オーディオの魔力にとりこまれてしまった
LM380革命アンプを聞き込んでいるうちに、恐れていたオーディオの魔力から逃げられなくなった。ついに蒲田まで出かけてカマデンのデジタルアンプキットを買ってしまう羽目になる。しかも、そのあと、USB-DAC基板の付録のついたオーディオ雑誌を衝動買いして、段々収拾がつかなくなってきた。
カマデンのデジタルアンプキットを買ってしまった(12/7/2012)
LM380アンプは、電源の組み込みに失敗して少しめげている。せっかく手頃なケースを買って来たのに電源部を同じ基板に配置するとトランスの漏洩磁束でハム音がして使い物にならない。
とりあえず基板は半分に切り、クッキーのケースに手頃のものがあったので、アンプだけこれに入れ、電源は暫くスイッチング電源で様子をみることにした。電源は他にも使えるし、たいした失敗ではないのだけれど、ちょっと気分が落ち込む。
そういうわけでもないが、アンプの音がやっぱり気になる。音を決める要因は、スピーカーに由来するもの、音源によるもの、電源などによるものなど、アンプそのもの以外に沢山あるので、この音がどの程度のものか判断することが出来ない。比較するものが欲しくなった。LM386との比較はできたけれど、他のアンプではどうなのだろうか。
オーディオは独身時代に凝っていたが、その後はQUADアンプとタンノイの音に満足して、それ以上のめりこまなかった。 ここは何度も言うように、際限の無い世界で、どこかで歯止めをかけないと、「良い音」を求めていつのまにか身の破滅を招く恐ろしい世界である。
ということで、最近のオーディオ、特にデジタル技術の進歩を知る機会は殆どなかった。しかし、これだけ電子工作にのめりこんでいるのに、全く知らないと言うのも問題がある。少しは昨今のオーディオ事情も知っておくべきだろう。最近の新技術であるデジタルアンプの音が聞きたくなった。
思い立つと、そればかり気になって他の事が進まなくなる性分である。年をとったせいだろうか、余計我慢できなくなっている。とうとう、車を駆って久しぶりに環7を南下し、蒲田駅前のカマデンの直販ショップ(エレクトロプラザという名前になっている)に出かけ、¥3990のTDA7491デジタルアンプキットを手に入れた(ここでは初中級向きのアンプ)。
やはり市販品にはかなわない。良い音だ(12/9/2012)
このキットは、一時一世を風靡した有名な同社のデジタルアンプTA2020の後継機種で、ウェブでの評判も高い。次の日の仕事の帰り、秋葉に寄って、キットに付属していない入力RCAピンジャックや、コネクター、スピーカー接続端子などを調達する。
キットは大部分のチップ部品が既に実装されているので組み立ては簡単だ。コイル、電解コンデンサーなど十数個の部品をハンダ付けするだけである。説明書に誤りが多いというので、ウェブにある修正ドキュメントも印刷したり、事前に確かめて工作にとりかかったので、数時間で完成した(グランドのランドのハンダ付けは少々難儀したが)。
電源を入れる前はいつも緊張する。思い切って通電する。プツっと小さな音がスピーカーからした。ハム音は全く聞こえない。ごくごく僅かながらシーっという音が聞こえる(ような気がする。気のせいかも)。
プレーヤーをスタートさせ、ボリュームを少しづつ上げて音を出す。順調に音がでてきた。おおお、良い音だ。高音の伸びが違う。音を大きくする。悔しいけれどやっぱりLM380とは格が違うスケールだ。小音量では余り差を感じないが、大音量にしたときの安定感が違う。
まあ、LM380は部品全部あわせても¥1000するかしないか、こちらはキットとはいえ、その4倍の値段だ。音が違って当然なのだ。
ただ、音域が少し狭いような気がするが、まあ、これはスピーカーのせいだ。幸い、このカマデンのキットは、タンノイスピーカーの8Ω用の予備部品を売っていてこれも買ってある。折を見て、こちらも調べてみよう。デジタルアンプの本当の実力がこれで確かめられる。
いやあ、やっぱりオーディオの魔力に捕まってしまった。何とかしないと止められない。これは冗談でなく、程ほどにしておかないと大変なことになるぞ。
秋月の精密LCRメーターを買ってしまった(12/10/2012)
というわけでもないが、別の衝動買いをしてしまった。秋月電子から売り出された高性能が売りのLCRメーターである。LCメーターなら既にストロベリーリナックスのキットを持っている。今、LCを正確に測らなければならない事情もない。
しかし、これも欲しいとなると止められなくなった。ちょうど株の配当が家に届くシーズンで小遣いに余裕があったのも原因だが、デジタルアンプの部品を買ったときに、秋月の店頭で4線接続の精密測定用のプローブの実演を見ているうち、つい手が出てしまった。
¥4600に、4線接続のプローブ(¥950)をつけて、¥5000少々の買い物である。この程度の値段では破格の高性能なのだそうだ。
4線接続とはケルビン接続ともいい、電圧と電流を測定対象まで独立した配線で測定すると、電圧計の内部抵抗が充分高ければ、測定コードの抵抗やリアクタンスを無視して(電流は、どこで測っても同じ)正確な測定ができるというものである(ここがわかりやすくて詳しい)。
いそいそと家に持ち帰って、マニュアル通り較正したあと片っ端からいろいろな部品を測定して遊ぶ。周波数を変えて(100Hzから100kHz)インダクタンスが測定できるので、このあいだのJJY受信ユニットのバーアンテナのインダクタンスも正確に測れる。
ブレッドボードの浮遊容量まで測れる。これはすごい。ちょっと大きなブレッドボードの電源とグランドの間の容量は十数pF、縦の配線部分も隣同士だと3pF近くあることがわかる。
ストロベリーリナックスのLCメーターとの比較もしてみた。コンデンサーはともかく、インダクターは、かなり違いがある。ストロベリーの方は発振周波数が700khzと高いので差が出ているのだろう。
焦電センサーは温度変化に弱い(12/14/2012)
完動したと豪語した焦電型人感センサーだが、また、おかしくなった。しかし、誤動作するときが限られていることに気がついた。部屋の暖房をつけたときに頻発する。温度が一定になると誤動作は止む。
ふーむ、温度が僅かでも変化する時にドリフトするのだろうか。オシロをセンサー部にあてて様子を見る。何度か試してみて、確かに温度が上がっていく時に、2.9Vくらいで安定していた電圧が、少しづつ緩い振動を始め、最終的に閾値(2.3Vくらい)を突破して反応することを確かめた。
ウェブを調べるが、こういうことは書いていない。ただ、焦電センサーそのものは、微小な赤外線照射による温度変化で起きる起電力を使っているので、こういうことが起きても不思議ではない。
解決策は難しい。もっと定常電圧を上げる対症療法しかない。オシロで調べると定常電圧は、計算値の3Vでなく2.85Vと小さかった。これではまだ低いようだ。分圧抵抗をさらに換えて2.7×4.7にする。計算上は、5VのVccで3.18Vになるはずだが、実際に測ってみると3.1Vになった。 これで少し様子を見ることにする。
カマデンのデジタルアンプを大型スピーカーにつないでみる(12/15/2012)
オーディオのこだわり(魔力)が解けない。このところはLM380アンプは脇において、カマデンのTDA7491デジタルアンプを聞き込んでいる。このアンプ、いわゆるデジタルらしさというのを全く感じないのだ。
昔、LPレコードが全盛の時、CDが出たときに感じた音の硬さは、少なくともこのスピーカーでは感じられない。高音部がチリチリするという評価も聞くが、そういう聞きづらさはない。聞いていて疲れない音と言える。
まあ、これは今聞いているスピーカーが12センチ程度の小口径なので音域が狭く、このスピーカーで評価をするのは無理なのだろう。それぐらいグレードの高さを感じる。早くわが家のメインオーディオシステムのタンノイ(バークレイ)の38センチの大型スピーカーを試してみたくなった。
ただ、タンノイのスピーカーのインピーダンスは8Ωで、カマデンの出力フィルター(4Ω)を取り替える必要がある。部品は買ってあるが面倒だ。しかし、早く音を聞きたい。我慢がならなくなってとりあえずそのままつないでみることにした。大きい音を出さない限りそう問題にはならないだろう。
QUADアンプから久しぶりに埃だらけのスピーカー配線部を取り出し、メインアンプをカマデンに付け替える。プリアンプやFMチューナーはそのままである。音を出す。おおお、結構やるじゃないか。小音量で聞いている分には全く遜色はない。インピーダンスが合っていないので音の感じは良くわからないが、解像度は変わらない。
オーディオの高忠実度の違いが良くわかるのはCDの音楽などの録音されたものではなく、生のスタジオの自然音で差がでやすい。FM放送のニュースでアナウンサーが紙をめくる音、遠くで出演者がそっとスタジオの扉を開け閉めする音、座っているパイプ椅子のわずかなきしみ音、こういう何気なく聞こえる自然音の臨場感が解像度のバロメーターになる。
そういうことでは、カマデンアンプの解像度は、なかなかのものである。ただ、いかんせん100Wのトランジスターアンプと比較すれば、力の差はやはり否めない。大きい音になれば勝負にならない。音を大きくするに従って音が荒れて行く(電源電圧は12Vのままなので10W出ていない)。まあ、当たり前と言えば当たり前の話だけど。
雑誌付録のUSB-DAC基板を試す(12/19/2012)
実は、ここ数日、オーディオ以外の電子工作で少し進展があったのだが、その顛末はあとでまとめてするとして、オーディオ関連のこちらの話を先にご紹介することにする。
仕事の帰り、本屋を覗いたら、平積みで積まれたオーディオ雑誌が目に付いた。「ステレオ2013年1月号」誌だ。なにやら分厚いダンボールの箱が雑誌についている。電子工作だけでなくオーディオ関係の雑誌も付録に基板をつけるという話はウェブで知っていたので、何だと手にとって見たら、ヘッドフォンアンプ付きのUSB-DAC基板である。
雑誌の値段は¥2800。DACチップは、USBインターフェース付きのDAC、PCM2704である。確かこのチップだけで¥1000近くしたような(本当はDigiKeyで¥630だったが)気がする。USBからオーディオにする装置は将来の自作候補だったが、最近のオーディオ事情も知りたくて、思わず手にとってレジに向かった。
家に帰って夕食をとるのももどかしく、キットを持ってオーディオルーム兼工作室にこもる。おお、この基板にはヘッドフォン用のオペアンプがソケットでついている(4556と4558)。これはあとで楽しめそうだ。
とりあえずフォンジャックに、愛用のゼンハイザーのヘッドフォンを差込み、PCを立ち上げる。PCがPCM2704を認識して難なく、オーディオクラスが新たに登録された。
オーディオのプロパティを選んで、これまでのサウンドカードから、こちらに切り替える。おやあ、音が出ない。ふーむ、PC上では全く問題なく認識して、基板上のLEDもちゃんと点灯しているのに、肝腎の音が出てこない。
暫く調べて原因がわかった。何のことはないフォンジャックの差込不足だった。いやいや人騒がせな。基板のソケットが超小型で、強く差すと壊れそうなので、差し込み方が足らなかっただけだった。
ヘッドフォンで聞く。うーむ、良い音だ。3号機まで作った自作のLPCMプレーヤーのDAC、BU9480より華やかな音の感じがする。とにかくこれまでのPCサウンドボードから出る音とは比較にならない音質である。
カマデンのデジタルアンプにもつないでみた。ヘッドフォンで聞いていたときほどの差(自作LPCMプレーヤーとの)は感じられなかった。これはスピーカーの音域の差であろう。こうしてみるとBU9480も頑張っているものだ。
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