« 2015年1月 | トップページ | 2015年3月 »

2015年2月の2件の記事

2015年2月21日 (土)

RaspberryPi 2ではなくて、Intel Edisonを買う

 最近の超小型CPUボードの進歩の早さは眩暈(めまい)がするほどだ。ブームに先鞭をつけたBeagle Boardが出たころは、1万円の前半(それでも超安値)だったが、ここへきて高性能、低廉化が止まらない。最近のRaspberryPi2(以降RasPi2)に至っては、これまでと値段は全く変わらないのにCPUがいきなり4つになって性能は6倍だという。

 RasPi2は秋月電子などの大所(おおどころ)の電子部品店でも販売が始まり、何度も発売直後に売り切れたりして、ちょっとしたブームである。BeagleBoardのとき、「これはもうPCだから、電子工作としてはやらない」と宣言した当研究所としても、先代のRaspPiのときは、余りの安さにたまらず2台も買ってしまった。このRasPi2の出現を心穏やかに見守れる状況ではない。

 これくらいの速さになると、ちょっと前のノートPCクラスのパソコンの性能である。これが手のひらサイズになってしまったのだから、アプリケーションの可能性は想像を超えて限界が見えない。アマチュアだけでなく業界そのものも何となく浮き足立ってしまっているような感じがする。

 しかし、アマチュアにとっては、今回の飛躍的な性能向上は実はアプリケーション的には、かえって使いにくいマシンになっている。これだけ性能が向上しても、用途が簡単に見当たらないからだ。それに、この高性能を生かせるアプリはどうしても大がかりになり、自作は容易なことではない。

 当研究所に導入された2台のRaspiは、幸い就職先が見つかり(一台は、我が家の現役ファイルサーバー、もう一台は予備役だけれどWebカメラ)、無駄にならずにすんでいるが、最初に買った初代のBeagleBoardと、BeagleBoneBlackは、用途が決まらないまま、多くの雑誌付録基板と同様、部品箱の不良在庫(積み基板ともいう)になっている。P2216943

 こんなわけで、迷った挙句、タイトルのようにRasPi2ではなく別のCPUボード(ボードというよりカード)を買ってしまったのだが、その経緯はあとで詳しく説明するとして、まずは、ここ2週間の電子工作の作業記録から報告する。

表面実装のDC-DCコンバーター基板完成(2/9/2015)

 LEDペンライト2号機を作っていた時にご紹介した、DC-DCコンバーターチップのMNH7601である。効率が良いというのでAitendoから買ってきてブレッドボードに組み、動作を確認したのだが、ブレークアウト基板にしようとして、チップの変換基板が大きなスペースを占めるのが気になった。P2066881

 せっかく、SOT23-5という3ミリ四方の小さなチップなのに、変換基板はmilピッチで4×3ピンの大きさで無駄に大きい。心電計プロジェクトが片付いて手が空いたので、これまで考えていた小さく実装する方法を試してみることにした。

 その方法とは、以前、用もなく買ってあった秋月の表面実装(SMD)汎用基板を利用して作ることである。買ったとき店頭で店員に聞いたところでは、この表面実装のパッドのピッチは1ミリピッチで、mil規格のものとは合わないということだった。

 しかし、SOT23のピンピッチは、0.95ミリとインチ規格ではなく、この1ミリピッチにぴったり合う。実際にチップをこの基板に載せてみると、横3ピンくらいなら0.05ミリのずれは全く問題にならないで綺麗に配置された。

P2076901  早速、秋月でこのために買ってきた47μFのチップセラコンと、表面実装のインダクターを載せてレイアウトをしてみる。うーむ、変換基板のときより高さは間違いなく低くなるが、面積はそう減らないな。

 簡単に見えたが、ハンダ付けは結構難儀した。難しいのは短い配線である。試行錯誤でやっとコツがつかめた。それはUEW線を短かく切ってしまわないで、長いままハンダ付けして行って、そのあとで切る。短くなったときは必ず、ピンセットなどで固定し浮かさない。さもないと一旦ハンダが溶けたら短い線は必ずハンダごての方に持って行かれ作業は振出しに戻る。P2076907

 たいした配線量ではないので、ほどなく完成した。チップの横の使わないパッドはミニルーターで削り取ったが、特にその必要はない。ハンダブリッジはすぐわかる。気分的なものである。このあいだのLAN基板のこともあり、少し強めに部品を動かして固定を確認する。よし、大丈夫だ。

 通電した。白色LEDが眩しく点灯する。いやあ、こんなものでも動くと嬉しい。インダクターが大きすぎたため、専有面積だけでみると、以前作った写真のHT7750基板に負けている。まあ、自己満足の世界である。P2126927

焦電型人感センサーのトラブルシューティング(2/11/2015)
 次の工作は、前々から気になっていた階段照明の自動点灯装置の修理である。Tiny13で焦電型の赤外線人感センサーを制御し、人が近づくとスタンドに明かりがつき、何秒後かに自動で切れる。意外にも家族で人気になり、すっかり実用品として活躍している。

 ただ、こいつ高感度なのは良いが、冬にエアコンの暖房をつけると、つけた直後の微妙な温度上昇で誤動作が頻発する。以前、入力ピンの基準電圧を上げたり色々やったが、改善できなかった。

 誤動作と言っても、照明が少々無駄に点くだけでそれほどの実害はない。まあ人感センサーそのものも、それほど正確性があるわけでもないので(良く駐車場などで突然点いたりしている)、放置していたのだが、手が空いたので少し本格的に修理することにした。P2126917

 方策は考えてある。微妙な温度差で動くのは、オペアンプの増幅度が高すぎるのではないかと言う仮説である(現在2段で1350倍)。このためアンプの1段目に半固定の抵抗器を入れて増幅度を下げてみる。ところが回路図が見当たらない。こういうときのブログである。PCを立ち上げて記事一覧を検索する。すぐに回路図は見つかった。

 画面が階段の上部で見られるようにオシロを機器のそばに移動し、反応をチェックする。ここで反応する限界まで増幅度を下げれば、誤動作が一番少なるはずだ。その結果、400倍くらいまで下げても十分反応し、誤動作は明らかに少なくなった。

P2216951  しかし回数は少なくなったとはいえ、ゼロにはならない。今度は固定抵抗を交換してさらに200倍まで落とした。反応は余り変わらない。いつものように距離3メートルくらいの階段上部でも確実に反応する。さらに誤動作は少なくなったが完全にはなくせない。

 温度変化による変動は、オシロで見ていると、温度が上がり始めると、5秒周期くらいの緩い上下動が少しづつ始まり、何回かののちついには閾値にまで下がって、その後、元にもどり、暫くするとまた始まるという周期を繰り返している。P2216953

 そもそも人を感じるということは、こういう微妙な熱変化を連鎖反応的に増幅して動作に結びつけているわけで、これを否定するわけにはいかない。しばらくこれで様子を見てみよう。

Raspberry Pi 2を横目で見てあえてIntel Edisonを買う(2/14/2015)
 RaspberryPi2である。色々なところで話題になっている。秋月では、売り出し初日で売り切れたそうである。何しろ価格据え置きで性能6倍だ。使うあてがなくても食指が伸びる。

 欲しいと思う半面、余りみんなが騒ぐと、その反動でむくむくと反抗心が出てくるのが当研究所の所長の性格である。自慢ではないが、天邪鬼なことでは誰にも負けない(あ、やっぱり自慢しているか)。だいたいこのRasPi2、買って何かに使うあてが全くない。以前のBBBなども使いこなせず積み基板にしているのに。

 自問自答しながら、それでも休みの土曜、自然に足は秋葉原に向かった。当然のように秋月も覗いて見る。これがすごい混雑だ。人が入口付近に密集し店内に入れない。余りの人出に驚いてしまう。RasPi2が店頭で売られているからだけではなさそうである。休みの日の秋月はいつもこんな状態らしい。

 しかし、RasPi2は買わないことに決めている。替わりに手に取ったのが、IntelのEdisonである。入口の平積み台にRasPi2と同じところに並んで売られている。実は元からこれを買う気で秋葉原を訪れた。そもそもEdison自体も今買わなければならない理由はないのだが、こういうのは弾みである。

 RasPi2ではなくIntel Edisonにした理由は次の通りである。まず、RasPi2には今思いつくアプリケーションがない。ただ速いだけでは面白くない。しかし、Edisonは無線LAN(WiFi)が標準でついているので、そのままロボットや、RCカーなどに載せて交信ができる。ウェブカメラを車載して周囲を見るというのは洒落ているではないか。

 しかも消費電力がRasPiに比べれば半分以下だ。ここでRaspiとの比較をしている。RasPiについている有線LANは大飯ぐらいで、150mAくらい平気で消費する。勿論、LANインタフェースのないAタイプもあるが、それでも本体だけで400mAは喰う(Edisonは公称250mA程度)。

 RaspiにあるHDMI周りのビデオの装備がないのもEdisonを選ぶ理由だ。RasPiのビデオだって、CPUパワーがまだ不足なので、限られた範囲の動画はともかく、Xwindowなどのデスクトップは、思ったほどスムーズには動かない。

 これがRasPi2で早くなるとしても、こうした大画面映像を動かす必要性はあまり感じない。事実、これまでのRasPiの開発でXを使ったことは殆どなく、全部キャラクターベースで済んでいる。このあたりのEdisonの考え方は割り切っていて、最初からビデオインターフェースが省略され、とてもすっきりしている。P2196931

 Edisonの物理インターフェースは0.5ミリピッチの精密なソケットなので、ブレークアウト基板が必須だ。Arduinoインターフェースをサポートするものと、しない基板とが2種類ある。所長はArduinoはやらないので、迷わず、素のブレークアウトボードを選ぶ。秋月で¥8,480。

 これが高いか安いかは論議のあるところである。ただRasPiにハブやWiFiのUSBドングルをつけたりバッテリーの充電装置(あまり宣伝されていないけれど、このブレークアウト基板にはリチウム充電池を充電する回路がついている)を入れたりすれば余り差がなくなる。

 というか、Edisonのこの小ささは尋常ではない。手のひらサイズということだが、これは手のひらではなくてSDカードのサイズである。拳の中にすっぽり納まる。ブレークアウト基板もRasPiの半分くらいしかなく、フリスクのケースに入りそうである。どうしてこちらがブレークしないのか不思議なくらいだ。

IntelEdison意外に手強い。やっとWiFiでつながった(2/15/2015)
 これが、簡単に行かなかったのである。スイッチサイエンスのサイトが一番詳しかったのだが、どこかが省略されていて、カーネルの再構成がうまく行かない。USBの仮想ネットワークがつながらないので、どうしてもシェルが立ち上がらない。

それならとシリアルを探すが、UARTが動かない。もうひとつのUSBコネクターからの UARTであることに気づくまで時間がかかった(その後、USBのネットワークがつながらないのはPC側の設定ミスと判明した)。

 マイクロUSBケーブルを2本差しし、やっとrebootが効いて、カーネルが作り直された。WiFiのテストに入る。これは順調に自宅の無線LANにつながった。しかし、地下からなので、IEEE802.3A(5Ghz)はつながらず、IEEE802.3G(2.4Ghz)しかつながらなかった。それでもつながった時は感動した。

 こんな小さな基板でたいしたものである。ブレークアウト基板を入れても、Raspiの半分以下の小ささである。これが無線LANを経由して、HTTPサーバーまで見える。RaspiやBeagleBoardで味わった驚きを、ここでも味わう。本格的なLinuxマシンが手の中に隠れるサイズで動いている。

Ubuntu14.04の導入にはまる。マルチブートが出来ないのであせる(2/16/2015)
 Edisonのカーネル再構築のため、メインPCでUbuntuを久しぶりに更新した。現在のカーネルはUVCクラスのUSBカメラをサポートしていないというのでその準備である。

 簡単に行くと思ったが、Windowsと共存を図るマルチブートではまった。最終的にはうまく行ったのだが、このあたりは失敗すると、OS全部が動かなくなる。冷や汗ものの作業である。

 長期対応版のUbuntu14.04をインストールする。インストールイメージのDVDをダウンロードし、現在のWin7のCディスク(1テラもあった)を少し削るという(150Gばかり)一番楽なインストールコースを選ぶ。

 小1時間くらいでインストールが無事終わったので、気楽に再始動をかける。ところがマルチブートローダーGRUBが全く出ず、これまでどおりWindowsが立ち上がるだけだ。ええー、何でー?インストールDVDのLinuxを立ち上げて確かめるが、Ubuntu14.04はしっかり所定のところへインストールされている。うーむ、どうしてだ。暫く考えていて思い当たるところが見つかった。

 現在のマシンは、動いているWin7システムにこれまで使っていたXPのシステムディスクを接続してデータを回収した。いわばブートディスクが2つある状態で動いている。BIOSのブートシーケンスから、このディスクは除外してあるので、Win7は何事もなく動いているが、Linuxでは怪しい。

 BIOSにはそれ以外にも、ディスクドライブの順序の設定というのがあって、前のXPのディスクドライブは、昔のパラレルATA(IDE)なのでWin7のSATAより優先順位が高い。良くわからなくなったので、このXPディスクの電源と、インターフェースケーブルをはずして再度Ubuntuをインストールした。

 ところが、これでも動かないのである。インストールの方法は、既に入れたパーティションに上書きする方法である。これも順調に終了したのだが、相変わらずGRUBは見えず、何事もなかったかのようにWin7が立ち上がる。

 ライブDVDのUbuntuでGRUBだけインストールすれば動くのかもしれない。ウェブサイトには、ライブDVDの立ち上げの時、コマンドモードにするオプションがあって、ブートシーケンスをいじれるような裏技が紹介されていたが、こいつは何をやってもカーネルパニックで先に進まない。

 インストールは簡単になったが、中の事情がわからないので途方に暮れるだけである。GRUBだけの個別インストールなんかはなるべくやりたくない(LinuxどころかWinまでが立ち上がらなくなる危険がある)。P2216942

 暫くぶりのPCでのトラブルである。今、Ubuntuが動かなくても致命的なことにはならないが、どうも、すっきりしない。デュアルブートではなくVMWareなどにすることも考えたが、このまま引き下がるのもしゃくである。

 インストールの方法にはいくつか種類がある。これを調べているうちに、ふっと気が付いた。もしかして上書きインストールの場合は、GRUB部分は全く同じだというのでここの書き換えは省略しているのではないか。上書きではなく、パーティションを指定してのインストール法に切り替える。ピンポーン!これが当たりであった。

 無事にGRUBの画面が表示され、やっとのことで、ディスクからUbuntuが立ち上がった。心配していた日本語環境も、インストール版はしっかりついていた(ライブ版では日本語入力不可)。

Edisonのカーネルビルドで一苦労。何とUVCは既についていた(2/20/2015)
 いよいよ目的の、Edisonカーネルの再構築である。ソースコードをダウンロードして最初からのビルドに挑戦する。当然性能の高いPCのUbuntuでコンパイルする。クロスビルドである。

 沢山の先人の方々が、この作業に挑戦しているので情報にはことかかない。どこのページを参考にするか迷うくらいだ。Edisonで映像配信をするためにカーネルのリコンパイルという、こちらがこれからやろうとすることと全く同じ目的のタイトルに惹かれて、まずはここを参考にする

 しかし、手順が複雑でなかなか先に進まない。数時間かかって、2800余りのステップの1937で挫折した。どうしてもひとつのエラーが抜けずに(bin/ubwebsockets-test-server近辺)、先に進まない。ここ以外にもいくつか違う手順があるようなのでここは諦める。

 次のサイトのほうは、動かしてみると、ここでのステップ数は400足らずだった。エラーは幸い出ず、警告1件だけで、ちょうど50分で終了した。いやあ、なんで同じ再構築でこんなにやり方が違うのだろう。

 勢い込んで、カーネル再構築のメニューmenuconfigを立ち上げて驚いた。もう現在のカーネルで、USBのUVCクラスはサポートされている。他にも色々なカメラのドライバーのチェック欄があるが、UVCクラスならこういうドライバーはいらない。UVCのサポートだけで動くはずである。

P2196929  ええーこれはどうしたことか。これらのサイトの記事が書かれたころは、カーネルはサポートしていなかったのが、最近になって入ったというのか。そう言えば、最初のスイッチサイエンスのインストール手順で、最新のファームをダウンロードして更新した。

 確かに、RasPiなどに較べれば情報は山ほどあっても、Linux周辺の基礎知識がないとまともに動かすまでのハードルが高い。EdisonのOS(Yocto Linux)は発表当初のバージョンが古くバグがらみだったということで評判を落としたと聞いている。このあたりがいまいちEdisonが盛り上がらない要因のひとつかもしれない。

 さらにウェブを検索する。キーワードを換えて行くと、続々Edisonがらみのページが見つかる。おお、usbのサポート状況を調べるコマンドがあった(lsusb)。ここのサイトを参考に、EdisonのOTGコネクターに、手持ちのUSBディバイスをつないでテストしてみる。ふむ、大丈夫だ。USBメモリーなどが問題なく認識され動く。さあ、それならUVCカメラはどうだ。

P2206934  どきどきしながら、UVCカメラをRaspiのWebカメラの雲台からはずし、Edisonに接続する。lsusbを入れてみる。な、なんと、なんと、全く問題なく、出力メッセージにUSBカメラの型番、LogitechのC270が表示された。/dev/video0もしっかり作られている。

 まだ動かせないけれど、ここまで認識すればもう大丈夫だ。何ということだ。あれだけ苦労したカーネル再構築は不要となった。まあ、貴重な経験をしたと考えることにしよう。それにいずれはやらねばならない作業だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015年2月 6日 (金)

心電計は少しおやすみ。以前作った装置の修理にはまる

 ちょうど一カ月ぶりのブログの更新である。こんなに間が空いたのは、心電計プロジェクトが一段落したあと一気に気が抜け、ブログに報告するような工作の話題が少なかったこともあるが、それより些末なことにこだわる所長の粘着気質も影響している。特にこの2週間はこれまで作った装置の修理にどっぷりはまって、抜け出せなくなっていた。

 電子工作を始めて間もないころ作ったLANによるプリンターの遠隔電源制御コントローラーが、また故障したのである。家族が独立してこの装置の必要性は薄れていたのだが、当初これが原因と考えていた見込みが次々にはずれてしまい、最後は完全に意地になっていた。 A4111243

 で、何とか原因究明に成功して、こうしてブログの記事を書いているのだが、その原因と言うのが、これまでの常識を超える不具合で、今のところ動いているものの、怖くてまだ完全な検証には至っていない。その顛末も含めて、この一か月の研究所活動をご紹介する。

息抜きにLEDペンライト2号機制作(1/12/2015)
 心電計はTFT液晶に想定通りの画面が出て一息ついた。スケールを振幅や時間幅に合わせて可変にしたりするソフト開発や、脈拍数を大きなフォントで表示する機能など、まだまだ実用までにやりたい工作が残っているのだが、とりあえずは少しお休みすることにしよう。

 心電計の作業の合い間に少しづつ部品を揃えていたやりかけの工作がある。乾電池ひとつで動くLEDペンライトの2号機である。この手のライトは100円ショップなどで山のように売られているが、DC-DCコンバーターの応用例として作った自作1号機が思いのほか使い勝手が良く(小さくもなく大きくもない。へたりかけの電池でOKなど)、意外に重宝している。

 それで、ずいぶん前に2号機を作ろうと思い、以前にも紹介したAitendoのPT1301というDC-DCコンバーターICを入手してブレークアウト基板に作りこんだ。LEDランプや、ケース、スイッチなどの部品も揃えた。1号機は2Fの洗面所、2号機は工作室に常備する予定だ。 P1136849

 スイッチの固定など全体の工作は済んでいない。こういう円筒の中にものを詰める「しかけ」は、何故か工作心(ごころ)を刺激する。固定の仕方に沢山の方法があり、「最も工数が少なく」「確実に固定され」「着脱が容易」な構造を考えるのは楽しいものである。

 スイッチは、だいぶ前から一号機の「モーメンタリー」(押すときだけON)ではなく、「オルタネート」(押してONさらに押してOFF)に動く小さなものを探していたが、期せずして、秋月とAitendoで、オルタネートの小さなタクトスイッチが最近発売された。恐らく、同じ製品だと思うが2号機にはこれを使うことにする。 P2066893

 それとAitendoでは、前から気になっていたDC-DCコンバーターICが売られていることを発見した。今度のペンライトにも使えるし、これまで何度か昇天させてしまった9Vレベル(乾電池の006Pの代替)のコンバーターにも使えれば嬉しい。

別のDC-DCコンバーターIC、EMH7601をAitendoから入手した(1/14/2015)
 このDC-DCコンバーターは、ふとしたことで、このサイトで絶賛されているのを見つけた。効率が良くて、回路も簡単だという(ショットキーダイオードが不要)。作ろうとしているペンライトには既にDC-DCコンバーター基板が用意されているが、これも急に欲しくなった。面白いものでこの物欲というのは全く理屈抜きに突然湧いてくるというのが不思議なところである。

 0.7Vからでも動くというので、LEDペンライトにも使える。久しぶりに、末広町のAitendoの直営店舗に足を延ばした。車をコインパークに入れ、少し歩いて店のあるビルに向かう。このあたりは秋葉原の商店街と全く雰囲気の違う中小オフィスビル街だ。平日にもかかわらず周囲は閑散としている。

 お店は3階にある。人気(ひとけ)の少ないビルで入口から店に入るまで誰にも会わなかった。店内は開店当初より品物が充実している。ただ、ICなどはランダムにあちこちの棚にブロックで並べられているので探し出すのが一苦労だ。

 ここにきた目的は、このICとオルタネートスイッチ以外に、去年の暮れジャンクで買ったシャープの7インチディスプレイ(¥7000が、千円以下になっていて衝動買い)のフレキケーブルと接続基板を手に入れるためでもある。P2066881

 膨大な変換基板の棚から、幸いコネクター付きの40ピンの基板が見つかりこれを買うことにする。少し高い(¥780)が、0.5ミリピッチのハンダ付けをしないですむ。これで7インチディスプレイの工作はいつでもとりかかれる体制ができた(何を作るか決めていないけど)。

 いそいそと帰って、早速、PCを立ち上げ、データシートを調べる。EMH7601は、最大出力電圧が5.5V止まりということをデータシートで見つけて少しがっかりする。ただ、500mAまでとれて効率が高いというのは魅力だ。 P2066877

 ブレッドボードに、変換基板に載せたEMH7601をつけて早速テストする。おお、へたった乾電池ひとつで、煌々と白色LEDが点灯した。ただ、この変換基板どうも大きすぎる。せっかくのSOT23の小さなチップが台無しだ。このあいだの秋月の表面実装部品用のべた基板に小さく実装したくなった。いや、脱線はやめておこう(と言いながら、秋月でSMDの47μFコンデンサーを入手)。

ペンライト2号機完成(1/17/2015)
 
EMH7601は有力なDC-DCコンバーターではあるが、これでペンライトを作ってしまうと、せっかく作った前のPT1301基板が無駄になってしまうのは痛い。どちらを採用するか迷って、このEMH7601とこれまでのPT1301との簡単な性能比較をしてみた。

 その結果、乾電池1個の領域では、全く変わりがないことがわかった。どちらも1.2Vから、2.8V近辺まで出力する。一号機は、AS1322を使ったストロベリーリナックスのブレークアウト基板(¥950)を使っている。これとも比較してみる。P2066897

 一号機のLEDランプは、2号機にする予定のランプとどうも型番が違うらしく色温度が明らかに違う。明るさでいうのなら一号機の方が明るいようにみえるが、正確な測定器がないのでわからない。マルチメーターで測ったところでは、出力電圧は上記2つと殆ど変らなかった。負荷のLEDランプの種類が違うので何とも言えないところだ。

 結局、これまでのPT1301の基板を生かすことにして、ペンライトの組み立てに集中する。ランプのハウジングと、アクリルボディは変わっていないので、外観は1号機と2号機で全く同じになってしまい、思わず笑ってしまった。ちょっと見ただけでは見分けがつかない。P1246869

 スイッチだけが、2号機がオルタネートスイッチになっている。このスイッチの固定が一番厄介だった。スイッチの可動部が円筒にあけた穴と干渉してスムーズに入り切りができない。といって、スイッチを完全に固定してしまうと脱着ができなくなる。

 最初、秋月で売っていた、円形のユニバーサル基板[AE-20mm-TH] を使ってスイッチを固定しようとしたが、円柱にストッパーを接着剤でつけて固定する方法が、どうもうまく行かず、結局、一号機と同じような基板片を十字に組んで摩擦で止める方式に落ち着いた。 P1246872

 こんなささやかな工作でもやりだすと止まらない。あんまり凝るのも何なので、適当なところで切り上げて、とりあえず完成とする。裏はまだテープで止めただけだ。部品が固定できれば配線は一瞬で終わる。出来上がったペンライトを並べて記念撮影。オルタネートスイッチはやはりとても便利だ。つけたままにしてライトを任意の場所に固定できるアングラーのようなものが欲しくなった。

LANのプリンター電源遠隔コントローラーの修理(1/21/2015)
 この遠隔AC電源制御装置は、電子工作を始めて間もないころ、ドイツの制作記事を参考に、マイクロチップのNICドライバーENC28J60を使って作ったものである。途中、ACアダプターが壊れて交換したが、この8年間全く問題なく動いていた。

 娘が結婚し、離れた所からプリンターの電源を制御する機会がなくなって気が付かなかったのだが、あるとき、動かそうとしたら、ネット上で認識できなくなっていた。PINGも応答しない。手動のスイッチは動くので、マイコン(Mega168)が動いていることは間違いない。モジュラージャックのリンクLEDが点灯していないので、ENC28J60あたりに問題がありそうだ。

 使用機会がなくなっているので、急いで修理する必要は全くない。暫く放置していたのだが、心電計プロジェクトも一段落したので、重い腰を上げて修理することにした。

 まず、定石通り各部の電圧を測る。問題ない。修理用のUARTをつないで動きを確認する。ふむ、ENC28J60は初期化が済んだというメッセージを出して立ち上がった。NICチップは正常のようだ。しかし、モジュラージャックのLEDはどちらも点灯しない。

 当然、PINGをかけても応答しない。ケーブルを抜き差ししていると、おっと、LEDが一瞬点いた。何、LANケーブルの接触不良か。いや、そうでもなさそうだ。ケーブルを換えても、ソケットをグリグリしても変化はない。時々、つながるが、暫くすると切れてしまう。 P1246862

 こういうときの故障部品の定番は、まずIC、次に電解コンデンサー、コネクターと決まっている。念のため予備のENC28J60チップと差し替えてみる。レディメッセージが出たと言っても信用はできない。

  症状は全く変わらない。ENC28J60とモジュラージャックを実装したサブ基板を、手で少しづつ動かしていると突然LEDが点き、PINGも通るが、切れるとネットも切れる。しかし、Mega168の応答は正常でハングもしていない。

 ENC28J60でもなさそうだ。電解コンデンサーはこの回路にはないので、残るはモジュラージャックである。8年も使ったのだ。壊れても不思議ではない。しかし、この換装は簡単ではない。まず手持ち在庫に、このパルストランス付きのモジュラージャックがない。買ってくるしかない。

やった!モジュラージャックだったと意気上がったのもつかの間(1/24/2015)
 仕事の帰り、秋葉原に出て、秋月でモジュラージャックを入手した。このブレークアウト基板がほしいのだが、まだ置いていない。パルストランス付きのモジュラーは2種類になっていて値段が違う(¥300と¥200)。

 スペックもフットプリントも全く同じで、今まで使っていたのが高い方のようだ。面倒なので2種類とも買って帰る。換装は実はとても厄介だ。モジュラージャックとENC28J60チップをサブ基板に載せ、サブ基板とメイン基板の間をピンのハンダ付けで固定しているので、このピンのハンダ付けからはずさなければならない。

 文句を言ってみても自分に返ってくるだけなので、黙々とハンダ吸い取り線でハンダをとり、メモに間違えないように、ハンダ付けの位置を書き留めて、少しづつ外していく。 モジュラージャックのハンダ付けも注意深く外す。

 このあたりも前の配線図だけでなく現実の配線をメモに残しておかないと危ない。以前の配線図は制作の極く当初のものであり、そのあと変更されていることがあるからだ(変更したことなど憶えていない)。

 やっとのことで換装が終わった。電源を入れる。やった!モジュラーのリンクLEDが点き、ネットの交信が始まってアクセスLEDが点滅する。モジュラージャックが不調の原因だったのだ。いやあ、苦労が多かった分、感動はひとしおである。久しぶりのカンがあたって意気軒昂、痛快この上ない。

 さあ、元へ戻そうと、基板をケースに戻し、ねじ止めの前に念のため電源を入れると、なんと!動かなくなっている。何い、モジュラージャックが原因ではなかったのか。新しいモジュラージャックでも同様な現象で止まってしまった。

 何という事だ。故障の原因が物理的な接触不良であることは間違いない。しかしモジュラーでないことは現象が再現することから明らかだ。動かない状況には2つあって、LEDが全くつかないときと、LEDがついてもネット上でつながらないときとがある。

 実はケースに戻す前に、モジュラーのLEDの緑と黄色が逆だったので、この交換をするため、サブ基板の配線を少しはずし配線の付け直しをしている。こうなるともう原因が特定できなくなってきた。実体顕微鏡で詳しく配線のハンダ付けを調べていくが、あやしいところは見つからない。こうなってくると意地になるのが所長の悪い癖である。P1246863

 サブ基板の配線面は、メイン基板に固定すると見えなくなるので、メイン基板との間の10本のピンをローハイトのピンソケットで着脱できるような作業にとりかかる。こうすればサブ基板を裏返しにして動作を調べられる。

ソケットに取り換えるも現象が特定できない(1/26/2015)
 メイン基板とサブ基板の間を離してテストが出来るようになった。それまではハンダ付けで両者をつないでテストしていたので、時々、配線間違いを起こして大騒ぎになるのだが、これで避けられる。

 ピンソケットの間にジャンパーを介して、メイン基板とサブ基板を物理的に離せたので、爪楊枝などで配線面をたどり、ハンダ付け不良や部品不良を調べるが、はっきりした徴候は出てこない。相変わらずランダムにモジュラーのLEDは点き、勝手に消える。泥沼が続いている。

 少なくともメイン基板の接触不良ではなさそうだ。サブ基板の物理的な接触不良が原因だろうということはわかった。メイン基板をいくら押したり、歪めたりしても状況に変わりはないが、サブ基板の押さえ具合でLEDが点いたり消えたりする。1日近く点いているときもあるが、ちょっと触っただけで切れたりする。

 ICでもない、ソケット(モジュラージャック)でもない、ハンダ付けでもないとなると、あとは抵抗とか、セラミックコンデンサーとかのパーツになる。しかし各部品を点検するとなると部品をはずすしかなく簡単に調べられるものではない。

 8年近くも動いていた機械だ。どこかは壊れるだろう。しかし、こんな不毛な作業を続けているのが段々馬鹿らしくなり、サブ基板だけ作り替えようかと考え始めた。この機械をすべて廃棄するという選択肢は今のところない。こんなことで負けていられるか。

久しぶりの志賀高原は寒かった(1/29/2015)
 そうこうするうちに、スキーの日程が来た。久しぶりの志賀高原である。学生時代に一緒に滑った昔の仲間が来るというので、日を合わせて集まったのだが、何と70を過ぎた所長が最年少で、みんな70後半の先輩方ばっかりだった。それでもみなさんお達者で年を感じさせない。P1290332

 4年ぶりの志賀高原スキーは楽しかった。3日間の日程で幸い良い天気に恵まれ、たくさんのスキー場をくまなく滑るいわゆる「スキーサーカス」を楽しんだ。志賀高原は谷をいくつかはさんで変化に富んだ多くのスキー場があるので滑りがいがある。

 最終日は、志賀の最高峰、横手山まで登った(と言ってもリフトだが)。ここには日本で一番高いパン屋さんがあるので有名である(高いと言っても値段ではなく標高)。ここの山頂は、蔵王に匹敵する美しい樹氷でも知られている。P1290333

 眺望も素晴らしい。この日は雲もなく、妙高、戸隠から、白馬連峰、穂高と槍、微かに噴煙を上げる御嶽山、それに富士山まで、すべて確認できた。ただ、寒いこと寒いこと、恐らく零下15度はあったと思う。余り寒くて手が凍え写真は良く撮れなかった。

 頂上から続く渋峠のスキー場の雪質は最高で、いつも自分が上手くなった気分にさせてくれる。横手スキー場の穴場は実は、メインコースから派生して伸びた小さなゲレンデ、横手第5、6リフトだ。誰も滑る人もなく、ここからの笠岳の眺望は絶品である。S_p1290334

遂に原因を究明。リンクレベルの終端抵抗のハンダ付け不良(2/3/2015)
 
スキーから帰ってきて地下の工作室にこもる。電源コントローラーのトラブルシューティングが待っている。もうそろそろ決断の時だ。メイン基板とサブ基板に分けて、サブ基板のどこかの接触不良であることまではわかったが、それ以上の進展はない。

 隅から隅まで40倍の実体顕微鏡でハンダ付けのおかしなところをチェックするが、みな問題ない。残った調査対象CR部品をはずすくらいなら、もう一度、サブ基板を作り直す方が早い。適当な基板を決めてレイアウトを考え始める。

 それでも諦めきれず、爪楊枝で各部品を少しづつ触っているときのことだ。パルストランスに並列に入っている終端抵抗を少し強く押したときに突然リンクLEDが点灯した!何い、外見上のハンダ付けは全く問題がなく綺麗に見えているところだ。

 さらに強く押す。もう、切れない。リンクLEDはついたままだ。横でアクセスLEDが忙しくブリンクし始める。これは一体どういうことだ。以前、UEW線ではこういうことがあった。しかし、51Ωの終端抵抗のリード線は軟銅線でハンダは綺麗に盛り上がっている。

 抵抗がぐらぐらしているわけでもない。それなのに、内部で接触不良を起こしていたのである。長い間、がた老研究所を悩ましていた、コントローラーの不具合がやっとのことで解決した。いや、これまでに何回、サブ基板をはずして点検したことか。この状況はこれまでの常識を超えている。P2066882

 この部分の再ハンダ付けは、色々考えたが、とりあえずこのままにして装置を全部組み上げ直した。最終のねじを締め終わった途端、また不具合が再発すれば(これがよくあることだが)、ここのハンダ付けをもう一度やりなおそうと考えた。せっかく動いているのに下手にいじってまた動かなくなるのが怖い。

 全部を組み上げ、ケース固定の4つのネジを締めて、恐る恐る電源を入れる。おめでとうございます。装置は全く問題なく正常動作を開始した。2日経つが今も問題ない。奇妙な解決だがとにかく肩の荷は下りた。これでブログに報告できる。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

« 2015年1月 | トップページ | 2015年3月 »