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2011年9月25日 - 2011年10月1日の1件の記事

2011年9月27日 (火)

2台目のガイガーカウンター(CHANEY)が完成しない

 ブログの更新が滞っている。前回から2週間以上になる。何もしてなかったわけではない。いくつか前進はあったが、やはりCHANEYのガイガーカウンターキットのアナログ部に問題が出て、2台目がなかなか完成しない。日がたつと忘れてしまいそうなので、これまでの経過報告をしておく。

S_p9274271CHANEYガイガーカウンターはソフトパワースイッチにする(9/13/2011)
 今度のCHANEYのキットを使ったガイガーカウンター2号機の電源回路は、ソフトパワースイッチを使うことにしている。マイコンCPUのパワーダウンモードを使って、スイッチの長押しで電源を入り切りする今時(いまどき)の携帯機器に多いやりかたである。

 最近のマイコンは省電力化が進んでいて、パワーダウンモードに入ると、消費電流は、一般の二次電池の自己放電よりはるかに少ないところまで下がる。AVRシリーズの最近の型名で最後にPがついているのは、省電力をうたったピコパワーをあらわす文字で、スペックによればMega328Pで0.15μA(5V)と、まさしくピコアンペアクラスの消費電流だ。今度の石は皮肉にも無印のMega328だが、それでもパワーダウンモードは0.6μAである。

 しかしいくらCPUを微小な消費電流で止めたにしても、周辺機器の電源もこのとき同時にFETか何かで切らないと意味がない。CPUより消費電流の多い周辺機器はいくらでもある。ところが、この周辺機器の電源制御が意外と曲者なのである。

 当研究所ではソフトパワースイッチはこれまで何回か試みて、結局、本番では使うのを止めている。これは、この周辺機器の電源制御が面倒なためで、これまでの機器はすべてレガシーなスライドスイッチを使って物理的に電池の電源を切った。所長が古い人間で、どんなにわずかでも機械に電気が流れ続けるというのが生理的に落ち着かないというのもあるが、周辺機器の正しい電源の切り方が実はまだよくわかっていないのが大きな理由だ。

 周辺機器が独立していれば問題ないが、大抵はCPUと制御線でつながっている。これが悪さをする要因となる。待機状態になっているCPUから、電源を切ったはずの機器に電流が流れ込み、機械がこわれたり誤動作することがある。これとは逆に以前、SDカードスロットの電源をローサイドで切ったところ、SDカード制御線から大量に電流がCPUのGPIOピンに流れ込み、Mega168を2つも失うという悲劇を起こしている。

 ハイサイドで切ると大丈夫かと言うと、今度はCPUからSDカードへ電流が制御線を通して流れ込み、壊れはしなかったが周辺機器が幽霊動作しておかしなことになったことがある。パワーダウンモードの時のCPUのI/Oピンの状況がどうなるかは厳密に調べておかないと機械は予期せぬ動きをする。油断がならない(厳密にはフォトカプラー接続するのだそうだ)。

 これが、どうしてその気になったかと言うと、レガシーなスライドスイッチを楽だからと使い続けていたのでは、いつまでたっても進歩がない。これでは経験値を上げることが出来ないなあ、と思っていたところに、リチウムバッテリーの過放電防止回路や、この前のUSBとバッテリーの電源切り替え回路を実際に作る機会に恵まれた。これでFETの扱いに大分慣れてきて自信がついてきた。

 このときコメントを寄せてくれたeNastyさんからダイオードの代わりにチップFETを使うテクニックを教えてもらったことも後押ししたように思う。このとき、秋月でn-MOS、p-MOS含めて大量のチップFETを買い揃えた(といっても¥100内外だが)。何しろ、豆粒のようなチップで3Aの電流が流せるのである。確かにON抵抗がミリオームレベルなので通過させるだけならOKだ。トランジスターとは大違いである。

S_p9204268 今度の電源制御は、CHANEYのガイガーカウンター部と、LCDの2つの電源を切る。それに前記事で紹介したリチウム電池の過放電防止回路も組み込まねばならない。主基板は、片面基板にしてしまったので、チップ部品を載せにくい。小基板に部品を載せて、これを取り付けることにする。過放電防止回路はブレッドボードでOKになっているので、小基板に作り直す。これは順調に出来た。

DC-DCコンバーターのENABLE端子は使えない(9/15/2011)
 周辺機器の電源制御はFETでやると張り切って始めたが、考えてみれば周辺機器はすべてDC-DCコンバーター経由であることに気づいた(LCDの5Vも既成のDC-DCコンバーターを使う)。それなら何も自前のスイッチをつけなくても、DC-DCコンバーターに必ずついているシャットダウン端子(ENABLEピンともいう)で出来るではないか。勢い込んではみたものの、これで制御できれば何もわざわざ作ることもない。早速ブレッドボードでテストしてみた。

 既製品のコンバーターはあとにして、まずは自作のLM2735を使ったDC-DCコンバーターを手始めに試してみる。CHANEYのキットを動作させながら、ENABLEピンをグランドに落とす。これでシャットダウンされるはずである。60mAほど流れている。

P9274275

 ありゃあ、電圧計は0にならない。しかも、コンバーターからは「チーッ」という音が出る。インダクターからの音だろう。ガイガーカウンターも何か動きそうな雰囲気だ。LEDを点けるくらいなら、音も出ず、ピタッと0Vになるが、数十mAを消費するガイガーカウンターでは駄目である。

 いかん、おかしい。誤配線か。自作のコンバーターだったので、自分を疑って色々調べた。いや、リファレンス回路と違いはない。どこも悪くない。仕方がない。フォトフレームにつけてあったストロベリーリナックスの同一の石を使った既製品をはずして動かしてみた。何と何と、全く同じように音が出て機能しないではないか。なんだなんだ。どうしてだ。

 ストロベリーリナックスの説明書を読んで問題は氷解した。ちゃんと説明書に「ENABLEピンをグランドに落とすと、チップの動作が止まるだけで電圧は余り下がりません」とある。変な仕様である。要するにチップの動作(発振)を止めるだけの端子なのである。この回路(メーカー推奨)では、電流が負荷に流れ込むからだそうだ。何のためのENABLE端子なのだろう。

簡単な回路が動かない。チップが燃える(9/19/2011)
 友人に誘われて東北の温泉に一泊旅行をしてきた。行きかえりにサービスエリアなどで放射線量を測った。自作の良い加減なガイガーカウンター(SparkFunのもの)なので数値、場所の公表は差し控えるが、確かに、ホットスポットと呼ばれる地域の線量は高かった。時間がなくて寄れなかったが、別の友人の別荘地に近い高速道路上で、東京あたりの4~5倍。最も高いところでは10倍以上を記録した。反面、仙台あたりは東京よりBG(バックグラウンド)線量が低い。どこまでも0.05μSv/h以下が続く。

 旅行から帰って久しぶりの電子工作が楽しい。すっかり中毒になっている。DC-DCコンバーターのシャットダウン端子は使い物にならないことがわかったので、自前のシャットダウン回路を、電源周りの小基板に作っている。FETとチップTRで組む。お手本はここのページである。

 このページによると、マイコンCPUのGPIOピンは、電源OFFのときはグランドに導通するのだそうだ。今回は、Mega328はパワーダウンモードで、I/Oピンの状態は保持されるはずだ。パワーダウンモードはすぐには作れないので、とりあえず実際にMega328をつないでテストしてみた。

 やはり負論理では、電源OFFのときは、プルアップしておく必要があり、もし、パワーダウンモードでI/Oピンが保持されていなければ、電源が入ってしまいそうだ。このページの通り、トランジスタをひとつ入れて正論理にしておくと、CPUが生きた時だけONになって安心である。

S_p9204251 ところが、ありあわせのTRをブレッドボードにつけてOKになり、チップTRで実際の回路を組むと、おかしい。FETが異常に熱を持つ。ゲートをジャンパーでグランドに落として問題なくONになるのに、ここにチップTR(2SC4116)のコレクターをつないで、Vcc(論理1)を入れると、見る見るうちにFETが熱くなる。2回目の通電では薄い煙が出てあわてて電源を切る。いかん、壊れたか。TRをはずしてFETだけでテスト。良かった。FETはまだ生きていた。しかし、どうしてだ?わけがわからない。発振でもしているのか。

電源制御回路がやっと出来た(9/20/2011)
 結局、チップTR2ヶを失って電源制御回路は完成した。原因は、今度もなんともお馬鹿な単純なミスだった。TO92と違って、チップTRは誤接続に弱い。間違えてベースに直接Vccをかけていたのに気づかなかった。前にフォトカプラーに制限抵抗をつけずにVccをかけたのと同じである。

 最初、FETの方から煙があがり、FETが持てないほど熱くなったと思ったので、こちらばかり調べていた。実はこれは完全な勘違いで煙がでていたのは隣のチップTRのほうだった。いやいや申し訳ないことをした。

 電源回路の構成は当初から相当変えた。最初は、DC-DCコンバーターの5V出力をCPU(Mega328)とLCDに使おうと考えていたが、コンバーターは無負荷でも相当な消費電流が流れることに気づいたので、コンバーターの5VはLCDだけに使うことに変更した。考えてみれば、今度のCPUは定電圧にしないとだめなADCなどの機能は使わない。4V程度で少々変動しても十分動くはずだ。

 小基板を完成させてそこからピンのようにリードを出し、ブレッドボードにさしてテストする。それが終われば、そのリード線を使って主基板に固定し、その間を配線する。この方式はなかなか合理的でうまくいった。

ガイガー管SBM-20のパルス数が段々増えてくる(9/26/2011)
 CHANEYのガイガーカウンターキットは、マイコンと接続されて、カウントをUARTに表示するところまで進んだ。ファームは前のSparkFunと同じでLCDとの配線はまだやっていない。しかしUARTに出されたカウント数は、人間がこれまでストップウオッチ片手に集計したCPMより明らかに多い。しかも、時間がたつに連れて増えてくる。

Longtest

 CHANEYのキットのGM管は、ロシア製のSBM-20である。ウェブの情報を元に、平滑コンデンサーを入れ、バイアス抵抗を100KΩから10MΩに換えて、電圧は、350Vまで下げた。ところが、測ってみると、500V近くが出ている。おかしいけれど、何度測っても(DVMで)同じだ。

 これには心当たりがある、オシロで高圧電源を見ると派手なパルスである。電圧計はこの平均を出しているので、正確な電圧を出しにくい。それに、CHANEYの高圧部は、SparkFunのより更にインピーダンスが高く、1GΩの負荷でも影響があってオシロでは正確な値が出てこない。

 とにかく電圧を下げてみることにした。平滑コンデンサーをとると、バイアス抵抗が10MΩでは、全く電圧が出なくなる。1 MΩまで下げると出たが、電圧は同じ。今度は、NE555の発振周波数を下げてみる。NE555のパルス間隔を決める抵抗を、12kΩから20kΩにする。発振周波数は280Hzから170Hzまで下がったが、電圧降下には余り効果がない。

 電源電圧を5Vくらいまで下げても変わらない。5Vまで下げると、パルストランスがうなりだす。色々なことをしても、420~480V近辺で、これ以下にするとパルスを検知しなくなる。明らかにプローブをあてると様子が変わり(スピーカー音が変わる)、どうもこれが本当の電圧か疑わしい。

 SparkFunのLND712との比較では、SBM-20のCPMの数は、電源投入直後が最も、スペックに近い。図を見てもらえばわかるように、CPMは時間が経つとともに、増え始め、だいたい2倍から3倍のところで落ち着く。どうも不安定だ。始めは少なくて、時間がたつにつれて徐々にカウント数が増えていくのは、どの状態でも同じだ。測定器としてはとても使い物にはならない。

 調整している間にスピーカーから音が出なくなった。こういうときは、だいたいプローブがどこかに当たってICチップを飛ばした可能性が高い。スピーカーをドライブしているのは何のチップだ。ああ、FETだ。おお、こいつはこのあいだ秋月で沢山買った2N7000だ。早速とりかえる。予想通りFETがこわれていた。音が戻る。今回は犠牲者が多い。チップTR2ヶも失っている。少し気を引き締めなければ。

 思い切って、これまで改造で加えていた平滑コンデンサーなどの変更を全部やめて、オリジナルに戻してみた。スピーカーからのクリック音は、大きくなりLEDの光も強く、パルスも見たところ一番少なくなったように見えた。

S_p9274270 ところが、マイコンが示すCPM数は、パルス音などよりはるかに高い数値になる。オシロでみると一目瞭然である。平滑コンデンサーがないため、電源の脈流パルスが、放射線で発生した大きなパルスの度に複数のパルスになってカウントされている。人間が音やLEDで知るカウントが正しくても、マイコンでは副次的なパルスを識別することができない。チャタリング防止のようなソフトで解決する方法もあるが、近接して本当のパルスが発生した時と区別がつかなくなる。

 困った。安定を求めて平滑コンデンサーをとり、電圧を下げると(350V)、電源ノイズでパルスがとれなくなる。電源を平らにしてパルスをとれるようにすると、電圧が上がってしまって(420V以上)、パルスカウントがどんどん上がり、正常な測定が出来なくなる。一時間で2倍から3倍では、話にならぬ。

 しかし、オリジナルのまま、手動でパルスをストップウオッチ片手に、1時間以上測定してみて、愕然となった。オリジナルでも、明らかに時間とともにパルスカウントが上がることが確認された。パルス増加の原因は、電圧が高いためではなかった。

Chaney_org となると、これはGM管そのものに問題があると言うことである。ただ、このGM管は色々な線量計で使われている定評のある管だ。元から不良だった?オリジナルで長時間、測定したことがないので何とも言えない。あっ、そういえば、ケースに入れるテストをしているときGM管を少し凹ませてしまった。これが原因なのか。

 パルスが出るので問題ないと思っていたが、ウェブの情報を良く読むと、内部クエンチと言って、一旦放電したあとに連続放電を止めるのは内部に封入したガスによるものであり、このガスが少なくなればパルスがどんどん増えてしまう結果になるのはおかしくない。

S_p9274272 うーむ、GM管を取り替えねばならないか。最初は、いっそのことこの回路をあきらめて自作してみようか、電流消費も多いことだしと思っていたが、それ以前に問題があったとは。

 少し頭を冷やして、善後策を考えることにする。もう、今さらガイガーカウンターでもないのだが、なにしろ「負けず嫌い」「へそ曲がり」の性格である。完全に手段が目的化しているが、止められない。

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