Xbeeワイヤレス電力ロガー子機(センサー)の実装
リニアPCMプレーヤー2号機のプロジェクトはソースの公開で一区切りがつき、作業の中心はブレッドボードでテストしていたXbeeの子機(センサー部)の実装に移った。そのかたわら、あと2台作らなければならないプレーヤーの工作も続けている。いや忙しい。
Olimexの変換基板に作りこむ(10/18/09)
Xbeeを使ったワイヤレス電力ロガーの省電力化は、スリープの状態を示す出力ピンがあることがわかって開発が順調に進み、ブレッドボード上の実験で上手く動くことが確認できた。AC電流センサーのAC出力電流(負荷抵抗を入れて電圧化)を整流(オペアンプ1つによる全波整流)し、バッファーを経由してXbeeのADコンバーター入力に入れる部分と、この動作をスリープ中は止め、アクティブな時だけ動かすトランジスタ2つを使ったソリッドステートリレーの部分である。XbeeのADCのデータ送出フォーマットもこのあいだ調べ、実際のデータが送られていることを確認している。
データの受信をして、SDカードなどに蓄積する親機については、まだ何も設計していない。しかし、ここはそれほど省電力を考える必要がない。これがワイヤレスの良いところだ。親機はPCの近くに置いておけるからである。それにここはソフト開発が主な作業で、SDカードの操作も、RTC(リアルタイマークロック)も、これまでにすべて経験済みで殆ど不安はない。
Olimexの変換基板は、本来はテスト用の基板のつもりだったが、子機の実装は、この基板だけで出来そうな感じなので、久しぶりにアートワークをやってこれまでの回路が納まるか調べてみた。その結果、ぎりぎり(抵抗を縦位置)だが何とか入りそうである。この基板と電池フォルダーだけでセンサー部分の子機を実装することにした。
久しぶりの手配線である。これはこれで工夫の余地があって楽しい。しかし、小規模なのでBottomViewのアートワークをさぼり、TopViewのアートワークしかやらなかったため配線が混み合ってくると混乱し始める。
大した配線量ではないので半田付けは数時間で終了したが、案の定、誤配線が続出した。写真を裏側から見ると全く違う景色になってしまうように、人間の頭脳は左右逆転に弱い。修正の手間を考えれば、不精せずにBottmViewのアートワークも作るべきだったと反省する。
何とか出来上がったので、整流回路からテスト。動かない。やっぱりまだ間違いがあった。それを直してオシロで出力をチェックする。やっと出力に所定の電圧がでた。これでよしと念のため各部のピンの出力を確かめる。おやあ、整流直後の脈流が出ていないぞ。何だ、何だこれは。非常に短い、鋭いパルスが出ている。うーむ、一体これは何だ。発振か。ちゃんと直流電圧が出ているのにおかしい。
ひとつづつ調べていくしかない。何となく閃いたので、脈流を平滑化しているコンデンサー(10μF )を試しにはずしてみる。おお、やっぱりこれだ。出力波形は元のお馴染みの全波の脈流に戻った。そうなのか、平滑用の大きなコンデンサーが入るためにオペアンプの出力ピンでは鋭いパルスになるのだ。これまでこの回路のオペアンプ出力をオシロで見たことがない。これで良いのだ。いやアナログは難しいものだ(このあと抵抗をはさみLPFにして大分ゆるいパルスになった)。
このあいだウェブ探索で、こういうランダムな脈流をDCにするICがあることを発見したが(RMS-DC化IC LTC1966)、まあ、ここまでやることはあるまい。どうせ電流しか測っていない。
ダーリントン接続したトランジスタ2つのソリッドステートリレーは幸い一発で動いた。LEDをテスト用につけて、いよいよ全体のテストに入る。これまでスリープを設定していた親機側のXbeeを子機に移し変え、元の子機のXbeeを親側にする。
うむ、動いた。子機は5秒毎(テスト用の設定)にLEDが点き、親機にADデータを送り始めた。おやあ、数値が出ないぞ。時たま、所定の70程度(200mV)でるときもあるが、殆ど0だ。そうか、サンプリング開始が早すぎて、オペアンプが正常動作をする前にサンプリングしてしまうのだろう。オシロのスイープを遅くして立ち上がりを調べてみた。少なくとも200msecは待たないと定常状態にならないようだ。平滑回路の時定数を調整し、ピークが出ない2KΩと10μFに決める(これはもういちどブレッドボードに同じ回路を作り直して調整した)。この遅れは、Xbeeのコマンドで対応できるはずだ。
子機のハードはだいたいこれで出来上がった。あとはケースの制作である。出来るなら防滴仕様にしたい。配電盤は洗濯室にある。電流センサーのケーブル接続もこれまでのピンヘッダーでなく、ちゃんとしたソケットにしてHeavy Dutyに備えてある。
それに今は単3のバッテリーだが、ADCの基準電圧を一定にするため、リチウムバッテリーに替えて電圧を定電圧化する必要がある。いくらなんでも基準電圧が電池の電圧低下で下がっていくような測定では実用に耐えられない。
2号機の量産(と言っても2台だが)と接点基板(10/21/09)
Xbee子機の作業をしながら、2号機の2台目以降の工作も少しづつ進めている。接着剤を使う作業なので、日数がかかる。部品を確認したらDACなどの周辺ICは既に台数分買ってあったが、メインのマイコン(Mega328P)のストックが切れていた。
先週末、秋月に行って、噂の¥250のMega328Pを仕入れてきた。ステレオフォンジャックが足らなくなったので、買おうとしたら、店員が「こんなのもありますよ」と新しいフォンジャックを出してきた。おう、これは小さい。BeagleBoardについているフォンジャックに似ているがもっと小ぶりで、今使っているものの半分くらい小ささだ。次のロットはこれにしよう。
部品はともかく、今度の2号機の工作の中で一番面倒な部分は、実はケースの中間に配置したリチウムバッテリーの接点基板である。部品はストロベリーリナックス、秋月、千石、鈴商と通販の利く定番ショップですべて揃うし、EAGLEのボードファイルを公開しているので、基板も同じものを作れるが、この接点基板だけは自作するしかない。接着剤でアクリルケースに固定する必要があるし、0.5ミリの燐青銅線(東急ハンズで入手。大手のDIY店にはあるだろう)で接点を作るのはちょっとした慣れが必要である。
同じものをつくってみようと考えている人の参考になるかと思い、接点基板の寸法図を掲載しておく。図は正確な縮尺になっていないので気をつけていただきたい。少し大きめに作り、あとはやすりなどで現物に合わせて調整するのが間違いない。燐青銅線の接点は写真を参考に。この形がベストかわからないが、一応これまで5ヶ以上の接点を作ってきた中で一番具合の良かった形である。
接点基板の制作のコツをいくつかあげておこう。みなこれまでの苦労で得たノウハウでもある。
・接点基板は、燐青銅線の接点の自由な固定(半田付け)のため、両面汎用基板から切り出すことをおすすめする。何もないアクリル板などは接点の固定に苦労する。結構強い力がバネの固定部分にかかりネジなどで止めてもわずかづつ動いてバネが利かない。片面基板は止めた方が良 い。少し強く抑えると半田付けしたパッドが簡単に基板からはがれて失敗する。
・接着はエポキシ系の強力なもので一日以上おいて接着を完全にすること。接着面積が少ないので、瞬間接着剤(シアノクレート系)では強度不足になる。
・任天堂DS-Liteの電池の接点部形状は良く見ると、電池両側の位置固定の凸部以外に、プラスマイナスの接点の間に、微妙な形状をした仕切りの突起がある。これに合うよう忠実に基板に穴を開けると基板の強度が持たない。この突起はあらかじめナイフ等で半分くらい削っておき、それにあわせて穴をあける。
・燐青銅線の接点バネ作りのコツは、バネになる部分は出来る限り曲げないで作ることである。少しでも曲げて形を調整すると簡単に弾性を失ってバネにならなくなる。その意味で半田付けで位置が自由に調整できる両面基板から作るのがベストだと思う。
・現在のプリント基板では、接点基板の位置と、ミニLCDの10ピンのピンジャックとがちょうど重なる位置にある。あらかじめピンジャックの端子をニッパーで切り、裏面に出ない状況で半田付けしないと干渉する。
・任天堂DS-Liteの互換バッテリーは、ネット通販で容易に手に入れることが出来るが、製品によって形が微妙に異なり注意が必要である。位置決め用の凸部がなかったり、仕切りの突起の形が違ったりする。同じ製品でも個体差があるので現物合わせが必須である。
・電池に丈夫なテープ・リボンなどをつけておき、はずすときの方策を考えておくこと。今の形は一旦装てんしてしまうと、容易にはずせなくなる。リチウムイオン電池の外装を傷つけることは厳禁で、はずすときにドライバーなどを使うと傷つきやすい。とりはずすのに大苦労すること間違いない。
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コメント
ご注意ありがとうございます。ほんとだ。2つもピンが出てるけれど、これはプラグの一番先のところ(L)と接触してますね。GNDは右の端子でした。それにしてもこういうコネクターはどうしてmilメッシュを全く無視するんだろう。こいつも真ん中のポッチが違反だ。
投稿: がた老 | 2009年10月22日 (木) 17時30分
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gC-02460/
このヘッドフォンジャック、表面に見えている大きな金具はGNDじゃないので、だまされないようにご注意下さい。
投稿: まりす | 2009年10月22日 (木) 09時46分