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2009年12月の3件の記事

2009年12月20日 (日)

リニアPCMプレーヤー3号機の開発

 忘年会のシーズンがやってきた。お昼より夜のスケジュール調整が忙しい。しかし電子工作を始めてからは回数を減らすようにしている。酒は嫌いではないが、飲んだ後は何もやる気がなくなって、何か人生を僅かづつでも無駄にしているような気持ちになるからだ。

 それでも、楽器演奏、模型制作、フライトシミュレーター(勿論PCでの)という、どれもマイナーで脈絡のない趣味を共通に持つ友人との、先日の忘年会は実に楽しかった。電子工作に関する話題もほぼ通じる。全く同じでなく少しづつ分野がずれているのだが、その方がお互いの情報交換になって盛り上がるようだ。

 そんなこともあって、リニアPCMプレーヤーの第三版(3号機)の開発は余り進んでいないが、日を空けると忘れそうになるので、この10日間の経過を紹介しておこう。

プレーヤーのソフトに画期的改善が可能か(12/15/09)
 これまでリニアPCMプレーヤーのソフトは、液晶モジュール(LCD)を小さいものに取り替えて動くようにしただけで、本体の構造は全く変わっていない。LCDの2行のわずかなスペースに曲名リストを表示し、演奏ボタンで演奏を始めると、1行目にWAVファイル名、2行目にそのWAVフォーマット(サンプリング周波数など)を表示するだけで演奏が終わるまで何も変わらないというのは同じだ。

 PCや市販のポータブルプレーヤーのように、演奏時間や、プログレスバーのようなものが出ると恰好良いのだが、OSのない8ビットのマイコンでは無理だと諦めていた。しかし、3号機のハードの設計にこれだけ苦労しているのに、ソフトを何も改善しないのは芸がない。何か変えるものはないかと思案しているうち、ふと思いついた。

 そもそも、経過時間表示を諦めた理由は、44.1khzの2倍オーバーサンプリング、11.3μsごとの割込みの度に、ステレオ16 ビットのデータをDACに送り、かたわらSDカードからせっせとデータを読み込んでバッファーに途切れなく書き込む処理のシビアな時間的制約である。Pcm44_ok

 悠長にLCDにデータを表示している間はない。ここはミリセカンドのオーダーである。Mega328にはDMAなどという洒落た機構はついていない。バッファーもこれ以上大きくするわけには行かない。OSが入らなければこんな同時処理は無理である。

 しかし、このあいだのロジアナのデータアクセスのタイミングチャートを見ていて気がついた。SDカードのアクセス単位は1セクターで、512バイト、バッファーはこの大きさで2つあり、DACはこれを連続的に読み出し、SDカードの読み込みルーチンは、DACが次のバッファーを処理し始めるまで待って、空いたところのバッファーに書き出す。

 512バイトのバッファーを読み切る時間は決まっている。サンプリング44.1kHz、16ビットステレオでおよそ2.9msである。一方、クロック20MhzでのFatFSの読み込み時間は、実測で1.3msで、残りの1.6msはバッファーが空くのをひたすらループで待っているだけである。

 ここにSysTickのようなインタバルタイマーで割り込みをかけ、バッファーが空いていない時はすぐバックグラウンド処理に戻り、バッファーが空いていたら、この割込みルーチンでファイル読み込みをすれば、OSを使わなくても、経過時間やプログレスバーのようなものが表示できるのではないか。タスク構造は3段になるけれど、常に3段である必要はない。ディスクアクセスの時だけでよい。うーむ、何かうまく行くような気がする。

 勿論、沢山問題があるのはわかっている。まず一番の問題は、DACのサンプリング割込みが、このインタバルタイマー(というよりこれはSysTickそのものだが)割り込みによって影響を受けないかということである。ただ、割込みの割込み、いわゆる多重割込みは確かAVRでも出来たはずだ。

 早速、Webに助けを求める。あった。あった。WINAVRは多重割込み(Nested Interrupt)をサポートしている。通常は割込みルーチンの中は暴走をさけるため割込み禁止になっているのだが、割込み解除のコードを追加するだけで多重割込みができる。C言語でも大丈夫なようだ。おお、割込みルーチンにオプションがあって、割込みルーチンの先頭で割込み禁止を解く、ISR_NOBLOCKというオプションまである。これはDACのように少しでも割り込み禁止をかけたくない(ジッターが出て音質が損なわれる)ときは都合が良い。

 次の問題は、演奏中断のときのタイマーの取り扱いである。今のプレーヤーには、演奏中にボタンを押せば演奏を中断し、さらに次のボタン押しで再開する機能がある。さらに長押しの時間で連続演奏を止めたり、演奏を中止する機能もタイマーの時間をキーにしている。これがバックグラウンドでも正常に動かないといけない。

 これは、割込み側のSDカードアクセスルーチンにこの処理を持ち込めば問題がないようだ。バックグラウンドの処理時間がそれだけ少なくなるが殆ど影響がない。

 経過時間の表示はどうする。グラフィックLCDでないのでプログレスバーは作れないか。いや、16字あるので10%づつのキャラクター表示で十分さまになるはずだ。演奏時間の計算は、フラッシュがまだまだあるので心配ない。

 ふむふむ、これは楽しみなことになってきた。できそうだぞ。経過時間表示が出来れば、これは大威張りだ。胸を張って3号機と言える。これまでのプレーヤーもソフトを替えるだけで恩恵に与ることができる。俄然やる気が出てきた。

EAGLEにはだいぶ慣れた(12/18/09)
 プリント基板制作の作業状況である。久しぶりにEAGLEを開く。まず、秋月の小さなフォンジャックのライブラリを制作する。EAGLEは本体の回路図エディターや、基板エディターより、このライブラリエディターの方が癖があって難しい。

 シンボルファイルから作り始め、パッケージとすすんで最後にディバイスファイルを完成させる。この順番を間違えて既存のデータから部品を作ろうとするととんでもない目に会うのは経験済みだ。今度は、何度か失敗はしたものの、何とかディバイスファイルまで出来た(慎重を期すため、公開は実際に部品が載ってからにする)。Akijack

 次は、このジャックを入れた全体のレイアウトである。スケッチではうまく載りそうだったがやってみるまではわからない。少しづつ部品をつめて2連VRの場所を探す。使い勝手の問題もある。余り変なところに置くと使いにくくなる。出来上がっているボードファイルからripupで配線を、はずし、はずし試していく。うーむ、なかなか入らない。VRをハンダ面に持って行ったり工夫するが、パスコンが思ったより大きくスペースをとって入りきらない。

 結局、これもコロンブスの卵のようなもので、入力側のDACの裏側に、最終段のVRを乗せるとピッタリ納まることがわかった。昔は少しオーディオに凝っていたので、発振を恐れて入力(DAC)と出力(VR)を近づけるのに抵抗があって、これに思いつかなかった。考えてみれば、2号機もDACの横にフォンジャックが隣接していても何の問題もない。高周波ではないので問題ないだろう。Lpcmplayer_eagle

 2日ほど熱中してEAGLEのレイアウトは当面完成した。DRCをかけてもNO ERRORとなる。コツがつかめてきた。変更する時はこまめにDRCをかけてエラーをなくしておくと進み方が早いようだ。ビアの数は14、前は9だった。これからがまた時間を忘れて夢中になる。色々工夫した結果、5つ減らすことができ、前と同じビアに留めた。鼻が高い。だいぶEAGLEに慣れたようだ。

 しかし、Olimexに発注する段になって、また足元をすくわれる。Olimexのクリスマス休暇だ。やれやれ。17日までが1月中の制作で、1月4 日以降の受注の仕上がりは2月以降になるようだ。

 今度はどういう面付けにしようか。ドリル数は一面あたり147で、4枚とると標準価格のドリル数500を越えて、1割り増しの料金をとられる。5枚以上注文すると2割引になる。
このあいだは、Xbeeの変換基板を入れようとして結局、割り増しになった。このへんで悩むのも、くだらないけれど面白い。

プロクソンのミニサーキュラーソーを買ってしまった(12/19/09)
 懸案の電池フォルダーの方は、このあいだCDのケースを利用して作ることになり、前回のスケッチにもあるように、これを前提にレイアウトが確定している。この電池接点を半田付けする両面基板の切り出しをしているときに感じたことがある。

 たいした作業量ではないが、これをあと10個近く作ると思うと気が重い。ハンズで買った鋸は切れ味が鈍ってきて、真っ直ぐ切るのに苦労する。このあいだMCP73831のミニ基板を切り出したときは、うっかりルーターの丸鋸でガラエポ基板を切って1回で刃先を駄目にしてしまった。そろそろこのあたりも生産性を上げておきたい。

 アクリルの切り出しは、本当はカッターが一番きれいに切れるのだが、しっかりした台と定規がいる。それに結構力がいるし、真っ直ぐ刃先を通すのは熟練が必要だ。基板や、アクリル板を簡単に正確に切り取る道具が前々から欲しかった。

 候補はいくつか考えている。一番安いプロクソンのミニサーキュラーソー(卓上丸鋸盤)が今のニーズには一番合っているが、電子工作だけでなく木工(指物師があこがれ)まで視野に入れると、もう少し大きいスーパーサーキュラーソーのほうが汎用性が高い。指物には欠かせない斜め切りも出来る。しかし、こいつはミニに較べると3倍以上の価格だ。

 このあたりになると、他のメーカーからも、沢山売り出されている。しかし情報が少なく入手性も低いので候補から外した。コッピングソー(糸鋸)はちょっと魅力的だったが、直線切りは殆ど出来ないというので早々にあきらめた。Ac202554

 ミニか、スーパーか最後まで迷ったが、結局ミニにして、ここ(\10,800)の通販に決める。それにしても工具の価格体系というのは一体どうなっているのだろう。全く同じ商品(でしょうね)が、正規サイトでは、\18,000、DIY店の店頭では\13,000、通常のウェブで\12,000近辺で、ここだけが飛び離れて安い。プリント基板用のダイヤモンド刃をつけて\14,400のお買い物である。工具としてはルーター、ドリルスタンド以来の大物だ。

 店のメールでは、お取り寄せとか言っていたが、予想より早く3日で届いた。いや、便利な世の中になった。早速、梱包を解いて、試運転する。うわあ、これは楽だ。万力のあて木用のかまぼこ板が面白いように細く切れる。プラスチックなど切れすぎて怖いくらいだ。ダイヤモンド刃に替えて、両面基板を切ってみた。万力で基板を固定し、手鋸でギシギシやって、あとはやすりで整形していた切りだしだったが、正確な4枚分があっという間に出来てしまった。今までの苦労は一体なんだったのか。

 やっぱり工具には金をかけるものだ。世界が変わる。ここで生まれた余裕が次の創造性に生きてくる。かけた投資の元がとれるというものだ。

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2009年12月12日 (土)

リニアPCMプレーヤー3号機の準備

DigiKeyは早い もう届いた(12/2/09)
  実は、前の記事のアップ直前に、DigiKeyから既に品物が届いていた。噂どおりここは本当に早い。到着するのに発送して2日しかかかっていない。アマゾンも早いが、こちらは海外から送られてくる品物とはとても信じられない早さだ。届いたものは、LAN PHY層チップのDP83848Cを除いた3品。BeagleBoardのときと同じ大きさで少し重い。Primer2_pkg

 中から静電気防止の袋に入ったICと、CD4枚パックくらいの大きさの紙パッケージが出てきた。STM32 Primer2である。買ったままにしておこうと思ったが、我慢しきれず、パッケージを開ける。派手なストラップがついていて大きさは本当に携帯電話サイズだ。USBケーブルと、小さなCD-ROMがついている。ここまで来たら動かさずにはおられない。少しいじる。

 情報によれば、USBで充電する時は注意が必要なようだ。CircleOSというOSが既にインストールされており、ゲームも入っている。ブロック崩しのパドルは、加速度センサーで動かす。中々凝ったつくりだ。160×128の液晶スクリーンは思っていたより情報が沢山表示できそうだ。立ち上がりのときに女性が喋るのもおしゃれである。

 のめりこむととまらない性質なので、ゲームを少し試しただけでその先はやめようと思った。それでも、我慢できなくてとうとうドライバーで分解にかかる。ウェブで問題になっていた電源周りの不具合の対応がされているか確認すると言うのが名目である。

 基板を止めているビスが日本のドライバーと合わず(小さいネジの割にはプラス溝が深い)、もう少しでネジ山をつぶしそうになる。かなり力を入れて何とかはずす。問題の箇所を点検する。おお、ちゃんと対策されているようだ。太いジャンパーがレギュレーターをつないでいる。しかし、この対策でも壊れたという情報もあり、秋月でチップコンデンサーを買ってくる必要があるようだ。Primer2_fix

STM32Primer2はこれくらいにしておこう。バックオーダーをかかえたLPCMプレーヤーの追加制作にとりかからなければならない。こちらのほうが優先度が高い。今度のバージョンは3号機と名づけることにする。やらなければならないことが沢山ある。

 これまでの2号機は、機能上の問題と言うより、制作上の色々な課題が残っている。何と言っても、電池フォルダーの制作が面倒である。両面基板を切り出し、正確にケースに接着しないと、接点の接触不良に悩まされる。

 大分慣れたとはいえ、このあいだの最終機は、接点の接触が悪く、2度も接点バネを作り替えてやっとのことで納品した。接着の工程も長いし、とても気を遣う。これを毎回やるのはちょっと苦しい。Photo

 このほかにも、基板のハンダ面と、このフォルダー基板の干渉や、タクトスイッチの高さ不足(ピンをペンチで伸ばしてしのいだ)など、改善したいところが沢山ある。スケッチを描いては、3号機の新しいレイアウトを考える。これが仕事だったら結構つらい仕事になると思うが、ここは、納期のないアマチュアの気楽なところだ。最近、我家にやってきた2匹の猫と遊びながら、色々悩んでいる。

新しいリチウム電池をテスト(12/6/09)
 DigiKeyに続いて、ウェブで見つけた互換バッテリーの安売り店からDSLiteの互換バッテリーが届いた。

 最初、千石で買った互換バッテリーは、オリジナルと同じ1000mAhだが、そのあと追加で買ったものは1200mAh。ウェブで見ると最近の殆どの互換品が2000mAhを謳っている。互換バッテリーだから外形は全く同じである。

互換バッテリーはあたりはずれが大きく、昔、買ったデジカメのバッテリーは、半年もしないうちに純正品より早く、ケースが膨れだし、あわてて処分した。安いからといって、あんまり多量に買い込むとあとでえらいことになる。Photo_2

 しかし、ウェブで\290という値段をつけているサイトを発見し、思わず10ヶ近く買ってしまった(その後、売り切れた)。

 1300mAhだから安くなっているのだろうか。まあ全部使えなくても平均の1/3の値段である。このバッテリーは手頃な大きさで応用範囲が広い。プレーヤー以外にも使える。Xbee電力センサーにも使っている。

 恐らく市場に出回っている製品はすべて中国製だろうが、形が変わらなくて、こんなに電池容量が増えていくのはどうも信用できない。値段も\800クラスが多く(このあいだ2つ買った追加品がこの値段)、千石で買った\500台の1000mAhは、広告があってもすべて売り切れである(世代が替わったらしい)。

 今度のバッテリーは、前の追加品と違ってオリジナルに忠実な作りだ。おや、パッケージの表は大きく、2000mAhと書いてある。しかし、裏の電気容量のところは、2000mAhというシールが張ってあって、シールをはがすと1600mAhとなっていた。確か広告では1300mAhだったはずだ。やれやれ好い加減なものだ。ほんとに2000mAhもあるのかね。

 どうも気になったので、このあいだ作ったリチウム電池充電器で充電して、消費電流を測ってみた。うーむ、電力ロガーも良いが、こういうときにテスターにつけるロガーが欲しいな。

 前と同じように1時間聞いては、1時間休み、また1時間というサイクルで、ブレッドボードに残してあるLPCMプレーヤーで消費していく。結果は、2000mAhには遠く及ばないが、少なくとも前の1000mAhと称するバッテリーに較べると、3割くらい容量が多いようだ。

 前の1000mAhの電池の実測では、3.0Vあたりを放電下限電圧として、1000mAhぎりぎりというところである。今度の実測では、この3割増し、精々が1300mAh(50mAで25時間ちょっと)というところだろう。正直な広告だったのだ。

 大体、2次電池の定格容量というのは連続使用が原則で、こんな甘い測定ではない。しかし、まあ、何と言っても白髪三千丈の国だ。目くじらをたてても仕方がない。安いから許してやろう。

MCP73831を基板につけてテスト(12/9/09)
 新しい充電用IC、MCP73831をブレッドボードにつけてテストするため、このあいだのシール基板と秋月のミニ基板でMCP73831にピンを出し充電テストを行った。仕様が殆ど変わらないとはいえ、リチウム電池の充電である。用心するに越したことはない。Ac112548

 あらためてデータシートを読み込む。マイクロチップ社のデータシートは丁寧で参考になる。放熱を考慮した基板レイアウトサンプルまで載っている。親切だ。充電電流を規定する参照抵抗の大きさまで、LT4054と変わらない。コンデンサー定数が少し違うだけだ。ピン互換に近い。

 参照抵抗を半固定抵抗にして、早速充電を開始する。用心して電流計を回路に入れる。うむ、5KΩで180mA(200mAのはずだが)の定電流充電に入った。問題なさそうだ。

 かたわら、今度の新しい電池基板の工作を始めた。今度の3号機のレイアウトは、CDケースの角を活用した電池ケースを入れても問題ないようになっている。スケッチを見てもらえば分かるように、基板の部品面とハンダ面を逆にしてある。これは、大型パスコン(200μF)を載せるためでもある。ケースの製作は予想通り、接着剤で固定するより、はるかに楽に出来そうである。Lpcmplay3

 1号機では、スペースに問題がなかったので、200μFを載せ、2号機は高さが足らなかったので、100μFにした。気のせいかもしれないが、どうも1号機に較べれば、2号機の音がいまいち物足らない。低音は2号機でも十分出ているが音の範囲が1号機に較べて狭くなったように感じる。どうもオーディオの魔力に捕まりそうになっている。

 しかし、このあたりが職人根性というのだろう。折角作り直すなら、納得の行く形にしておきたい。パスコンの高さ確保で、2連ボリュームを基板とLCDの間に置くことが出来なくなり、配線面に入れる必要が出てきた。スペースは殆どない。しかし、フォンジャックの大きさが半分以下になったし、表面実装パーツをダブらせるなどの工夫で何とか入りそうな見込みが立った。ブログに載せたスケッチは、最終的なレイアウトである。このあとは、あのEAGLEで、今までの構想を実現する苦闘が待っている。

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2009年12月 2日 (水)

STM32 Primer2をDigiKeyに発注してしまった

運命の糸にあやつられて
 電力ロガーの完成で、Xbeeのプロジェクトは一応一段落し、ブログ更新の間が空いた。あれから各部屋のブレーカーにセンサーを付けて電力を測定している。これはこれで面白いのだが、とりたてて記事に書くほどの新事実は出てこない。我家に2つあるウォシュレットの節電手法が機種によって違うことや、ハブやルーターは思ったほど電力を食わないことなどがわかっても、自分ならともかく他の人はそれほど面白がって読んではくれないだろう。ここは電子工作のブログだ。

 ということなら、この10日間で起きた最大の出来事は、タイトルのように、これまで買うのを我慢していた、Cortex-M3チップの評価ボード(というより評価モジュール)STM32 Primer2をDigiKeyに注文してしまったことだろう。Stm32primer2

 STM32 Primer2は、128×160のタッチパネル付TFTディスプレイ、SDカード、USB、赤外線トランシーバーなど盛りだくさんのペリフェラルがついた携帯電話サイズの、STM32F103Eプロセッサー(フラッシュ512K)の評価モジュールである。これだけついていて何と¥6000台の値段である。

 一年前の雑誌付録のSTARMプロセッサー基板を動かそうとして、あれこれ調べているうちに見つけた。STARMでお世話になった「ねむい」さんも入手されて色々実験されている。最近は秋月でも売り出した(現在は売り切れのようだ)。ARMプロセッサーは付録基板だけでなく自前で買ってみようと一時ウェブで探したことがあるが、同じようなスペックの基板はあっても安くても¥10,000近くはした。

 BeagleBoardもそうだが、どうもこういう破格の値段と言うのに弱い体質である。しかし、目の前にまだまだやりたいことがあるのにこれ以上店を広げると、BeagleBoard同様、動かしてみるだけで先に進めないことになるのは目に見えている。理性で物欲を抑えていた。

 それでも、DigiKeyで市販より少し安く売り出されているのを見つけた時は、このあいだの電力測定用のICチップと、雑誌付録のLPC2388基板のイーサネットボードのPHY層トランシーバーICの送料無料化のために、もう少しのところで買ってしまうところだった。このときも必死の思いで、クリックするのを止めた(09/9/17の記事)。

 しかし、遂にこれを止めることが出来ない事態が来てしまった。DigiKeyに注文したいチップがさらに出てきたからである。

 私は運命論者ではないが、当研究所の電子工作のテーマは、何か見えない糸に結ばれて次々にやることが決められていくような気がしてならない。そもそもの始まりが、はずみで買ったDACチップ(BU9480F)である。H8で16ビットDACを動かせると勘違いし、照れ隠しに鈴商で16ビットDACを買って、結局ポータブルのリニアPCMプレーヤーまで作るところまで行った。

 さらに次のプリント基板の2号機制作のきっかけは、千石の改装セールで任天堂のDS-Liteの交換用リチウム電池を格安で手に入れた直後、秋月でたまたま見つけた小さなケースにまるで測ったかのようにこいつがピッタリ納まったことである。ちょうどそのころストロベリーリナックスが、このケースに入る小さな液晶モジュールを売り出したことも後押しした。

 こんどのSTM32 Primer2評価モジュールは、あくまでもDigiKey通信販売の送料無料化のゲタ(¥7500以上無料)にすぎない。欲しかったのは、以下に紹介する3つのICである。しかし、何か運命のような気もする。この評価モジュールがまた別の電子工作の世界を持ってきてくれるかも知れない。

リチウム電池の充電用ICチップMCP73831(11/25/09)
 新たに必要になったのは、リニアPCMプレーヤーに使うリチウム電池充電用のICチップである。リニアPCMプレーヤーは色々なところで自慢したのは良いが、次から次に「欲しい」という人があらわれ、さらに作らなければならない事態になった。そのためには電池充電用ICが必須である。素人にリチウム電池を充電させるわけにはいかない。

 今度のプレーヤーは、最初のうちは面白半分の反応しかないが、実際に音を聞かせると、例外なく目の色が変わる。WAVファイルの音の良さ、自然さにみんな驚いてくれる。市販のポータブルプレーヤーがMP3などの圧縮オーディオに特化し、WAVファイルを直接聞くことが少なくなっためだろうか。

 オーディオマニアから見れば、一昔前の、ディジタルフィルターもない、単純な2倍オーバーサンプリングの廉価版のDACの音である。そんな人から見れば原始的なデジタル再生装置だが、簡単なLPFだけでとても素直な音になっていて、MP3などに較べれば音の格が違うことは明らかだ。

 市販のポータブルプレーヤーでも、今はたいていの機器が、WAVファイル形式を再生できるはずで、聞こうと思えばCD音質の音が聴けると思うのだが、音を楽しみたい人が必ずしも機械に強いわけではなく、設定をWAVにすることが出来なくてMP3などの圧縮ファイルで聞いているからではないかと思う。Mcp73831t2aci_ot

 それに、SDカードをサポートする機種が少なく、限られたディスクスペースにWAVファイルを入れると曲数が限られてしまう。メーカーとしては宣伝しにくい。デジカメのいたずらな高画素数競争のようなものだ。しかし、今やSDカードなどのメディアは8Gや16Gなど当たり前で値段も以前とは信じられないくらいの安さだ。これを利用しない手はない。

 そんなことで、面白半分の人も含めれば10人近い人から注文を受けた。いつまでと期限は切られていないが、これは大変なことになった。次のOlimexは、2枚まとめて注文しないとさばけない。

 LPCMプレーヤー2号機追加制作には、気がかりな問題がある。リチウム電池充電用ICの価格が高すぎるのである。これまでのLPCMプレーヤーの中で一番高価なICチップは、CPUでもDACでもなくて、充電用のICチップ(LTC4054 ¥440)である。

 千石でいつでも買えるので入手性は良いのだが、CPUのMega328(何と秋月では¥250しかしない)の2倍近くするのは何とも抵抗がある。代替品をウェブで探すと充電用ICは沢山のメーカーが出していて、いずれもLTC4054より値段が少し安いが(\200前後)、アマチュアが1個から買える製品が殆どなく入手性が悪い。

 ところが、たまたま、電子工作の世界では有名な後閑さんのサイトでマイクロチップ社のリチウム電池充電ICファミリーを見つけ、DigiKeyで検索してみたら、MCP73831というチップが1個から買えるではないか。しかも値段はたったの¥68、10個まとめれば¥56である。

 あわてて、データシートを確かめる。おお、今使っているLTC4054と殆ど同じ機能だ。何だ、何だ、どうしてこんなに安いのだ。最大充電電流は少し低い(800mAが500mA)が、トリクル充電から始まって、定電流、定電圧、シャットダウンの各ステップに何の違いもない。Mcp73831

 さあ、これは買うしかない。これまで欲しかったのは、PHY層のイーサネットIC、DP83848C(雑誌付録基板LPC2388のLANインターフェース)と、電力測定用のIC(ADE7753)という不要不急のチップだけだったが、今度はLPCMプレーヤー後継機に必須の部品である。

  DigiKeyにアクセスする。まずSTM32 Primer2のページへ行く。おおお、値段はもっと安くなっている。¥6000を割って¥5991だ。円高が進んでいるからか。発注ボタンを押し、イーサネットICに進む。おやあ、お目当てのDP83848Cは売り切れだ。このチップは参考情報が多いので第一候補にしていたチップだ。それではもうひとつのPHY層チップ、Micrel社のKSZ8721はどうだ。いかん、ここも売り切れている。QFPでなくてSSOPのチップは在庫があるようだが、0.5ミリピッチの48ストレートピンは半田付けはともかく、ピッチ変換基板が、えらく大きくなってしまう。

 あちこち調べているうち、DigiKeyは在庫が0でも注文が出来ることを見つけた。あとから別送させても送料は一回分ですむということだ(何度も確かめた)。これは助かった。どうせイーサネットICはすぐには使わない(えない)。かえって都合が良い。

 DP83848C(\572)を2つ、ADE7753(\461)を2つ、MCP73831(すZさんのページを参考にACタイプ)を10ヶ、それにSTM32Primer2、あわせて¥8000少々と無事、送料無料ラインを越えた金額になった。胸を張って発注確定ボタンを押す。

イーサネットPHY層トランシーバーDP83848CDp83848c
 これは、今年のインターフェース誌5月号の付録についたARMプロセッサーLPC2388基板のイーサネットインタフェースになるICチップである。前の記事(09/5/4)にもあるが、ショップとタイアップして売り出されたLAN&SDカード拡張基板が余りにも高価なのに反発して、意地でも自前で作ろうと考えている計画の一環である。

 LPC2388は、イーサネットのインターフェースは、TCP/IP層までハードで持っているが、その下のプロトコルの実装は別のチップを用意しなければいけない。電気物理(PHY)層は、種類が多く、技術進歩が激しいので、CPUコアに入れて汎用性がなくなることを考慮したものだろうが、アマチュアには使いにくい。

 付録とタイアップして売り出された拡張基板は、LANとSDカード、それにUSBホストのソケットがついて¥6800である。だいたいUSBホストは別のコントローラーがついているわけではなく、ソケットだけで本体の基板と重複するし、SDカードのインタフェースなどプルアップ抵抗をつけるくらいで基板にする必要もない。抱き合わせで値段を上げようという姑息さが気に入らない。それに小売の部品代から考えてもこの値段は法外というしかない。

 同じようなことを考えている人は他にもいて、ブログに問い合わせのコメントが入っている。この拡張基板に載っているPHY層のトランシーバーはLAN8187というチップで、DigiKeyでは800個単位でなければ入手できない。PHY層だけのチップは主流は今やギガビットイーサに移り、アマチュアが何とかなりそうな10/100Mbps帯は、殆どが生産停止と思われる製品ばかりだ。Mcb2300

 それでも、3種類くらいはウェブでヒットしたが、前の記事にあるように買うまでには至らなかった。ナショセミのDP83848Cは、ARMのコンパイラーで有名なKeil社が売り出しているLPC2388の評価ボードMCB2300 に使われており、回路図が公開されているので作れそうだ。

 いずれにしても、今年の4月以来の懸案だ。これまでの工作と違ってハードソフトとも、相当高度な技術が要求されると思う。データシートを見てみたが殆ど理解出来なかった。しかし挑戦しがいのある十分な高さだ。夢があるだけでも良い。ただ、LPC2388でイーサネットを実現しても次に何をするのかが決まっていないのが最大の問題だ。まあ、これは聞かないお約束ということで。

AC電力測定ICチップADE7753
 これも、どちらかと言えば、弾みで欲しくなったICである。今すぐに必要なわけではない。電力測定を検討していた以前の記事(09/9/4)にも詳しく出ているが、現在のXbee電力ロガーのセンサーは非接触のCTセンサーで電流しか測っていない。電圧は常に100V正弦波、電圧と電流の位相差ゼロ、つまり力率100%とみなして電力を測定している。Ade7753arsz

 白熱灯や、電熱器などの抵抗負荷なら問題ないが、蛍光灯、スイッチング電源や、掃除機、電気冷蔵庫などのモーター(誘導)負荷は、波形がパルスになっているだけでなく電圧との位相差が出て正確な電力は電流だけでは測れない。

 アナログディバイスのこのICは、交流のこうした複雑な電圧と電流を連続的にサンプリングし、瞬間電力を積分して正確な電力量をデジタルにしてシリアルラインに出力するというすぐれもののICだ。

 電圧を測らなければならないので、今回は諦めたが、今の電流だけ測るロガーが物足らなくなったら、これを使って正確な電力を測ってみたいと考えている。データシートをよく読んだら、AC入力は差動入力になっており、デジタル部のグランドとは分離が出来るようだ。これなら少し安心である。

 面白いもので、手に入れるだけで今までの胸のつかえがおりたような良い気分になるから不思議だ。ま、以上2つのICは、暫くは出番が来ることはないだろう。大切に棚の奥にしまっておこう。がた老AVR研究所には、雑誌付録のFPGA基板2枚、320×240の5インチTFT液晶ディスプレイ、ARM基板2枚、NECのDACチップ等々、出番を待っているディバイスがまだ沢山ある。

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