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2013年12月 7日 (土)

ホーザンL-50実体顕微鏡の照明アタッチメントを自作する

  11月は誘われて伊豆高原の知人の別荘を訪ねたり、去年の次女に続いて長女が片付き2回目の花嫁の父を演じたり(これで我家の家族構成は遂に2人と猫2匹)、あとから書く若狭旅行の準備などで、やたら忙しかった。必然的に不要不急の電子工作はお休みとなる。

 それでも、暇を見つけては工作室にこもっていた。さしせまった題材がないので、とりとめもない工作ばかりだ。なにしろ実体顕微鏡が揃ったというのに作るものが見つからないのである。

 創作意欲だけは旺(さかん)なのだが、企画力がなくなってきている。そう、がた老AVR研究所には「実用品を作る」という縛りがあるので、簡単にテーマは見つからない。

 この前作ったTiny13を使ったRaspberryPiの電源制御装置の方は至極順調に動いている。このブログの原稿ファイルも、このRaspiのSAMBAサーバー上だ。朝、ボタンの一押しで電源を入れておき、居間でTVを家族と見ながらノートPCで原稿を書き込む。

S_pc076292  TVに飽きたら地下の工作室で工作したり、PCでプログラムを書いたり、原稿を修正する。就寝するとき電源を切るというサイクルである。シャットダウンスイッチをRasPiのヘッダー部につけたので、こちらもボタンの一押しでシャットダウンされ、そのあと自動的に電源も切れる。快調である。

照明アタッチメントの電源はDC-DCコンバータで作る(11/25/2013)
  この間、遂に手に入れたホーザンのL-50双眼実体顕微鏡である。この顕微鏡には勿論、照明アタッチメントが付属品として売られている。しかし価格は、12個のLEDがついて2万円を越す法外な値段である。照度の調節が出来るようだが、はなから買う気はない。こちらはすでにアクリル板で、アタッチメントのフレームを自作し、LEDの点灯を確かめてある。

 LEDは秋月の60°の広い照射角の高輝度白色LEDである。電源はとりあえず、DC-DCコンバーター(006Pの代用をねらったLM2735基板と、ブレッドボードに作ったNJM2360のもの)を使い、9Vを発生させて、6個のLEDを3個づつシリーズにして点灯している。

 DC9VのACアダプターで何の問題もないのだが、それも芸の無い話だ。ここは研究所なのだがら、少しこだわりたいところである。DC-DCコンバータを作りこみ、電池で駆動することにする。使い古した単三、単四の乾電池が山ほど残っている。これを使い切ってしまおうという魂胆もある。

 身の回りには乾電池を使う機器が沢山あるのだが(TVやエアコンのリモコンに始まって、ワイヤレスマウス、デジタルICレコーダーなど)、例外なく、まだ結構電圧がある(1.3V近辺)のに、動かなくなったり、液晶が見えなくなったりして使えなくなる。

 これをDC-DCコンバーターで昇圧してやれば、電池を限界まで使ってやることが出来る。このあいだ作ったLEDのペンライトも、電圧が1.2V以下の乾電池で十分使えた。今度も9Vを作るコンバーターの電源電圧は、数V(電池2~3個)ですむ。これまで捨てるしかなかった古電池が生き返るのは気分が良い。省資源にもなるし地球にやさしい(少しオーバーか)。

 コンバーターの回路を照明アタッチメントのフレーム上に載せた基板に実装する準備にとりかかる。ICは、DigiKeyでしか買えないLM2735ではなく、秋月で安定的に買えるNJM2360にしよう。Aitendoで入手したMC34063(NJM2360のオリジナルIC)も使えるようソケットでつけることにする。

アートワークが完成し、基板を切り出す(11/27/2013)
 基板は、アタッチメントのフレームに合わせた円盤状にして、ぴったり上部に載せることにする。円盤状の基板になるので、部品をどう載せるかレイアウトが難しい。固定用のビス穴も考えておかなければならない。

S_pc016283  最初、完全な円形に基板を切ることを考えたが、どうも円形全部を基板にする必要はなさそうだ。ブレッドボードで動いていたNJM2360のコンバーター回路から部品をとりはずし、実際の基板の上に仮に載せてスペースを確認する。大丈夫だ。半円だけでできそうだ。

 2倍の実体図を紙に描いて、正式なアートワークにとりかかる。NJM2360とMC34063は、完全なピンコンパチだが、コンデンサーやインダクターの定数が微妙に違う。このあたりは以前、ブレッドボード上でいくつか試して、余り大勢に影響ないことがわかっている。とりあえずNJM2360の方に合わせておく。 S_pc016280

 アートワークが出来たので、実際の切り出し作業にとりかかる。汎用基板にフレームをあて、切り出しラインをサインペンで描く。あまり厳密なラインは必要ない。再びコッピングソーの登場である。大分慣れて来た。汎用基板には沢山穴があいているので正確に切り出すことは返って難しい。 

 それでも、対物レンズのところだけはみ出さないように気をつければ、他は気楽なものである。あっという間にアタッチメント用の基板が切り出せた。コッピングソーがなければ、金鋸ややすりで大騒ぎして作るところだ。文明の利器のありがたさをかみしめる。

 ここまで来れば、アートワークも出来ているので、このさきは難しいところはもう余りない

若狭のカニ、フグの食い道楽旅行を楽しんだ(11/28/2013)
 かねて計画していた、古い友人ばかり5人での食い道楽旅行である。友人の一人が、若狭(三方五湖)の民宿と懇意にしていて、この季節になるとフグとカニを廉価でたらふく食わせてくれると言う。東京在住の京都の小学校以来の友人の飲み会で、話が盛り上がって実現することになった。

S_pb276264 ついでに、まだ行ったことのない丹後半島の先の伊根の舟屋と、途中、何十年ぶりかの天の橋立を見てこようというものである。伊根の舟屋とは、海岸にへばりつくように並んで建っている住宅の1階部分が船を収容する構造(これを舟屋というらしい)で有名な漁村で、寅さんの映画などにも登場した。

 名古屋からレンタカーで民宿に着いたのだが、もうひとつのお楽しみは囲碁大会である。仲間に有段者が2人いるので、これを機会にお手合わせを願う。大抵の有段者は下手(したて)が大好きで喜んで相手になってくれる。 800pxinefunaya2

 残りの2人は囲碁が出来ないが、習うことを頑強に拒否している。今さら悪口言い合った古い友人に頭を下げたくないらしい。

 次の日訪れた伊根の舟屋は、残念ながら風が強く遊覧船が欠航していて海から見られなかった。しかし天の橋立に戻った頃は天候も回復し、恒例の股覗きが楽しめた。このあと、自分を除く仲間が小学校時代の臨海学校に使っていた高浜の旅館の跡を探し当て郷愁にひたる。 S_pb276236

 初日がフグ、2日目がカニで、贅沢に冬の2大食材を堪能した。2日目も食後はまた囲碁大会。結局、いつも手合わせしてくれる一人(自称5段)とは4子で1勝3敗1引き分け、ただし6段以上という、もう一人からは6子を置いてもらっても3回とも歯が立たなかった。

 帰りは、小浜から鯖街道を通って滋賀県に出て、びわこ大橋を渡って新名神で名古屋に戻った。道路が整備されて、昔ならとんでもない田舎だった丹後半島の先や(伊根)、若狭の辺境(三方五湖)を気楽に車で回遊することが出来る。良い時代になったものだ。 S_pb276253 

2.6ミリのタッピングとスペーサー作りに顕微鏡が早速貢献(12/1/2013)
 電子工作の話に戻る。切り出したDC-DCコンバーター基板は、アクリルのLEDフレームの上部に取り付ける。基板が小さいので、固定ネジは3ミリではなく、2.6ミリビスで固定する。スペーサーは例の内径2ミリの透明ABSパイプを小さく切り出して作る。

 2ミリの内径に2.6ミリのタップを開ける。ABS樹脂なので、タップが簡単に切れ、しかも結構丈夫である。このスペーサーは、既にもう2回(Raspi電源制御装置、焦電センサー)にわたって使用済みで、極めて安価なのが自慢である(タップ付き5ミリスペーサーは4ヶで¥50以上するが1mのパイプ¥375から作ると4ヶで¥8しない)。

S_pc076302  タッピングは簡単に済んだ。しかしこれからが面倒だ。パイプをスペーサーの所定の同じ高さに、しかも平に切ることである。サーキュラーソーで切る時は良く注意していないと切り取った瞬間、素材が吹き飛んで行方不明になる。と言って全部切らないで少し残すと切り跡が残って平らにならない。

 早速、実体顕微鏡が役に立った。ピンセットで出来たスペーサーをつまみ、顕微鏡で覗くと、これが平でないところが実に良くわかる。両手が使えるのでアートナイフで整形するのも楽々だ。簡単に3つの等しい高さのスペーサーが揃った。

 瞬間接着剤でスペーサーをアクリル基板に固定し、DC-DCコンバーター基板がぴったり納まった。レンズにも当たらない。よーし、これで機構部分は完成だ。

DC-DCコンバーターを使った照明アタッチメント完成(12/5/2013)
 配線にとりかかる。久しぶりのハンダ付けである。今回も不精してハンダ面のアートワークを描かなかったが、表側に実際の部品を乗せ、ひとつづつ確認しながら、ハンダ付けしていく。リード線のついた部品が多いので、なるべくそのリード線だけで配線が出来るよう頭をひねる。

S_pc076306 DC-DCコンバーターは、大電流が流れるので細いUEW線をなるべく使わないようにした。しかしリード線だけで組むことは結構難しい。でも配線量は僅かなので半日もかからない。簡単に完成した。ハンダ面のアートワークをさぼっているので、配線の確認は慎重に何度も行う。

 よし、大丈夫なようだ。最初の通電はいつも緊張する。意を決してスイッチオン、良かった、マルチメーターが8.9Vを指した。LEDに接続、煌々と光が出た。久しぶりのパーフェクトゲームである。気分が良い。

 電池アダプターは単三と単四の2つを用意してある。ラジコンの送信機から取り出した大量の単三も見つかり、暫くは電池のストックが切れることはない。このテストをしている時にも、寝室のエアコンのリモコンの電池が切れて、単4電池2つがさらにストックに加わった。

 Aitendoで買ったMC34063より、セカンドソースのNJM2360の方が性能が良さそうだ。電池の電圧が下がっても(0.7V×3=2.1V)、NJM2360は指定の9Vに近い電圧が出るが、MC34063の方が落ちる。もっとも部品の定数をNJM2360に合わせているので、何とも言えないところである。

S_pc076311 今回の記事は内容も量も少ないが、区切りのついたところなのでアップすることにする。当研究所のブログ記事が少し長めなのは、記事一本単位についてくるCM量を減らして全体を見易くするのが目的なのだが、ひとつの記事に複数のテーマがあるときは、あとで探し出すのが面倒になるので、これも何とも言えないところである。

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コメント

まことさん、コメントありがとうございます。
そうですか、ピンコンパチと思っていましたが、
スペック上も違うのですね。参考になりました。
ありがとうございます。

投稿: がた老 | 2014年1月 2日 (木) 16時25分

こんにちは。
MC34063とNJM2360ですが、データシートの上でも電源電圧範囲が異なります。
MC34063は3.0~40V
NJM2360は2.5~40V
というように、低電圧になってもエネルギーを搾り取るといった使い方でしたらNJM2360のほうがよさそうです。
JRCのエンジニアは乾電池2本でもちゃんと動くように電圧の下限を下げるような工夫を盛り込んだのでしょうね。

投稿: まこと | 2014年1月 2日 (木) 14時27分

はい、何を作るかというのが一番の問題でして。

ChaNさんのような0.5ミリピッチSMDチップを瞬接でつけて
0.2ミリUEW線で配線というのも視野に入ったのですが、
作りたいものが見つからず、というところです。

投稿: がた老 | 2013年12月 9日 (月) 14時12分

実体顕微鏡を活躍させるとしたらやはりチップ部品ですかね。
秋月には1.27mmピッチのユニバーサル両面基板がありますし。

チップ部品やフラットパッケージを使った小型、超小型のものを作るってのはどうですか?

まぁ、確かに何を作るかは難しいところですが・・・(^_^;)

投稿: そら。 | 2013年12月 9日 (月) 11時18分

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