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2009年8月16日 - 2009年8月22日の1件の記事

2009年8月19日 (水)

CADソフト EAGLEにはまる

 およそ2 週間ぶりのブログの書き込みである。お盆より一足早く一家で¥1000の高速を利用して車で関西に帰省し墓参りをしてきた。みんな行ったことがないというので帰りに足を伸ばして国宝の姫路城を見に行き東京へ戻ったら、姫路の近くの町で大水が出て沢山の人が亡くなられ、東名高速は帰ってきた次の日に地震で不通になった。間一髪で危機を逃れるアクションスターの気分である(家族は災害を残してきたと気にしているが)。

 そんなことで電子工作は少しお休みしていた。それでも帰ってきてから、またCADソフトにすっかりのめりこんでいた。前記事のタイトルは「EAGLEの落とし穴」で、こんどのタイトルは「EAGLEにはまる」である。ソフトや電子工作の世界で「はまる」というと、このあいだのように落とし穴やバグにつかまって中々問題が解決しないときに使うが、もうひとつの意味として「ゲームにはまる」というように夢中になる時にも使う。

 まさしく今度のEAGLEは2つの意味ではまっている。考えてみたら、これまで鉛筆と消しゴムで紙が真っ黒になるほど苦労して描いていたアートワークがPC上で自由に出来るのだ。下手なゲームよりよほど面白い。

 色々癖はあるが、まともに買えばスタンダードのライセンス版で10万円近くするCADソフトである。さすがに良く出来ている。エラーチェックを厳密にやってくれるのが安心である。Lite版ながら、非営利の目的なら無料で解放してくれるCadSoft社の太っ腹に感心する。事業用のLite版は49ドルである。安い(日本では少し高く1万円前後)。しかしこれは巧妙なマーケッティングである。学生に無料で使わせれば仕事に入った時このソフトの導入を提案する可能性は極めて高い。

 ソフトも使い慣れてくると、癖のある部分も、じゃじゃ馬を乗りこなして得意になるように、使いこなしている快感につながるから人間と言うのは不思議なものである。毎晩遅くまで奮闘した結果、やっとのことでLPCMプレーヤー2号機の基板は、Olimexに発注できるレベルに達した。以下はその作業記録である。818lpcm

正確なスケールに感動する(8/13/09)
 お盆の帰省を挟んだ作業の結果、2号機の基板設計は予定したすべての部品を載せて配線率が100%になり、配線が終了した。 まだ自分で作った部品のサイズが正確かどうか最終的に確認する必要があるが、電源ソケット代わりのUSBミニジャック、電池とスイッチの接続に使うピンヘッダー、3端子レギュレーターなど残していた部品も全て載った。

 コツがだいぶわかってきた。最初から自動配線にしないことである。VccやGNDなど引き回しの多い配線やアナログ線など、重要な配線は手動で前にすませておく。このあと自動配線を指示すると、基板上下の配線をつなぐビアを開けながらコンピューターが勝手に配線してくれる。

 ここでもEAGLE特有の操作性が悩ませる。エラー状況のデータはエラーリストをクリアしただけでは更新されない。DRC(デザインルールチェック)ボタンで必ずもう一度チェック処理を最初からしなおす必要がある。考えてみたら当たり前のことなのだが、最初は何度配線の位置を変えても、エラーリストからエラーがなくならず頭を抱えていた。

 さらに部品の緒元は、部品を載せた後、変更できる部分と出来ない部分がある。容量や抵抗値は自由に変えられるし、シルク印刷の線の巾などはボードエディターで変更できるが、パッケージの形を変更するのは部品エディターまで戻る必要がある。パッケージデータを変えた後、updateコマンドで基板エディターのところまで変更してくれるのは嬉しいが、時々前のデータが残っていたり(tNameが2重になる)、ひとつのシンボルデータに何種類もパッケージがある部品(コンデンサーなど)は、変更した部品とは別の部品までパッケージが変わってしまったりして一筋縄ではいかない。

 抵抗をすべて縦置きにしてスペースを稼ぎ、コンデンサーをノギスで測りなおして正確な小さなパッケージデータにしたりして、部品をつめ、間を配線していく。基板の端やドリル穴の近くは配線禁止区域が思ったより広くなかなか許してもらえない。Lpcm2

 何とかNo Errorになったので、出来た基板を印刷する。スケールは1。実際の部品を印刷した実体図の上に載せてみる。おおお、正確だ。これは素晴らしい。表面実装のSDカードソケットとUSBミニジャックのピンがピタリと納まっている。感動ものである。2連ボリュウムのピッチ違いもこれで確認できた。部品エディターを開いて、ピッチを正確な2ミリピッチにする。ミリとmil(1/1000インチ)の換算がややこしい。印刷を切り抜いてケースに入れる。ちゃんとサイズが合っている。1号機と並べてみると、そのコンパクトさが実感できる。12

 LCDパネルがケースと、さらにLCDのピンヘッダーが裏の電池フォルダーとぶつかることがわかった。細かく位置調整して、LCDパネルをボードに合わせる。少し位置を変えるだけであちこちがclearanceエラーになるのでそう簡単ではない。しかしEAGLEにだいぶ慣れてきて、変更が早くなった。ときどきripupコマンドが動きすぎて全部の配線をはがしてしまい、面食らうが、これもripupするところを慎重に選べば必要なところだけはがれてくれる。

  3回、ファイルをセーブしてスナップショットを作りながら、微調整する。ほぼ望みの配置と配線を終えた。それにしても、このアートワークは際限がない。やり始めると時間のたつのを完全に忘れて夢中になってしまう。配線も良く見ると自動配線は無駄が多い。電源やアナログの部分の結線は太くしたいし、ビアを少なくする方法が見つかることもある。見るたびに不満なところが出てくる。きりがない。

  最初はとんでもなく遠い道に見えたが、何とかなるものである。印刷した実体図を見て感慨にふける。2層でも結構な配線量だ(48×74ミリ  パッド数132 ドリル数156)。手配線では苦労しただろう。あとはOlimexへの注文のための処理を残すだけとなった。

最初はStopMaskエラーが900以上(8/17/09)
 出来た、出来たと得意になっていた鼻は、しかし次の作業ステップで簡単にへし折られた。Olimexに発注する制限事項をこのウェブサイト(ここは詳しくておすすめ)でチェックし、所定のレイヤーを指定したところ、何とStopMaskエラーというのが917個もあらわれたのである。

 レジストを塗らないハンダ面にシルク印刷をしているよというエラーなのだが、標準ライブラリの部品はほとんどが元からそうなっている。こちらで置いた部品名などがパッドにかぶっているところはむしろ少ない。部品ライブラリを全部直さなくてはならない。すぐに何とかなるものではない。気の遠くなる話だ。あわててウェブに助けを請う。

 ウェブには余り情報はなかったが、EAGLEのバージョン5からの問題なのだそうだ。単にシルク印刷がそこにされないだけで、Olimexがこれで発注を拒否したり追加料金をとったりすることはないように思われるが、確証はない。

 しかし、エラーがあるままOlimexに発注するのは何となく気分が悪い。幸い、Olimexは8月一杯休みをとるので発注できるのは9月になってからだ。ひとつひとつの部品ライブラリのシルク印刷の部分を直して行く必要があるが、時間はたっぷりある。それにこういう手仕事は嫌いではない。

 今日も真夏の炎天下でテニスをして体はばてているのだが、気がついてみると、PCの前で、コツコツ、部品をとりだしてはシルク印刷のレイヤーを分解してエラーを無くす作業をしている。 標準ライブラリに入っているパッケージの中には既にStopMaskエラーを考慮したシルク(tPlace)になっていてパッドを横切るラインはtDocuという別のレイヤーになっているパッケージがあったりして混乱する。どうも混在しているようだ。

 しかも部品ライブラリとOlimex指定ルールの実際の基板とではStopMaskの大きさが違うので部品エディターの段階では確認できない。ひとつ部品を更新しては、実際のボードエディターでエラーをチェックしていかなければならない。結構大変である。

 それでも、部品をとりかえてはDRC(デザインルールチェック)をかけ、少しづつでもエラーが少なくなっていくのを確認していくのは楽しみなものである。それに、この作業の過程でレイヤーの構造がかなり理解できた。tDocuとtPlaceの2つのレイヤーを持っている部品は、始めこれが何のためかさっぱりわからなかったのだが、この作業のおかげで完全にその目的が理解できた。

 要領がわかってくると作業のスピードは速くなる。 900あまりと言う気の遠くなるエラー数は、2日余りで100前後に減らすことが出来、今日(8/17)、遂に0になった。万歳! これで安心してOlimexに基板制作を発注することが出来る。

 調子に乗って、このあいだからの懸案、Xbeeの2ミリピッチの変換基板もついでに作ってOlimexに発注することにする。160×100のOlimexの発注基板は、4分割して3枚をLPCMプレーヤー基板、残りの1枚を2分割して、Xbeeのピッチ変換基板2枚にする予定だ。

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