Edison進展せず。電子工作に「ときめか」ない
前回の記事から一か月以上が経ってしまった。これまでで最長の空白だ。Edisonの電池駆動カメラのプロジェクトは、IPアドレスを可変にするサーバープログラミングに熱中し、これが実現したとたん、やる気を失った。こういうことは良くあることなのだが、今度はさらに別のことが重なった。
というのは、こんなに苦労して可変アドレスを手に入れなくても、WiFiでEdisonのホストIPアドレスを簡単に固定にすることが出来るということをウェブで知り(考えてみたら出来て当然なのだけど)、がっくり落ち込んだ。まあ、nodeの勉強には役だったと自分を慰めるが、実用的には徒労に近い。
当研究所のモットーは、何度も書いているように「実用性」である。こういう無駄な作業は一番避けたいもののひとつである。それにこれでEdisonが動いたとしても、面白そうな応用が見つからない。要するに心が躍らないのである。
最近、タイムズ誌で世界で注目される100人の一人に選ばれた、「片づけ」の名人、近藤真理恵氏の言葉を借りれば「ときめき」がないのである。電子工作での「これを作りたい」という気持ちは理屈ではなく、この「ときめき」に近い、と言うよりそのものである。これがないとやる気が起きない。
まあ、この一か月の空白は、電子工作以外のことに忙しかったこともある。後程いくつかご紹介するが、今はこちらのほうが「ときめき」を感じることが多い。 とはいえ、このブログは今や、電子工作だけでなく所長の生活全体の備忘録と化している。休んでいるわけにはいかない。メモにして残してきた、この一か月の行動記録をなるべく電子工作とつなぎながらご報告していくことにする。
移動カメラの実装を考える(5/20/2015)
Edisonの電池駆動ウェブカメラは順調に動いている。起動の順序を変えてもWindowsでいつでも見えるようになっているのが嬉しい。しかし、ハードウェアは全くバラックのままで、このままにしておくわけにはいかない。何らかの実装を考えることにした。
電池駆動でWiFiなのでカメラごと一体にすれば、使い勝手は格段に上がる。しかし、いずれはRaspberryPiのときと同じように、カメラをチルトやパンして動かしたいという野望もある(実はキットを買ってある)。考えているだけでは先に進まないので、とりあえずはEdisonと電池だけをケースに収容することにした。
放熱も考えておかないといけない。Edisonはカメラを駆動させると、やけどをするほどの熱さではないが、手で触っているのがちょっとつらくなるほど発熱する。放射温度計で測ったところでは、USBカメラをつけると、室温20°で表面のアルミシールドが41℃前後、カメラを動作させると46℃近くまで上がることがわかった。
ヒートシンクをつけたほうが良いかもしれない。電池での長時間テストもやってみた。電池は、NiMH(ニッケル水素)いわゆるエネループである。カメラをつけると400mA近く消費するようだが、4時間は楽に動いた(UM3型は1900mAh)。
カメラで何をするか決まっていないというのが一番の問題だ。猫監視カメラを2台作るわけにもいかない。実は、このEdison移動カメラは、以前とりあげたドローン(マルチコプター)に積み込んで自宅上空を写すつもりだったのだが、あの事件ですっかり出鼻を挫かれてしまった。
それにしても、今度のドローン不時着のニュースには驚いた。とうとうやったか、きっと誰かが悪戯するだろうと危惧していたのだが現実になった。ドローンは自作の格好のネタなので既製品を買わずに自作しようと、モーター制御を勉強したり、6軸ジャイロセンサーなどを入手して準備していたのだが、ぐずぐずしているうちにすっかり先を越されてしまった。
既製品を早く買っておくべきだった。これでは、simさんが書いていたように、自作すると「ドローンを密造」ということになってしまう。このあいだスキーに行ったとき、同宿のスキーヤーから、Goproで撮ったムービーを見せられ、とても啓発されたのだが、こういうものは、思い立った時にやらないといけない(今の所長のスマホもそうだ。すっかり乗り遅れている)。
シリアルが動かなくなったのは、ピンヘッダーでショートさせたか(5/26/2015)
Edison基板をピンヘッダーで固定したマザー基板を、見るともなしに見ていたときである。ハンダ付けしたピンヘッダーの反対側の突起が、Edison本体の裏のシールド板と接触しているように見えた。Edisonが裏にもシールド板が張り出していることに今さらながら気が付いた。 お、お、おー、もしかすると、これがシリアルインターフェースが動かない原因なのか。あわてて、Edison本体をはずし(抜き差し30回まで保証。もう10回は抜き差ししたか)、触っていそうなところをニッパーで切る。2か所あった。一本はGND、もう一本は、問題のシリアルのUART1の RXだった。うーむ、これか。
祈る気持ちで電源をON。残念、状態は変化せず、シリアルは生き返らなかった。落ち着いて調べ直してみたら、ショートしていたと思われるRXは、オシロで調べた時にちゃんとプルアップされた電圧が出ており、動かないTXの方は、最初から接触した形跡がない。
現在のEdisonブレークアウト基板は、シリアルが動かないこと以外に、最初点灯していた充電中を示すLEDが点かなくなっているという不具合を抱えている。WiFiや、USBからの給電によるUSB仮想ネットは生きているので、日常の作業には差支えないが、不安は拭えない。
いずれにしても、今後、少しまともな用途に使うことを考えるなら、Edisonは安全のためもう1セット調達する必要があるようだ。
恐れ入ったカメラ操作キット(5/29/2015)
先にも書いたように、Edisonでもカメラを動かそうと、このウェブサイトで紹介されたカメラのパンチルトを行うサーボキットを、以前衝動買いしてある。サイトでの紹介が辛口だったので、買ったまま封も開けず放置し、余り期待していなかったのだが、ドローンの話が消えて、パンチルトをEdisonでもやってみる気になった。
包装を解いてパーツをとりだす。話には聞いていたが、確かにすさまじいキットだった。だいたいアセンブリーのカメラを装着するホルダー部分が、カメラのマウントと全く違うので、このままではカメラを取り付けられない。
恐らく、設計当初に予定していたカメラが供給できなくなったけれど、サイトに改造記事をつけて販売を強行している感じだ。アセンブリーの金型を変えるのは確かに巨額の費用がかかるので同情したいところだが、それにしても、この紹介された改造方法が荒っぽい。
カメラもアセンブリーも、ニッパーなどで取付け部分を双方とも全部切り取り、やすりとドリルで固定穴をあけてねじ止めするという乱暴なものだ。もう少しエレガントな改造法もあると思うのだが、やりかたがいかにも原始的だ。
しかも、サーボモーターに付属しているホーンは、どれも、このアセンブリーの取り付け穴に入らない。型に合わせて切り取れとある。サーボモーターも変わったのだろう。好い加減なものである。プラスティックなので加工は簡単だが、何か馬鹿にされている感が否めない。
サーボ2つとカメラ(30万画素ではもう時代遅れ)で¥3200と言う値段がちょっと眉唾だったのだが、噂どおりの豪快なキットだった。中華製だろう。改良記事をサイトに載せているだけでも良心的と考えないといけないのかもしれない。
ともあれ、完成した。記事に指定されたカメラ側のホルダーをニッパーで切り取ることは止め、そっくりこれを残し、マウント側に板を接着し、カメラのホルダーで挟めるように工夫する。特にがたつきもせずうまくいった。
このカメラはWindowsでは認識するが、Linuxでは駄目らしい。みんな別のカメラでテストしている。ただ、手持ちのC270は少し大きすぎて、このサーボでは重すぎて動かせないかもしれない。別のカメラを考えないといけない。
AVRではサーボは動いた。快調な動き(6/6/2015)
出来上がった操作キットのサーボモーターを、いきなりEdisonのPWMで動かすのは大変なので、手直に動かせるAVRで動作確認することにした。1年ほど前、AVRで市販のサーボを動かす実験をしている。
しかし、これが、なかなか手が動かないのである。電子工作以外にやることが増えてきて、こんな簡単なことでも腰が重い。それでも、やっと工作机に向かう気が起きて、ゆるゆるブレッドボードにTiny861のISP配線をすませた。操作キットの完成からここまでに3日以上かかっている。
以前作ったサーボ制御のソフトをコンパイルする。おやあ、新しいAtmelStudioではコンパイルエラーが出る。おかしいな。前のプロジェクトではすんなり通ったのに。
サーボモーターを動かしてから1年しかたっていないのに色んなことを忘れている。前のAVRStudioの時代のプロジェクトをimportで持ち込んでいるのだが、gccのディレクトリパスがおかしい。
新しいAtmelStudioから新規に作るプロジェクトは問題ないが、importだけでは駄目なようだ。このあたりの原因究明をしている暇はない。とりあえずダミープロジェクトを立ち上げ、そこのmainソースファイルにこれまでのソースをぶち込んでAtmelStudioをだましてコンパイルしてみた。
すると、includeファイルや、ソースライブラリーもうまくごまかされて全体のコンパイルに成功した。よーし、どんなもんだ。だいたいAVRでサーボを動かすのはテストのためだけである。このあたりはやっつけで先に進む。
さあ、サーボのテストだと意気込んだのだが、これが、どうやって動かしたのか丸ごと忘れている。情けないものである。しかし、こういうときに役に立つのが、このブログの記事である。いやいや、書いておいて良かった。配線図も出ているので何の苦労もなく実験が始められた。
最初のバージョンでは、UARTが邪魔してサーボがスムーズに動かなったが、USI-UARTを使った次のバージョンはスムーズにサーボが動いた。
操作キットのサーボモーターは、小さい割には強力で、動作もきびきびしており頼もしい。しかも可動範囲が180°もあり汎用性が高い。サイト情報によれば信頼性が心配されているが、今のところ全く問題ない。操作キットを少し見直した。
なんだEdisonでもこのカメラが動いた(6/9/2015)
操作キットについているUSBカメラは、Windowsでは動くが、Linuxではサポートされていないという。Windowsでのテストでは、一応認識され画像が出たが、どうもUVCカメラではなさそうだ。30万画素なので、C270あたりに見慣れてしまうと、玩具レベルでとても使う気にはならない。
恒例の音楽発表会が近づいてきたので、それに気を取られて電子工作に身が入らない。それでも時間を見つけては、工作机の前に座るが、すぐにやることが見つからない。色々なところが手詰まり状態になっている。
サーボは動いたが、AVRで動かすのでないので、これ以上は無駄だ。EdisonのPWMはmraaライブラリーで簡単に動きそうなのだが、実装になかなかとりかかれない。カメラを動かして何に使うかが決まっていないこともある。
それより、動画のウェブ画面でサーボを動かすユーザーインターフェースが決まらない。スライダーのような操作でカメラを動かすと良いのだろうが、適当な動作例が見つからない。それにここはHTMLプログラミングの世界なので、今一つ食指が動かない。
カメラを前にしてやることがなくなったので、操作キット付属の30万画素のカメラが、本当にEdisonでは動かないのか確認することにした。手始めにPCでUbuntuを立ち上げてテストする。Ubuntuに適当なビュワーをインストールして、カメラをつないだ。
あらら、ちゃんと認識する。で、画像は?うん、問題なく映った。30万画素なので画面は荒いが問題ない。端末を立ち上げて、USBのリストを見る(lsusb)。うーむ、USBカメラとして問題なく認識されているぞ。ベンダーがMicrodia、メーカーがSonix Techと表示される(怪しい名前だ)。
それでは、Edisonで動かないのはUSBの問題ではなく、ffmpegなどのアプリの問題なのか。あわてて、Edisonを立ち上げカメラをつないだ。lsusbでもカメラと認識した。では、動画サーバーのffmpegではどうだ。
なんと、なんと。画像は荒いが、全く問題なく動画が配信された。ffmpegのバージョンが上がってこのカメラをサポートするようになったようだ。これは助かった。何かの時に役に立つ。
極めて麻薬性の高い練習発表会があったこと(6/10/2015)
またこのシーズンが近づいてきた。習っている楽器(フルート)の練習発表会である。所長も年齢が70を越しているので、そろそろ引退を考えたいのだが、仲間がいるのでやめるにやめられない。それにこの発表会というのは、極めて習慣性、極端に言えば麻薬性の高い行事なのである。
前にも書いたが、仲間内の人が聴いているだけなのに、そこそこの発表会場の経費を払い、伴奏者に謝礼を払い、先生からは容赦ないダメだしをされ、数か月、練習にもがき苦しみ、本番では、異常な緊張を強いられ、そして結果は大体練習を上回る演奏が出来なくて落ち込む。
終わると、もうやりたくないと思うのだが、何故か、暫くすると楽器をとりだして吹いている。そのうち先生から次の発表会の曲目を何にするかの打診があり、今度こそはと練習をし始める。発表会が待っていないと練習に力がはいらないということもある。
今年は良きライバルが、フルートを学んだアマチュアが誰しもあこがれる名曲の最高峰、ドップラーの田園幻想曲をやるというので、こちらは、バロックの名曲、バッハのフルートソナタ1番を選んだ。
こいつが長い曲でピアノ(本式にはチェンバロだが)との合わせが難しい。しかも最後まで一定の音が出ないとバッハらしくならない。あれやこれや、ほぼ数カ月かけて練習をしてきた。
本番前日のリハーサルでは完璧に近い演奏が出来たのだが、本番はいつのまにか上がってしまい、いくつか出だしに失敗し、不本意な結果に終わった。しかし、「とても感動した」といってくださる関係者もいて(半分はお世辞だろうが)、気持ちが救われる。まあ、音は我ながら最後まで良い音が出ていたと思う。
打ち上げで、また盛り上がる。くりかえしになるが、なぜ人間と言うのは、苦しみながらお金と神経を払って、わざわざこうしたことを続けるのだろうか。打ち上げのこのカタルシスを得るためだけにやっているとも思えない。ただ、このときのビールは限りなく美味である。
20年前のQUADのCDプレーヤーを修理しようとしたこと(6/12/2015)
少し前から、動きがおかしかったのだが、フルートの練習のためCDを頻繁に取り換えて聴いていたら、トレイ駆動部が動作しなくなった。このプレーヤーは買ってもう20年もたち、この駆動部は一度修理しているが(ベルト切れ)、今度は別のところがやられたらしい。
こういう時に限って、こういうものは故障するものである。苦労してケースを開ける。最初、ケースの止めねじはいたづら防止のトルクスネジだと思っていたが、六角レンチネジだった。あわてて発注したトルクスドライバーセットが無駄になった。まあこれもいつかは役に立つだろう。
ケースが開いた。おやあ、シャーシーの中に細かいプラスチックの破片が散乱している。うーむ、何かがこわれている。さらに基板類をはずして、機構部が見えるようにする。
基板がいくつかに分かれ、リボンケーブルで接続されているところもあるので慎重な作業が必要だ。
やっとトレイ駆動のモーターが見えてきた。あ、あ、あー、見事、トレイの駆動モーターのピニオンギヤの丸歯が欠けている。これでは空転だけしてトレイは動かない。もう20年も経った機械だ。経年変化でプラスティックが劣化したのだろう。 一瞬、このギアだけを取り換える修理が脳裏に浮かぶ。ただ、この物理的なところをなおしたところで、実際のトレイの動きが復元するかは保証の限りではない。しかも、発表会が近づき、懸案の電子工作もある。そんな悠長なことをやっている暇はない。
ただ、CDプレーヤーが今動かないのはまずい。冷静に状況を調べて、動かないのはトレイの駆動部だけで、他は問題ない(演奏もOK)ことを確認した。とりあえずは、トレイの前蓋に引き出すためのフックを付けて動かすことにし、プレーヤーを再度組み上げた。楽しみは残しておこう。
水洗トイレのタンクバルブをアマゾンから買って補修したこと(6/16/2015)
そうこうするうちに、今度は2Fのトイレの水洗タンクが不調との家族の知らせを受けた。タンクに水が入るのに異常に時間がかかるようになったという。早速、タンクを開けてみると、水が止水フロートのバルブのところから水が漏れるだけで、通常の供給ホースから水が出ていない。 当研究所は、昔、水道工事にも口ばしを突っこんだことがあって、大きなプライヤーやドライバーを備えており、簡単な水工事なら十分守備範囲である。早速工具を持ち出して、ボールタンクの調節バルブを取り外した。
このバルブ(ダイヤフラム)の仕組みが良くわからない。細い針がダイヤフラムを貫通していて
両側の圧はここで素通りになるはずで、このゴム膜でどうして水が止まるのかわからないが、このゴム膜の別のところにも穴があいているところを見つけた。
少なくとも、ここが悪いのに違いない。幸い、1Fのトイレも全く同じ型だったので、このバルブを装填してみた。思った通り2Fと同じ現象が現れ、このバルブが不良であることが確認された。
こんな部品は市販されているのだろうか。DIY店に行く前に、ネットで調べてみた。すると、全く同じ部品が見つかって、1個から売ってくれることがわかった(アマゾン)。いやあ、良い時代になったものだ。 数日後、無事部品が届いた。早速、つけなおしてみる。見事、水洗トイレの不具合は解消された。いやあ、気分が良い。その後、ウェブを漁っていて、このダイヤフラムの原理を詳しく解説するところを見つけて納得した。また、少し大きなDIY店でも同一品を見つけた。定番の補修部品らしい。
このあと、電子工作で少し進展があったのだが、意外にページ数がかさんできたのでこのあたりで報告を区切ることにする。
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