強いので半田付けできない。これは困った。サイズを2.6ミリにしたので真鍮のナットはそう簡単には手に入らない。こんな小さいケースで3ミリはみっともない。どうしようかと考えていたとき、どこかでステンレスにハンダ付けした人の話を思い出した。
困ったときのウェブ頼みである。「ステンレス ハンダ付け」で検索してみたら、何のことはない沢山のページがヒットし、専用のフラックスさえ用意すれば、簡単に半田付けが出来ることがわかった。対応商品が何種類も売られている。ただ、どれを見ても電気、電子部品のハンダ付けは出来ないと書いてある。
これは、フラックスが強酸性のためハンダ付けのときに飛散したフラックスが付近の部品を腐食させるためであると勝手に解釈する。幸い、今半田付けが必要なところは配線ではなくナットだ。別のところでナットにフラックスをつけてハンダを乗せ、そのあと基板に持ってくれば問題ないはずだ。
秋葉原に行くまでもなかった。友人と会うため出かけた渋谷で、東急ハンズに寄る。工作工具のコーナーには、ステンレス用のハンダとフラックスが何種類も売られていた。早速買い求める。家に帰り、工作コーナーのまわりのパーツを遠ざけてから、ステンレスのハンダ付けに挑戦する。フラックスは噂にたがわず強力である。机の工作の下敷きにしている紙に間違って垂れると、紙から気泡が浮き出し紙が分解し始めた。これはすごい。あわててティッシュで拭き取り、さらに部品を遠ざける。
ナットにフラックスを極くわずか付けてハンダを乗せる。おお、あっという間にナットの角一面にハンダが流れる。これは効果抜群だ。フラックスをうっかり多めにつけてハンダを盛ったところハンダがネジ山(谷?)に入ってしまいナット全体がハンダまみれになってしまった。ステンレスのハンダ付けがこんなに簡単とは思っていなかった。コツはなるべくフラックスを少量にすることである。つけすぎると周りの金属の酸化膜が全部はげ、あっという間にハンダがまわってしまう。
半田乗せが終わった4つのナットを良くフラックス洗浄液で洗い、基板上にハンダで固定する。何の問題なく固定が終わる。ケースに正確に穴を開け基板を固定した。うーむ、我ながら上手く行った。
電池フォルダーを作る(3/01/09)
次は電池フォルダーの制作だ。デジカメや携帯電話のリチウム電池の出力端子は普通の乾電池と違って、大抵は凹型で簡単に燐青銅板を切って間に合わせの接点を作ることが出来ない。正確な位置決めが必要で、接点の形や大きさにも制限がある。そのため元の携帯電話の充電器の接点を良く調べて、それに近い0.5ミリの燐青銅線を買ってある。この燐青銅線だけでプレーヤーが動くだけの電流が流せるかどうかは、ブレッドボードにつけて実験済みである。
さらにフォルダーの天板にみなして作った汎用基板の切れ端には燐青銅線を通るように1ミリ間隔で穴を開けて接点にし、電池についている位置固定用の突起が入る切り欠きをつくり接点が固定されることも確かめてある(前回の記事参照)。
しかし実際にケースに電池を置き具体的な電池接点を作ろうとしたがこれがうまくいかない。最初、天板は浮かし(電池を支えるだけ)、外側ケースを燐青銅線の一方の支点にしバネにしようとしたが、不安定で燐青銅線のバネの効果が効かず接触がうまく行かない。この方法ではどうも実用になりそうにない。
やはり天板に燐青銅線をしっかり固定してバネを効かさないといくら電池を固定しても接触が少なすぎるようだ。それと燐青銅線は反発力は強いのだが、一旦曲げて形を作ってしまうと、そのあとは急にもろくなって簡単に折れる。つまり調整が利かない。形は一発勝負で決めなければならない。少しずれたからと言って曲げ直すと、もうバネでなくなる。
3回接点を作り直し、やっと安定的に接触する接点が出来た。形は珍妙でウェブを探したがこの種の記事はどこにもなく、がた老AVR研オリジナルである。もっと良い方法があるのかもしれないが、微調整した結果、ほんの少し押さえるだけで安定的に電圧が出るようになった。とりあえず仮組み立てした電池フォルダーでブレッドボードのプレーヤーが動いた。一安心である。
最後は電池の固定である。電池を位置を決める側板の固定はボンドなどの接着剤を使えば手軽なのだが、何となく抵抗がある。それに接着剤だけでは信頼性に問題がある。当初は2ミリのタッピングネジで基板の切れ端か、細く切ったアクリル板を裏から固定する予定だったが、これもちょっと大げさすぎると思い始めた。それに外部ケースに接触する部分が問題だ。最初は外部ケースに直接当てるつもりだったが、どうも操作性が悪い。ここも迷っている。
何とかアートワークまでできた(3/13/09)
忙しくて電子工作に手が中々廻らない。それでも少しづつは進めている。ポリカーボネートでも大丈夫と言う触れ込みの接着剤をスキーに行く前にテスト的にケースにつけて帰って調べてみたら、殆ど満足についていなかった。接着剤自体が柔らかく指でこするととれてしまう。
エポキシ系の接着剤もこのときありあわせの基板を接着テストにつけておいたが、こいつは日を置くと滅法強くなることがわかった。天板や側板をネジで固定する必要もなさそうだ。バッテリーの固定の方は、既に買ってある燐青銅板を切り出して基板に半田付けし押さえにする予定にしている。
ただ、天板は力がかかる上、接着剤の接着面が少ない。そこで、ピンヘッダーの中のピンをとりだして基板にハンダ付けし天板を固定する支柱にするアイデアを思いついた。この金属の支柱と天板をシアノクレート系の瞬間接着剤で固定してみた。うむ、これはうまく固定されたようだ。
仕事が一段落したので、バッテリーを横から固定する側板を、ハンズで昔買った2ミリのアクリル板から切り出す。万力に固定し割れないように少しづつ切り出していく。基板との固定は、シアノクレート系はアクリルを溶かすので、ここはエポキシ系の接着剤にすることにする。エポキシ系は強力なことがわかったのでネジの固定は考えない。
バッテリーフォルダーが確定したので次は、いよいよ部品の最終的なレイアウトを決める。うひゃあ、入らない。ランドの数を数えてみて当初より一列少なくなっていることがわかる。アクリルの側板が広すぎた。接着しておかなくて良かった。あわててアクリル板をまた削りだす。割れないか冷や冷やしたが、細くしても(3ミリ)結構剛性があって大丈夫なようだ。
一列分のランドを確保して、何とか、部品の載せおえることが出来た。しかし全部のICをソケットにすることが出来ない。MCUとオペアンプは今後のことを考えるとソケットにしておきたいが、他は直付けだ。びっしりICと電解コンデンサーが表面を埋め、ランドが足らないので相当数の抵抗が裏にまわりそうだ。
アートワークを始める。うーむ、手書きのこの方法では限界に近い高密度だ。線の交差はしないという原則は守れそうにない。今回は初めての両面基板だが、手書きのアートワークでは両面基板を使いこなすのは難しい。
消しゴムのくずだらけになったが、やっとのことで描き終えた。どうも実際のハンダ付けの作業に役立つかわからない真っ黒なアートワークだが、すべての結線を描き込んだことで不思議な安心感が広がる。アナログの方は思ったほど複雑でなく何とかなりそうな自信もわいてきた。アートワークの効用には、こういうのもあるのかもしれない。
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