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2010年12月の2件の記事

2010年12月29日 (水)

電子音量リモコン改修と、とりとめもない工作

 フォトフレームプロジェクトでFPGAという最新技術に挑戦し続けたので、息抜きに赤外線リモコンの電子ボリュームを作って見た。しかしそれが一応完成したというのに、依然として元のプロジェクトや新しく買ったAlteraのFPGA教育ボード、DE0への制作意欲は戻らない。

 所長はこれまでに何度も書いているように、生来の天邪鬼(あまのじゃく)、へそ曲がりである。人がやったことの後追いが嫌いで、わざわざ違うことをやりたがる。このあいだの雑誌付録(インターフェース誌2009年5月号)のARMプロセッサー、LPC2388のときもそうだった。あのChaNさんが次号に2章にわたって詳しい制作記事を書かれ、ソースコードまで提供されると、すっかりこの石の興味を失ってしまった。

 こんどのDE0も危ない。すんさんの掲示板で、日頃お世話になっているshuji009さんやkugaさんが、AppleⅡクローンの制作を報告され、ソースコードが公表されると、あんなに意気込んでいたAppleⅡへの思いがいつのまにかしぼんでしまった。

 気持ちが醒めたのには他にも理由がある。AppleⅡ復活の目的は、ロードランナー、チョップリフターなどの懐かしいゲームをもう一度動かすことだったのだが、どうも10年前の引越しで残してあったはずのフロッピー一式をすべて捨ててしまったらしく、探しているがどうしても見つからない。それ以来急に意欲が失せてしまったことも事実だ。

 それはとにかく、ブログの更新にあまり日を空けるのは具合が悪い。まとまったことをしていなかったので脈絡がつかないのだが、備忘録として残すことにする。

高級電子ボリュームでもやっぱり音がなまる(12/10/2010)
 PGA2311を使った音量リモコンの実装版が完成し、音を聞きこんでいる。残念ながらプリアンプとメインアンプの間にリモコンを入れるとどうしても音が変わる。ノイズもハムも全くしないが、音の輪郭がやはりごくわずかながらぼやけることは否めない。

Pc283523

 並みの録音のCDくらいでは違いは分からないが、当研究所が所蔵する恐ろしく音の良い一昔前の高級アナログFMチューナー(L-01T、定価では15万以上した)では、放送ソースによって音が甘くなるのがわかる(生放送のスタジオでの環境音など)。薄皮一枚が耳についたくらいの差だが、それにしても人間の耳はたいしたものだ。

 まあ、これは気にし出したらきりがない。イージーリスニングとHiFi(ハイファイ)とは本来両立しないものだ。どんな高級品でも入出力の差を全くゼロにすることは不可能だ。インピーダンスを揃えたり、RCAジャックを換えたり、ケーブルを短くすれば、少しは改善されるかも知れないが、これ以上の原音追求はやめておこう。いわゆる「音の蟻地獄」にはまるとえらいことになる。

 ただ、リモコン電子ボリュームには、やり残していることがある。一時断念していた終了直前の音量レベルをEEPROMに記録する仕掛けである。現在は、変更5回ごとに1回、EEPROMに記憶させているが、どうもしっくり来ない。やはり、電源を切る直前の音量レベルに戻したい。

 リセットICやコンデンサーを持ち出して仕掛けを作ろうとしたが、大掛かりになりそうで先送りしていた。リセットICで電源が切れたことが検知できるのは良いが、リセットICは電源が入って安定するまで一定時間(数百ms)リセットしつづけるのが本来の機能である。ループの中で、電源が切れたときと、立ち上がりのときで処理を分ける必要がある。

 これを回避する方法が思いつかなかったのだが、何も難しく考えることはなかった。通常のループの中でこれを区別しないで、初期化のところで出力が1になるのを待っておれば良いのだ。どうせ、このPGA2311は100ms後でないと所定の動作を開始しない。そのためのウェイトまで入っている。

Pc143473 思いついた時の手の早さには自信がある。早速ブレッドボードで実験にとりかかる。必要な部品は、秋月で8ヶ¥200で買ったリセットIC(3.3V用 TCM809R)と、手持ちのショットキーバリヤーダイオード、100μFの電解コンデンサーである。いつものシール基板とミニ基板でブレッドボードに刺さるようにして実験した。リセットICは3.3V用を選んだ。本当は5V用の方が、動ける時間が長くなるが他にも使うことを考慮した。

 UARTに出力するテストバージョンは問題なく動いた。100μFで、EEPROMに5回、470μFなら30回(バイト)以上、データを書き込める。最後の方は正しい値を書き込めていないようだが、こんなに長くは必要ない。1バイトで十分である。

BOD設定でさらに確実に(12/13/2010)
 すんさんの掲示板を見ていてさらに有力な情報を見つけた。AVRプロセッサーのBOD(Brown Out Detect)設定である。電源が切れた後、プロセッサーはループし続けるが、電圧が低くなっていくときに不正な番地に飛ばない保証はない。BODはこれを防止する仕掛けで、これで安全にプロセッサーは停止する。今まで何に使うのかと思っていた機能がこういうときに役に立つとは思わなかった。

Pc113467 早速テストする。フューズビットを書き換え、1.8V以下でリセットする指定にした。よーし、UARTの最後の文字が暴れなくなった。念のためオシロで検証してみる。1.8V以上ある30~50msの間で正しくEEPROMに7バイト書き込めた。EEPROMは特に電源が安定していないとエラーが出るということで、電源電圧が低下していく中での動作を心配したが、1バイト程度なら全く問題ない。

Pc143471 本番機に実装する。バックアップコンデンサー、リセットICなどを配線する。ブレッドボードと本番機では電源が全く違うので、実装してからもオシロで過渡状況を調べる必要がある。よしよし、少なくとも10msはリセットICのリセット動作とBODの間で保証されている。EEPROMへの書き込みは以前実測して4ms以下なので十分だ。 

 ソフトと回路図の公開は迷ったが、みなさんからの批評や意見も聞きたくてあえて出すことにした(今のところ全く問題は起きていませんがリセットICの通常の使い方とは違う独自の方法です。自己責任でお使いください。また前回の回路図とソフトとは全く互換性がないので注意してください)。

Ir_remocon1228

ここに電源断を検知してEEPROMを記録するバージョンのソフトを置きます。

「Rcon2313_1228.zip」をダウンロード

どうもフューズビットを間違えて書いてしまった(12/15/2010)

 電源断によるEEPROM保存は、全く問題なく稼動した。しかし、BOD設定をしているうちにフューズビットの書き込みがずれたらしい。Tiny2313のひとつをAVRSPが認識しなくなった。

 当研究所は、プログラムライターに凝る趣味がないので、手持ちのライターは一番愛用しているChaNさんのシリアルライターとAVRSP、それに同じUSB-ISPブリッジ、TADさんの雑誌付録のNECの78K0を使ったAVRISPのクローンくらいしか持っていない。

 どのライターでも認識しない。BODを設定している間に、どうもリセットピンを無効にするフューズビットを間違えて設定してしまったようだ。まだ殆ど使っていないTiny2313ひとつが書き込み不能になってしまった。一ヶ¥100しかしないチップだが、動かないとなるとやはり気分は良くない。

 気になると他のものに手が付かなくなる気質(たち)である。リセットピンを有効にするフューズビットを書き換えるのはパラレルプログラミングが必要だ。自分には関係ないと思っていたAVRのパラレルプログラミングをしなければならない羽目になった。

 日頃、読み流していたAVRのプログラムライターの記事を改めて調べまわる。パラレルライターは、TADさんの亀の子方式の高電圧リセッターが一番簡単そうだ。ハンダ付けはさすがにやめてブレッドボードで作る。ブレッドボードにジャンパー18本余りをあてて亀の子の替わりをする。

 しかし、何度か高電圧(12V)をかけて試みたが、Tiny2313は息を吹き返さなかった。動かなくなったのはフューズビットの書き損じではない別の原因なのかもしれない。ただ、これまでのライターはすべて純正ではなく互換ライターである。純正で確かめなくてその石を動かないと決め付けるのには少々気がとがめる。

 最近は、秋月でもAtmelの純正ライターAVRISP mkⅡが安価(¥3000)で売られているようだが、どうせ純正品を買うなら、パラレルで書けるAtmelの純正ライターDragonを揃えておきたい。VersionUpして最近の石もサポートしているようなので、¥4700(DigiKey)出して買ってみようかとも思う。しかし、¥100で買える石の復旧(それも確実でない)に47倍の投資はいくら何でも割が合わない。とりあえずは潔く諦めることにする。

フォトリフレクターで遊ぶ(12/17/2010)
 Tiny2313 1ヶを黄泉の世界に送って、また一気に気分が落ち込んだ。何をするにもやる気がなくなった。情けない性格だが、いつもこういうくだらないことで一喜一憂する。こういう時は、何か全く違うことをして気を紛らわせるしかない。そういうことなら以前秋月でフォトリフレクター(TPR-105F ¥50)を面白がって買ってあったことを思い出した。

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 フォトリフレクターは、ライントレーサーなどのロボットの位置センサーによく使われるが、買った動機は、脈拍計のセンサーとしてである。ネットをさまよっていて、指の毛細血管の血液の反射率で脈拍がとれるというしかけが面白くてたまたま秋月で買ってあった。

 ブレッドボードでそのテストをする。ウェブサイトで見つけた回路は、オペアンプで増幅して指の血流を検知している。オシロで波形を出してみた。何とかそれらしい波形は取れるが、安定しない。1000倍近い増幅率を持ったアクティブLPFになっているのだが脈拍のとれる位置が難しい。市販の脈拍計はどうしているのだろうか。

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 波形は見えたが、これをどうするかは考えていない。もう少し安定して波形がでれば実装しても良いが、こんなに不安定では実用にはならない。

 依然として、フォトフレームへの意欲は戻らない。このところ脈絡のないリサーチが続く。モーター制御にも少し関心がでてきた。いよいよ当研究所の電子工作の最後の大きな山、メカトロニクス、ロボットに向かいつつあるか。

JPEGライブラリー実装の道がついた(12/25/2010)

 年末が近づき仕事が少し忙しくなると、皮肉なことに趣味の方の意欲も復活してきた。試験の前に急に小説が読みたくなる学生の頃と同じである。フォトフレームに戻る気力が戻ってきた。まず懸案の画像ファイルのJPEG化の方を考え始める。

 JPEGライブラリの実装の準備をのろのろと始める。Eclipseに新しいプロジェクトを起こす。フォトフレームでFPGAにデータを送るSPIは時間にシビアなので、一旦、BMPファイルを作ったほうが安全かもしれない。DMAを使えば良さそうだがそう簡単ではない。やりたいことは沢山あるが、モデルになるソースコードはUNIXベースなので具体的に進めない。

 思ったより難しい。前に分かりやすい記事があったと書いたが、UNIXの標準入出力を完全に理解しているわけではない。書かなければならないソースはARMベースである。具体的にFatFSの関数をどこに入れれば良いのか見当がつかない。「ねむい」さんや、「そら。」さんが、私も参考にしているこのサイトを参考に簡単に実装されたようだが、ここには具体的なソースコードが見当たらない。

 ウェブを探し回って、ついに見つけた。このサイトのご主人は、昨年の雑誌(インターフェース誌)のARMコンテストで優勝された方で、ソースコード一式は何と、雑誌サイトのダウンロードページ(2010年6月号 MP3プレーヤ/フォトフレーム)にあった。

 ソースを早速ダウンロードさせて貰って、調べ始める。うひゃー、大変だ。これはTOPPERS/JSPというOS下で動いているソースだ。こちらはOSのない、いわゆるBareMetalである。JPEGライブラリ移植のポイントは、ファイルアクセスとメモリハンドリングだ。OSが一番活躍するところである。OSのサービス関数を使われていたらお手上げである。最悪の場合はこちらも、このOSをインストールする必要がある。

 恐る恐る、ソースコードを詳しく調べ始める。良かった。ファイルのオープンも、メモリハンドリングも、OSを使わず自前(ChaNさんのFatFSそのまま)でやられているようだ。しかし、JPEGライブラリの標準入力をつなぐユーザーインターフェース関数の中でFatFSの関数f_openが見つからない。おかしいな。どこでFatFSを動かしているのだろう。

 思わぬところで発見した。JPEGライブラリーの別の関数の中で使われていた。このあたりは手付かずで利用されているのだとばかり思っていたが、構造上、どうしてもここに置くしかなかったようだ。このライブラリは移植性の高いソースだが、やはり全体を知る必要があるようだ。

 メモリハンドリングも、TOPPERSの関数ではなく、自前のmallocだった。これで、BareMetalでもJPEGライブラリを移植する目処がたった。ほっと胸をなでおろす。そろそろ実装に入れる。ここしばらくは年賀状の準備や、年末の関西の法事などで手がつかないが、年明けには始められそうである。

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2010年12月 9日 (木)

電子音量リモコンの実装版の回路図・ソース公開

Pc043427

 先月末から珍しく行事が重なり、忙しくてなかなか電子工作のまとまった時間がとれなかった。実装版の電子音量リモコンは完成しているのだが、公開する予定の回路図を描く暇がない。なんやかやで、ブログの更新が2週間以上も空いてしまった。やっと時間が出来たので実装版のソースコードと回路図をアップする(12/9/2010)。

ケースのレイアウトを考える(11/22/2010)
 ブレッドボードでの試作に成功したので、実装を本格的に検討し始めた。予定しているケースはタカチのSS-125(サイズ80×32×125)である。このケースは以前作ったリズムキャプチャー用に買ってあった。ブログを見直したら2年も前のことだ。月日の経つのは本当に早い。

 このケースは裏蓋がついていて、基板を裏側(ハンダ面)から固定するタイプである。基板固定用のビス山が4隅に出っ張っていて余り大きな基板スペースがとれず、工作が面倒なこともあって別のケースを買い直し、このケースはそのままになっていた。

 つや消しの黒の何の変哲もない小型ケースである。こんどのはオーディオ機器なのでもう少し見栄えに凝りたいが、ちょうど入りそうな大きさだし、このまま遊ばせておくのも可哀そうだ。とりあえずはこれで実装して駄目なら買い直しすることにしよう。

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 千石電商で買った基板にピンで固定するタイプの小型電源トランス(S.E.L)、オーディオ入出力用のRCAジャック4本(秋月の安価なもの)、これにフューズボックス、7セグLEDなど必要な部品を集めて基板に載せてみる。トランスが意外にかさばり結構タイトなレイアウトである。

 レイアウトがかなり窮屈なことがわかったので、サーキュラーソーで汎用基板の4隅をカットし(これ専用の基板もあるようだが高価)、基板がケースに入るように加工した上でさらに部品を基板に仮配置する。これをやらないとあとが危ない。工具があるお陰で、こういうことが簡単に出来るようになった(前はこれがおっくうで別のケースに走った)。

 電子ボリュームPGA2311と、CPUチップATTiny2313の位置が問題だ。アナログとデジタル、電源部はなるべく離したいが、ケースが小さいのでどうしても近くなってしまう。頭の痛いところだ。

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 仕事の帰り、秋月で7セグLEDを買い足した。今までにない色、青(OSL10561-LB ¥100)と赤(OSL10561-LRA ¥60)を入手する。リモコンを考慮して少し大きめだ。いずれもカソードコモン。実装はトランジスタアレイでなく単独のトランジスタ(2SC1815)でドライブする予定。色は流行りの青を使うことにする。

 久しぶりのケース工作である。7セグLEDはケースの縦面に表示するので7セグLEDを固定したドーター基板を立てる必要がある。良い方法を思いついた。このあいだのリニアPCMプレーヤーでも活用したCDプラスティックケースを使ってアングルを作ることである。

 しかし、適当なCDケースの角はみんなプレーヤーに使ってしまって使えそうな部分がない。そのときふと横に山積みになっているFDの空ケースを見つけた。こいつはCDケースより厚いが、うまく使えそうだ。サーキュラーソーでコーナーを切り取ると、基板を立てる丁度良いアングルになった。

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ケースの工作に汗を流す(11/27/2010)
 基板の工作で一番厄介なのが、コンセントやジャックの取り付けである。こいつらは大抵、汎用基版のピッチ(100mil)を無視したピン配置なので、特別に穴を開けてやる必要がある。このRCAジャックもそうだ。結局どのピン間隔も100milピッチでないので、ドリルで2ミリの穴を4×4、16箇所もあけさせられる。

 微調整も大変だ。紙のフットプリントを基板にあてて慎重に開けたはずだが、正確にあけることは難しい。それに、ここは力のかかるところなのでいい加減な実装ではすぐボロが出る。念入りに取り付け穴をカッターで広げて調整する。何のことはないRCAジャックをつけるのが一番の大仕事になった。

 次の課題は、7セグLEDを取り付けるドーター基板の固定だ。例のFDケースから切り取ったアングルにドーター側2ミリとメイン側2.6ミリの穴(セルフタッピング)を開け、それぞれ固定する。一方のアングルはスペースがないので基板をはさむ溝をアクリルの小片で作り、これに基板をはさんで固定する。うまいぞ。一人で悦に入る。工作はこういう工夫で課題が解決した時が特に楽しい。

Pc093448

 最後の大仕事は、この7セグLED用のケースの窓あけだ。7セグLEDをドーター基板に仮止めし、何度も開ける位置を確認しながら慎重に窓を開けていく。ここはやり直しが効かないところだ。ルーターで少しづつ削りだしては現物と見比べ、最後はやすりで整形し、LEDがきっちりケースの外に見えるように仕上げた。LEDが少し傾いているが、これは仮止めのハンダ付けを調整すればきれいになる。よーし、ほぼ満足できる出来栄えになった。

 残るは、赤外線センサーの穴と、信号受信を知らせるLEDの穴だが、位置が確定していない段階で穴を開けるのは危険なのであとで現物合わせにする。それに信号受信用のLEDは考えて見たらあまり必要ではない。今は7セグLEDはリモコンの複数コマンドで1つ数字が変わるようになっているが、これをリモコンの一回のコマンドで必ず動くようにソフトを変えてしまえば確認用のLEDは不要になる。要するに手抜きだが、この電子ボリュームの音量調整は256段階もあるので(普通は60から100)、問題ない。

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7905は通常のレギュレーターと違うピンアサインだったとは(12/1/2010)
 とんでもない間違いをしてまたすんでのところでレギュレーターを壊すところだった。よほど、レギュレーターにたたられているようだ。

 電源周りのハンダ付けが終わり、kumanさん流の逐次開発方式(すっかり愛用している)で、とりあえずは電源テストと、途中でACコードを仮付けしてテストしたときのことである。

 プラス側はちゃんと5V(4.998V)でているが、マイナス側は-1.5Vしか出ていない。それにレギュレーターが2つとも少し熱い。無負荷なのにおかしい。負電源側のレギュレーターは始めて使う7905だ。配線は何度も確かめた。負電位のコンデンサーの極性も間違っていない。

 これは7905のピンアサインを疑うしかない。7805と同じにしているが、一度も確認したことはない。PCを立ち上げてNJM7900(7905A)のデータシートを探す。

 えっえっえー、7905のピンアサインは7805と違う! レギュレーターは左から、in common outが常識だが、7905は左からcommon in outなのだ。あーあ、また壊したか。

 暗い気持ちでハンダ付けをしなおす。UEW線と違って、電源用のAWE28撚り線はハンダ付けしにくい。それにトランスが大きいスペースをとってレギュレーター周りのレイアウトが窮屈だ。苦労して修正する。半田ごての熱でまたレギュレーターを壊さないか冷や冷やする。

 再度テスト。良かった。マイナス側も-5.003Vと想定どおりの電圧。熱も出なくなった。いやいや、それにしても落とし穴だった。どこかの神社でレギュレーターのお払いをする必要があるか。

電源断のときのボリュームレベルを記憶するロジックを考える(12/3/2010)
 ブレッドボードで動かしている電子ボリュームの使い勝手だが、どうも5回に一回音量レベルを記憶するロジックはすっきりしない。感覚的なものだが何となく違和感がある。やはり電源を切る直前のレベルが再現されないと気分が良くない。

 何とかしたい。工作の合間に電源を切る直前にEEPROMに書く方法をあれこれ考えていた。始め、CPUをシャットダウンさせるためのリセットICを考えていたが(実際に買ってきた)、その必要のない方法を思いついた。

 EEPROMに書いた後、自ら無限ループに入ればそのうち電源が動作電圧以下になり、CPUが止まる。これなら電圧低下で暴走し、他に悪影響を与えることがない。

 簡便に出来そうに見えたので、早速、オシロを使ってテストしてみることにする。実際にCPUの消費電流を測り、その抵抗とバックアップコンデンサーの時定数の動きをオシロで測る。はじめスーパーキャパシター(電気二重層)を考えたが、計算してみるとそんな大きな容量は不要だ。数百μFでもEEPROMに記録するくらいの時間は確保できることが分かった。

 あらためて2313の電流消費量を測る。なにい100mAを越えているぞ。これはどういうわけだ。慌てて詳しく調べる。ああ良かった、PGA2311の電源が入っていないときは、こちらに60mA近くも流れ込むことがわかった。

しかし、それでも40mAは流れている。7セグLEDのドライブは考えてみたら、2313の出力ピンだ。7セグLEDは2つ全体ではこれくらい流れることがわかって胸をなでおろす。はじめは誤配線かとあわててトランジスタアレイのデータシートを確かめたりしていた。7905の例もある。大丈夫間違いはない。データシートによれば、2313は全体で200mAまで電流を流すことが出来る。

 100μFにSBD(ショットキーダイオード)をかけてオシロで電源断の過渡現象を見る。よーし、数十msは、2313の最小動作電圧の1.7V以上が出ている。EEPROMのアクセススピードを測るためプログラムに測定ロジックを入れる。所要時間は書き込みで3.5ms、読み込みの方は0.1msだった。十分余裕がある。

 しかし、電源断のあとVccが素直に0Vにならない。何故か1~2V近辺で暫く推移する(数百ms)。これでは正しい電源断のタイミングが得られない。ここでリセットICをこのセンスに使うことを思いついた。リセットICの出力は、電源電圧が一定以下になると、ぴったり0Vになるので、このリセットピンをセンスすれば電源断を把握できる理屈だ。

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 これはいいのだが、問題は逆に電源を入れたときである。100ms以上のディレイが起きるので、これを回避するロジックを入れないといけない。何かしかけがおおがかりになってきた。それにこんなことにリセットICを使っている例はどこにも見当たらない。そんなこともあって、電源断のときのEEPROM記録は当面諦め、とりあえずは今のソースのまま実装を急ぐことにする。

実装版のソースコードと回路図を公開(12/4/2010)
 ケースの基板の配線がすべて終了した。7セグLEDをつけないで実際に音量が調整できるかどうかのテストは済んでいる(問題なく動いた)。いよいよLEDのテストだ。トランジスタの配線部分を何度も確かめる。

Pc043422

 通電する。おおお、青色LEDが輝いて数字が出てきた。一発で動いた。リモコンを操作する。ははは、数字が逆だ。1位が左に、10位が右に表示されている。ドライバーピンをとりかえて問題なく音量レベル値が出た。こうなると勢いである。実際のQUADのアンプにつないでテストすることにした。

 祈る気持ちで電源を入れる。よーし何の問題なく音量がリモコンで操作できた。いやあ嬉しい。長年の夢が実現した(ささやかな夢だけど)。少し動かしてみてすぐ外した。というのはこのソフトは、PGA2311が35dBのアンプにもなるテストバージョンで、もし暴走すると大きな音が出てアンプやスピーカーを痛める可能性が0ではないからである。

Pc043436

 公開に向けて、回路図をBsch3Vで描き始めた。これが結構、手間がかかる。回路には余り自信がない(自己責任でお使いください)。アナログは一点アースを基板上で行っているので(データシートの指定どおり)、それを表現するのに一工夫した。

 実装版のソースコードは、最大音量レベルを0dBにし(PGA2311の値では192)、EEPROM読み込みが暴走してデータのないところ(0xFF)を読み、前回値がFF(最大値)になってしまわないようなコードが追加されている。AVRのEEPROMはウェブサイトにも情報があるが、信頼度は余り高くない。極く稀れにだがデータが壊れていたり、暴走したりすることがあるというので万が一のときの対策である。

Ir_remocon

 リモコンはSonyフォーマットだが、実装版のソースもUARTを生かしてあるので(送信だけ有効)、UARTをつなぐと赤外線リモコンのデコードしたビット列がすべて表示されるようになっている。これを見ながら別のボタンにコマンドをアサインしたりボタンを追加することが出来る。

 ただ、他社のリモコンを使うには、ビット列ではなく、そもそものパルス巾が、リーダーといわれる最初のロングパルスや、0,1のパルス間隔を含めてまちまちなので、これらを調整してデコードするところまで戻る必要がある。しかし、このあたりはウェブサイトに結構情報があるので、そんなに苦労しないはずだ。

 月初めまでえらく忙しかったが、少し手が空いて回路図を描く暇ができた。久しぶりに、フリーのCADソフトBsch3Vを使った。このソフトがどんどん使い易く進化していることを知る。こういう有用なソフトを気前良く提供し、しかも改良に努められている水魚堂さんに改めて感謝したい。

以下に実装版のソースコードを、いつものようにAVRStudioのプロジェクトフォルダーの形で置きます。回路図ファイル(.CE3)はこのフォルダーの中のBsch3Vフォルダー内にあります。なお、ソースファイルの名前等は、前のブレッドボード版と全く変わっていないので注意してください。変わっているのはzipファイル名だけです。

「Rcon2313_1209.zip」をダウンロード


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