FPGA液晶フォトフレーム計画の再構築
俺も懲りない男だ(5/17/2010)
ブログにFPGAを失った顛末を書いたら、早速、何人もの方から慰めのコメントを寄せていただいた。いや、ブログをやっていて良かった。人は一人で生きていけないというけれど、こうやって何かがつながっているというのは、とても力づけられる。かみさんがこのショックを慰めてくれる可能性は殆ど皆無である。ありがとうございました。
コメントにも書いたけれど、落ち込むのも早いが、立ち直るのも人より早い。おしゃかになったFPGA基板を見ていて思いついた。このチップは0.5ミリピッチだが、0.5ミリでもこのあいだの変換基板では難なく成功させている(48ピンQFPだけれど)。
こわれているのがFPGAチップだけだとしたら、単品のFPGAを交換すれば、基板は生き返る可能性がある。早速、DigiKeyで検索する。あった、あった。Xilinx FPGAで一発でヒットした。何と、価格は、こわれたXC3S250Eは¥1300余りで、下のランクのXC3S100E(ゲートは10万)なら¥1000ちょっとだ。
いや待て。壊れたのはFPGAだけではないかもしれない。レギュレーターも壊しているかもしれない。苦労してFPGAをつけて動かなかったら2重の悲劇だ。そうだ、まずはテストしてみよう。テスターを取り出し、電源を入れて電圧を測る。いやだめだ、Vccは0V。レギュレーターもやられている。いやいや、これはレギュレーターではなく、FPGAがショートしているからかもしれない。
こういうのをやり出したら止まらない気質(たち)である。とにかくFPGAをはずしてしまおう。こちらには、サンハヤトの低温特殊ハンダがある。どうせ昇天したFPGAだ気にすることはない。
低温ハンダを載せて、半田ごてで4周を暖める。うーむ、とれない。おかしいな、と思った時、ズルッとFPGAがはずれた。フラックスで固着していたようだ。
FPGAをはずしたところで電圧を測る。良かった。すべての電圧は正常に出ている(このFPGAは、2.5Vと1.2Vという別の電源が要る)。やられたのはFPGAだけだ。新しいチップをつければ元に戻る可能性が高くなった。
うーむ、楽しみなことになってきたぞ。Xilinxはあきらめて、フォトフレームプロジェクトは、付録基板のLatticeのXP2に移行すべく準備を始めていたところである。その前にやることが増えた。
しかし、千円余りの単体のXilinxチップを買うために、送料を¥2000払うのはしゃくである。何かをゲタにしたいが、考えられるのはビデオ用の3.3Vで動くDAコンバーター(ADV7125、DWM2007年8月号に詳しい)くらいで、これだってひとつ千円しない。欲しいものといえば、このあいだコメントでshuji009@愛読者さんに勧めた、AlteraのFPGA評価ボードDE0なのだけれど、これを買ってしまえば、がた老AVR研究所には、Xilinx、Lattice、Alteraの3社のFPGAが揃ってしまうことになる。
この評価ボードDE0は、AlteraのCycronⅢを積んだTerasicという会社が出している教育用ボードで、8MバイトのSDRAM、4Mバイトのフラッシュ、12ビットカラーVGAインターフェース、SDカード、RS232C、PS2など、てんこ盛りのインターフェースがついている。これだけで、念願のAppleⅡを作れるかもしれない。
しかも価格がこれだけのスペックで、国内では1万6千円、DigiKeyでは、何と1万2千円で買える超お買い得品だ。破格の値段というのが、またどうにも誘惑的で、いずれは買ってしまうことになるだろうが、3種類もFPGAがあったら、開発環境や書き込みツールもそれぞれ用意しなければならないし、今のところここまで手を伸ばす余裕はとてもない。
盛んに迷っている。DigiKeyの注文画面にまで行っては思いとどまることを繰り返している。とりあえずはLatticeの開発環境を作ることが先のような気もするし。
液晶モニターも壊れていた(5/21/2010)
今度の事故の原因は、信号線であるべきVGAケーブルに12Vの電源線を混ぜたためにプローブが誤接触したことにある。まずは再発を防ぐために、VGAケーブルから12V線をはずし、モニターに12VのDCアダプターを移設した(最初からこうしておけば良かった)。 工作を終わって通電すると、液晶モニターの画面が出たが、リファレンスのNTSC変換基板からの映像が映らない。真っ白なラスターが出るだけ。
そうか、FPGAだけの被害ではすまなかった。12Vは同期信号線を通って、こちらの回路にも流れ、何か部品をこわしてしまった。やれやれ、これまでの、このモニターケースにつけてきたスタンド、VGAソケット、それにDCアダプターの工作がすっかり無駄になってしまった。再びがっくり来る。
映すべき対象を失って、フォトフレーム計画は、完全に振り出しに戻ってしまった。この液晶モニターは、2年前に、中古液晶通販では有名な(というより、ここ以外にない)Aitendoの直営店で買ったカシオのアナログRGBの5インチTFT液晶である。中古なのでNTSC変換基板をつけても¥2000しなかった気がする。
そのときは、まだ液晶モニターについての知識が殆どなく、たまたま買ったこのモニターがアナログRGBだったので、これまでコンポジット同期や、ビデオDACなどアナログ回路について色々挑戦してきたが、考えれて見れば、デジタルRGBモニターならFPGAのデジタル出力をそのまま入れるだけで、はるかに簡単で画質の良い画像が得られる。
まあ、これも負け惜しみになるが、前向きに考えると、モニターを失って、むしろプロジェクトの自由度が高まったのかも知れない。アナログRGBにこだわる必要がなくなった。折角ビデオDAC(BU3616)を買ってあるのだが、Vccが5VなのでレベルシフターICが2つもいる。手間ばかりかかって実用性にかけるなあ(フォトフレームが実用?)と思っていたところだ。
となると、このフォトフレームの計画そのものも、基本から考え直したほうが良さそうだ。最近の電子工作では、ウェブを見ていると、OLEDとか2インチあたりの小さな液晶モジュールが大流行で、どのサイトでも、ARMや最近の強力な付録CPU基板を使って画像を出している。
みんながやっているし、新しいディバイスOLED(有機ELディスプレイ)などには激しく好奇心を刺激されるのだが、自分が今作ろうとしているのはフォトフレームである。2インチ程度の大きさでは、フォトフレームとしては実用的とはいえないだろう(まだ、こだわっている)。それにフォトフレームはどちらかと言うと手段で本来はFPGAのマスターが主目的だ。プロセッサーを使って画像を出しても自分にはあまり意味がない。
やっぱり液晶モニターを買い直すことにする(5/24/2010)
色々思い悩んだ結果(はたから見れば馬鹿としか言いようがないが)、結局、初志貫徹でもういちど前と同じような液晶モニターを調達することにした。以前買った店(Aitendo)のウェブページで適当なモニターを探し始める。
以前に較べると、商品の点数がはるかに多くなっている(マニアが増えているのか)。中古、新品、アナログ、デジタル、大きいの、小さいの、いやまあ種類の多いこと。値段も¥200という呆れる値段から、5インチくらいのサイズなのに¥8000以上するNEC製の新品液晶まで、5~8インチという大きさの範囲だけでも20種類近くある。何が良いのか迷ってしまう。
この店以外にも液晶モニターを売っているところはあるが、種類が少ないうえ、新品ということもあって、どこもここよりはるかに高い。市販品のフォトフレームの値段や、秋葉原の街角で売っているパソコン用の1万円内外の液晶モニターのことを考えると、液晶パネルに¥5000以上出費するには抵抗がある。とにかくこの店以外で買う気にはならない。
しかし、この店、殆どがプロか、セミプロのマニアが相手なのだろう。説明の省略が激しく、私のような素人には解読するのが難しい。ジャンクと新品が混じっているので、値段の感覚がつかめない。それに動かすために必要な部品(インバーター、フレキケーブル、ソケットなど)が、そのモニターについているかどうかの判別がつかない。
モニターによってはインバーターが内蔵されているのもあるし、思わせぶりなコネクター周りの配線の写真が、見る人が見ればすぐわかるのかもしれないが、良くわからない。どうもウェブからは発注しにくい。東京に住んでいるので、直営店舗に行けば直接、手に取れて良さそうなのだが、店舗では割引せず通販に限る特価というのがあったりして悩ましい。
ただ、前記事で紹介した小型液晶自作サイトの京谷豊氏が、盛んにこの店の製品の実験記事を書かれているので、とても参考になる。それに安心して品物を選べる。
今、決算期の安売りをやっているようなので、早く買ってしまいたいのだが、目移りしてしまって、今もって買いたいものが決まらない。困ったものである。
絶滅危惧種の平型2連ボリュームを求めて(5/10/2010)
FPGAや液晶モニターをめぐる気の張る話が続いたので、ここは少し肩の力を抜いてノスタルジックな話題をひとつご紹介。
FPGAだ、VGAだと大騒ぎしながら、考えが行き詰って計画が進展しない時には、単純作業で先に進めるLPCMプレーヤーの最後のロットの製作を少しづつ続けてきた。
そんななかで大問題が発生した。部品を確認していたら、音量調整の2連VR(ボリューム)が、ひとつしか見当たらない。このあいだ秋葉に寄ってこれまで買っていた千石通商に行ったが在庫切れだった。ウェブで調べると、何とこの小さな平型2連VRは絶滅危惧種で入手が難しいという。最近はスイッチで操作する電子VRが殆どで、確かにこれを使っている音響機器はもう見当たらない。この小型VR、安物で左右のバランスがときどき狂う。他に替わるものがないのか考えていたところだが、手に入れるのが難しくなっている部品とは思わなかった。
しかし、これを想定して作った基板が4枚もある。ブレッドボードに差していたテスト用のプレーヤーに同じものを使っているのに気づいてひとつ、さらに1号機のVRをはずすとしてひとつ、予備を含めて計3ヶは確保したが、どうしてもあと一つ足りない。
今さら電子VRに換えるわけにはいかない。困った。ウェブをさらにしつこく検索する。すると、トランジスタラジオ愛好家のページで、秋葉にただ1軒、在庫している店(ラジオデパート3Fシオヤ無線)があることを発見した。
嬉々として仕事の帰り、ラジオデパートに寄る。ひところは火の消えたようなさびしさだったラジオデパートだが、最近は少し活気が戻った。真空管を売る店がやたらと増えた。店にたどりつく。息せき切って主人に聞くが、出てきたのはスイッチ付きの単連の5kΩだけであった。2連はこの店にもないという。うーむ残念。
そのごDigiKeyの分厚いカタログ(居間の昼寝用の枕)を見るともなしに見ていて、ここで探すことに気がつく。カタログをめくる。あった。Panasonicの2連ボリュームが大きさもフットプリントもピッタリ同じだ。喜び勇んでサイトに行って在庫を確かめる。しかし、ここも在庫切れでお問い合わせ扱いである。
藁にもすがる思いでメールを打つ。返ってきたメールはやはり製造停止で入荷の見込みなしという返事であった。しかし、ここの問い合わせメールの返信は恐ろしく早い。メールを打って外出し、数時間後帰ってきたらもう返事が戻っていた。
プリント基板なので、別のものをつけるわけにはいかない。昔のトランジスタラジオや、ウォークマンには至極当たり前についていたダイヤル式の可変抵抗器なのになあ、と時代の流れに感傷的になっていたとき、ふと思いついた。そうだ。もう使っていないカセットテープ時代のウォークマンが一台眠っている。あそこにはダイヤル式のボリュウムがついていたはずだ。
戸棚の奥から掘り出した。カセットテープの山も戸棚の片隅に眠っている。おやおや、電池の電解液が漏れて散々な状態だ。おう、思い通りのボリュームがついている。大きさも16ミリでピッタリだ。腐った電池をはずし接点を磨いて動くかどうか確かめる。
幸か不幸か、モーターはピクリとも動かなかった。よし、これで心置きなく分解できる(その後、このウォークマンはヘッドフォンジャックをつけないと電源が入らない仕様であることを思い出した。許せウォークマン。合掌)。4ヶばかりの小さなネジをはずしてパズルのように取り外した。この頃(30年近く昔)のアセンブリはとても手が込んでいる。
ボリュームを基板ごと切り離した。おおお、ほとんど同じ大きさだ。抵抗を測る。ピッタリ10KΩの2連だ。固定に一工夫しなければならないが、スペース的には全く問題がない。良かった。これでプレーヤーのプリント基板が無駄にならずにすむ。めでたし。めでたし。
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