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2012年9月30日 - 2012年10月6日の1件の記事

2012年10月 6日 (土)

アナログ工作にはまる(2): LM380革命アンプを制作する

 焦電型赤外線センサーでオペアンプを作って、すっかりアナログづいてしまった。アナログといえば前々から気になっているパーツがある。それは、LM380というワンチップのオーディオ出力アンプICである。

 ふとしたことで「LM380革命アンプ」という回路があることをウェブで知った。LM386というのなら3年前リニアPCMプレーヤーを作ったころスピーカーを鳴らしたくて買ってあるが、LM380の手持ちはない。

S_pa045223 LM380は14ピンDIPで8ピンのLM386よりもっと昔のICのようで秋月あたりではもう売っていない。この古めかしいチップがちょっとした回路の変更でとんでもなく良い音のアンプに変わるというのだ。革命の由来はこの音の変化の大きさから来ている。

 理屈は良くわからないが、要はアンプに深い交流電流負帰還をかける。オーディオ出力アンプICの入力はたいてい差動入力になっているので、反転増幅のものや、非反転増幅のものなど各種の革命アンプ回路があるらしい。4~5年前大流行したようだ(あやめアンプとも言うらしいが、この語源は不明)。

 たくさんの制作記がWebに残っていて、みなさん一様に驚きの声を上げている。LM386はともかく、このLM380革命アンプは一度作ってみたいものだと思っていた。ただ、オーディオの世界は前にも書いたとおり魔物が住んでいて、凝りだすと抜けられなくなる危険が一杯のところである。

 そんなことで、なるべく近づかないようにしていたのだが、このところのアナログづいた工作の流れから、どうも我慢の閾値を超えたようだ。秋葉に別の買い物で行ったとき、勝手に足がマルツに向かい、気が付いたらLM380を買ってしまっていた(¥120 4ヶ 千石より安かった)。 それで結局、ブレッドボードの試作だけでなく、汎用基板にステレオアンプを作るところまで行ってしまった。

以下は、アンプ以外の工作を含めた、この2週間あまりの電子工作記録である。

焦電型人感センサーのその後(9/22/2012)
 アンプの話の前に、焦電型赤外線センサーの工作についても少し書いておこう。センサー部は出来たが、制御回路はまだブレッドボード上にありAC100Vはピン接続端子で仮配線しただけの状態である。それでも階段の照明制御では順調に動いている。荷物を手に持って階段を下りる時など思った以上に便利である。実家に帰ってきた次女も感心してくれた。ちょっと鼻が高い。

 実は、まだセンサー部のケースには基板を固定するところがなくただ基板を差し込んであるだけである。いくら素人の工作とはいえ、このままにしておくわけにはいかない。これを固定する工作を始めた。

S_pa045217 アクリルの細い小片を4枚接着してその間に基板を挟む。出来上がりは、ちょっと外回りが汚くなって以前のようなすっきりした外観ではなくなったが、まあ売り物にするわけではない。許してもらおう。

 ここで頭をひねったのが、この縦に差し込んだ基板の固定である。今は摩擦で止まっているがいずれ落ちてくる。これをいかに簡便なしかけで止めるか。ささいなことだが、こういうしかけを考えるのはいつもとても楽しい(自分だけかもしれないが)。

 結局、考え付いたのが写真のような仕掛けである。かんぬきのような小片を横に差し込む。作ってみると簡単にしかも確実に止めることができた。暫く自己満足にひたる(もっと良い方法があれば是非教えてください)。

S_pa045216

 仕事の帰り電源部品の調達のため久しぶりに秋葉原にでる(9/24)。さしもの猛暑も一段落した。ここ数日は涼しい。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものだ。電源は迷ったが、やっぱりいつものようにACアダプターを内部に入れることにする。

 秋月で、最近売り出したこれまでより小型と謳っている5VのACアダプターを入手する。確かに小さいが、少し丈が長くなる。千石では、電源制御部のケースを買う。ガイガーカウンター2号機より少し小さいタカチのSW-100(65×35×100 ¥230)である。

 この大きさでは電源アダプターが半分以上を占めるが、Tiny13ならこれでも入るだろう。絶縁タイプのACアダプターというとどうしてもこういう形にしかならない。何か他に良い方法はないだろうか。AC電源基板となると、どんな小さいものでも¥1000以上するし。

S_pa025204

ガイガーカウンターが動かなくなった(9/25/2012)
 ここにきて思わぬ事件が発生した。焦電センサーの実装の参考に、同じようなケースを使っているガイガーカウンター2号機ケースを開け閉めしたところ、急にガイガーカウンターの調子がおかしくなったのである。LCD表示が出なくなり、そのうちGM管のパルスが止まった。高圧が出ていない。

 やれやれ、この忙しいときに故障だ。こういうものをほおっておけない性分である。ひとまず電池を疑う。しかし4V以上あって問題なし。LCDが出ない原因はすぐわかった。LCDへのリード線が2本も断線していた。慌ててハンダごてを取り出し修復する。しかし、高圧が出ない症状は直らない。

 これは片手間で直るトラブルではなさそうだ。腰を据えて修理体制を整える。ケースをすっかりはずし、オシロを持ち出して少しづつ回路の中の波形を調べていった。まずNE555はどうか。よし、励起パルスは正常に出ている。次はフライバックトランスをドライブするトランジスター(TR)である。

 ベースにプローブをあてる。ちゃんとパルスが入っている。しかしコレクターは全く音沙汰なし。ふむ、やっぱりTRのパンクか。機嫌よく動いていて突然動かなくなるのは、大抵はTRなどの半導体で、次はコンデンサーである。抵抗で突然動かなくなることは、焼損などの徴候がなければまずあり得ない。

 ここのTRは以前、ピンセットで高電圧をリークさせたときにパンクした2N3906というオリジナルから取り替えたコンパチの2SA1015である。ピンアサインが違うので、コレクターとベースがテレコになってハンダ付けされている。こいつが壊れたようだ。

 新しい2SA1015に取り替えてみる。直った。高圧が出た。やっぱりTRがいかれていた。ところが念のため壊れたという元の石を、hFE値が測れるテスターで調べてみるとまだ立派な値が出る。うーむ、おかしい。石が原因ではなさそうだ。無駄とは思ったが、元の石に戻して動かしてみた。

 何だ、直ってしまった。原因は石ではない。2SA1015に換えた時のハンダ付け不良としか考えられない。要するに天ぷらハンダでついていて何かのはずみで接触不良になったのだ。コレクターとベースを逆さまにつけるところで十分ランドにリードが出ていなかったように思われる。

S_pa045224 元のTRをしっかりリードを出してハンダ付けしなおす。念のため、このCHANEYの回路に不足している、ダイオードと抵抗をシリーズにしたトランス逆起電圧防止の回路を付け加える。これがないとTRの寿命を縮めるはずだ。

 ガイガーカウンターは全く前と同じように快調に高圧パルスをだして動き始めた。このセットは、友人から是非欲しいと所望されているのだが、電池がリチウム電池で充電が難しいので差し上げるわけには行かない。これもあと一台作る必要があるか。

昔のミニスピーカーを掘り出してオーディオの準備(9/26/2012)
 革命アンプである。前から聴いてみたかった。はずみのようなものでそれが実現する。目の前にはLM380が工作されるのを待っている。ついでにLM386も部品箱から取り出す。久しぶりのオーディオ工作である。心が躍る。

S_pa025202 まずは少しまともな出力装置を用意する。昔のミニスピーカーを物入れから取り出した。ドイツ製のグルンディッヒ(Grundig)のMiniBOX330である。このスピーカーは独身時代、オーディオショップに勧められてカーステレオに使っていた。(写真のCDは大きさの比較のためで他意はありません)

 少なくとも30年以上前の話である。とうにこの会社はつぶれている(ブランドは残っているが)。しかし、ググって見たら、何とビンテージ品として取引されていた。小さいけれど侮りがたい音が出る。いかにもドイツ製らしい重厚で落ち着いたサウンドで、お気に入りのスピーカーだった。ビニール袋から取り出し、ほこりを払い、洗剤を含ませた布でエンクロージャーとコードを掃除する。布が真っ黒になった。

 音の比較をしたいため、まずLM386からデータシートの推奨回路でアンプを組む。オーディオなのでブレッドボードはまずいのだが、とりあえずは試作なのでブレッドボードに組む。部品点数はわずかなのですぐ組みあがる。音源は、例の自作リニアPCMプレーヤーのヘッドフォン出力である 9VのACアダプターをつけて音出し。うん、うん、いわゆるPCの付属スピーカーの音だ。可もなし不可もなし。少し音を大きくすると歪っぽくなるが、こんなものだろう。

S_p9275190 次は、LM380の標準回路を試す。おお、だいぶ違う。386は賑やかな音だが、こちらは真っ直ぐというかおとなしい音がする。ブレッドボードのせいか、ちょっと発振気味で余り音は大きく出来ない。

噂にたがわぬLM380の革命的な変化(9/28/2012)
 さて、革命アンプに変更する。サイトには沢山の回路例が紹介されているが、ここのサイトの一番おすすめの回路を選ぶ。そんなに部品が増えるわけではない。初期の革命アンプは何と負帰還の抵抗が2本とパスコンひとつが増えるだけである。

 参考にさせてもらったページはここである。参考と言うより回路はそのままコピーさせてもらった。ここは実証的で素晴らしいサイトだ。

 いよいよ音出し。うわあ、全然音が違う。これが同じICなのか。今までの回路の音とは次元の違う音がスピーカーから流れる。暫く聴き込む。ブレッドボード上なので、ボードを動かしたりすると微妙に音が変わるが(スピーカー端子のところなど)、音の良さが明らかに違うことは間違いない。

 音のソースはSDカードのリニアPCMプレーヤーの出力。まあCDと同じと思えば良い。快適だ。びっくりするような音ではないが、とても落ち着いて聴いていられる。長時間でも疲れない。

 暫く、この非革命アンプ(革命アンプを非反転増幅に変えたもの)を聴き込んだ。サイトの記事を読めばわかるように、歪み率が市販のHiFiオーディオアンプ並みに低いのだそうだ。透明な音がするのはそのせいである。

 もう、十分である。他の回路を試すまでもない。しかも電源は、単なる秋月の9Vアダプター(1.3A)である。本式にしつらえば、もっと良い音が期待できる。これはこのままにしておくには惜しい。恒久的な装置を作りたくなってきた。

 試聴に使っているグルンディッヒのスピーカーは、最初カーステレオにつなぎ、そのあと家族のミニコンポのスピーカーに使われていた。どんな音だったがもう覚えていない。しかし、こんなに解像度が高かったような記憶はない。あのころはCDもなかったし、音源がCDなのでそう聞こえるのかもしれないが、このLM380のアンプも寄与しているように思う。

LM386にも革命アンプの回路があった(9/29/2012)
 そのうち、ネットでLM386にも革命アンプというのがあるのを知った。早速、もうひとつミニブレッドボードを用意して、LM386の革命アンプを組んで、LM380とステレオにして聞いてみる。うーん、LM386もちゃんと負帰還をかけた回路にすると、とたんに良い音になるなあ。

S_pa025195 LM380と比較して遜色がない。ちょっとオリジナルの色が残っていて、明るい音がする。悪く言えば少し音が表面的になって浅い感じがする。うーむ、こういうことを言い出すようでは、これはやはり禁断のオーディオの世界に入りつつあるな。

 ブレッドボードでは不安定なので、ちゃんとした基板に実装するため、LM380の方のアートワークを早速描き始めた。折角だから抵抗やコンデンサーをオーディオ用にしたくなった。ウェブにはこのあたりを評価するサイトが山ほどある。あちこち調べて品定めをする(ここやここがまとまっているが、評価は一致していない)。見ている間に時間が経つのを忘れる。いかん、いかん、やっぱりかなり中毒が進んできたようだ。

 事務所の帰り、秋葉原に寄って、ウェブで見たコンデンサーのいくつかを買い求める。ハイエンドの法外な値段のものは買わない。でも千石、秋月、マルツの3軒だけでも4種類くらいのコンデンサーが揃った。

 帰って早速聴き比べをする。駄目だ。オーディオ地獄である。コンデンサーの聴き比べが止まらなくなった。まあ¥100近辺でこれだけ楽しめるのだからかまわないのだけれど、プラシーボ効果というか、どうもよくわからない。違うような気もするが、とても革命アンプほどの差は感じられない。

ちゃんとした基板に組めば音も安定する(10/4/2012)
 基板に組み込む。レイアウトはステレオアンプとし、なるべくコンパクトに汎用基板(秋月C基板)の半分に実装する。残りの空いたスペースは、電源か何かのために残す。もし電源を別基板にするなら、残り半分は切ってしまっても良い。入力端子はとりあえずステレオミニジャック。まあ、あまりこだわることはないだろう。

S_pa045212 とは言いながら、カプリングコンデンサーは、千石にあったオーディオマニア定番のWIMAを奢る(といっても一ヶ¥50だけど)。これが一番良いというわけではないが、何となく良い音に聴こえたから(ほとんどプラシーボ)。可変抵抗器も、ここがすすめるマルツ製(RD925G)を選ぶ。もうどんどんオカルトの世界に入って行く。

 LM380は真ん中の6本のGNDピンが放熱板を兼ねているらしいので、将来ここに銅板がハンダ付けできるよう両面基板にしレイアウトを考慮する。ハンダ付けそのものはたいした量ではない。数時間で大体組みあがる。

 片側だけ出来たので鳴らしてみる。うむ、ブレッドボードのときとは明らかに音が違う。まず安定している。音の伸びも違う。ただ、わずかだがハム音がスピーカーから漏れてくる。電源リップルか、誘導か。まあ、それはともかく満足できる音だ。元をただせば¥200しない石である。

 さらに時間をかけて、もう1チャンネルの実装のスタート。ちょうど風邪を引いていて水洟が止まらない。半田ごてを握って俯いて作業するのはつらい。ゴミ箱に紙屑の山が出来る。しかしここまできたら、もう止めるわけにはいかない。洟をかみすぎで鼻の下を赤くして完成。

 試聴する。両チャンネルそろったLM380革命アンプはこれはまた別の世界を作っているようだ。LM386の革命アンプが今ひとつ人気にならない理由が何となくわかった。LM380の音の無個性なところがちょうどステレオに合っている。高級アンプの雰囲気だ。

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