Tiny85のI2Cスレーブライブラリー完成。今度もドジなミスで大騒ぎ
Tiny85への換装を考える(9/17/2015)
Tiny861でI2Cのスレーブソフトが順調に動いたので、本来の目標、8ピンAVRへ換装する準備を始めた。超音波距離センサーHC-SR04が5Vなので、小さなブレークアウト基板に、DC-DCコンバーターと、8ピンAVR(Tiny85を予定)を載せ、EdisonやRasPiのI2Cで動かそうという計画である。
同種のプロセッサーなのですぐ動くとは思うが、ピン数が少なく外部発振子は使えないので、クロックはこれまでの16Mhzではなく内蔵のCR発振の8Mhzになってしまう。動くかどうかは、やってみないとわからない。不安なのは、デバッグ用のISP-UARTが使えなくなることだ。動作確認が難しくなる。
ただ、これから使うTiny85はフラッシュサイズが8KBもあるので、機能的にはまだ沢山実装できる余地がある。未開発のスレーブ送信(マスター受信)でのストップコンディション検知や、マスター受信のあとのリピートスタート機能も組み込もうとすれば楽勝だ。
いずれにしてもピン数が絶対的に足らない。ISPでプログラムすると完全に自由なピンは、わずか2本(GND、Vcc、RST、MISO、MOSI、SCKの残り)しかない。プログラムしたあとMISOなどが使えるとしても、全部で5本である。HR04のドライブに2本(エコーとトリガー)、I2Cに2本(SCL、SDA)使うとすると、残り1本しかデバッグ用に残されていない。
パラレルにすれば、リセットピン(RST)が使え(Dragonも持っている)、1本増えるが、手慣れたISPからパラレルプログラミングにするのも難儀なことだ。というので、苦肉の策として、ISP-UARTの送信(MISO)だけをデバッグ用に残すことにした。ぎりぎりのリソース運用である(これが苦労の原因になるとは露知らず)。
ここで訂正とお詫びである。前記事などで、8ピンAVRシリーズにはUSI(汎用シリアルインターフェース)がないと言っていたが、良く調べると、ないのは旧型の15や、最近の13などで、25,45,85には、ちゃんとUSIがついていた(ChaNさんのAtmelの紹介の表にあるIICは誤り)。失礼しました。とはいえ今さらUSIに戻るわけにもいかない。GPIOによるI2C化を進める。
秋月とAitendoで同じ超音波距離測定センサーを入手する(9/19/2015)
このところご無沙汰だった秋葉原を久しぶりに訪れた。秋月電子の店内がすっかり模様替えしている。マルツと同じように部品棚が店内両側の高いところまで立ち並ぶ形式である。マルツと違って棚の奥に人が歩けるくらいのスペースが空いていて店員の補給路になっている。
今日の目的は、秋月が同じ超音波距離測定センサー(HC-SR04)を、Parallaxのオリジナル品(¥3000近い。最近見たら¥3980に値上げ)と並行して売っているのを知ったのと、Aitendoにも同一品が出ているようなので、ついでに2つとも買ってしまおうというものだ。
秋月のあと、足を伸ばしてAitendoの直営店に向かう。ここは秋葉原というより御徒町に近い。人気の少ないオフィス街を歩いて、エレベーターに乗り3階に着くと、意外な光景が広がっていた。
土曜ということもあるが、店内が客で溢れているのだ。驚いたことにベビーカーが2台もはいっていて家族連れまでいる。自分のようなお年寄りから、おたくっぽいリュック姿の太目の若者まで、まさしく老若男女が真剣な目つきで部品を選んでいる。
前にも書いたが、いかにも中国人らしい若い女性店員は意外にも商品知識が豊富で、SR04の展示場所を迷うことなく案内してくれた。面白そうなものが沢山あったが、広い店内(秋月より明らかに広い)と人に少し圧倒されてしまいSR04だけで帰ってきた。それにしても電子工作の裾野が広がっているようで喜ばしい。
3種のSR04の比較テストでは意外な結果が出た(9/20/2015)
超音波距離測定センサーHC-SR04が、はからずも3種類そろった。せっかくなので、3つの比較テストをした。結果は、
Aitendoで買ったもの>アマゾンで以前買ったもの>秋月電子で買ったもの
の順で、機能に大きな差が出た(値段はすべて¥400近辺)。
秋月電子のSR04はスイッチサイエンスが告知した通りの不具合品で、一定の期間の距離測定では問題ないが、一旦、3mを超す距離を測定しようとすると、echoパルスがHighのままとなり、triggerパルスを出しても元に戻らない。電源を切って再投入する必要がある。
アマゾンで買ったものは、3mを超すとエコーパルスがHighのままになるが、トリガーをかけると復帰する。一方、Aitendoのものは、距離が長くてもエコーパルスがHighのままになることはなく必ず復帰する(パルスはある距離を超えると一定の長さになる)。
不思議なことに秋月のものでも物理的なショックを与えると、正常に戻る。アマゾンで買ったものと、秋月のものとは基板のパターンは、スイッチサイエンスの言う駄目なロットと同じように見えるが、良く調べてみると微妙なところに違いがある。
例えば、秋月の製品は、クリスタルのところの小容量のコンデンサーが省かれており(パターンもない)、パスコンもいくつか省略されている。Aitendoのものはシルク印刷の状況から見るとスイッチサイエンスのいう正常な旧製品と同じように見える。
しかし、買ってきたものが、それぞれひとつだけなので、すべての商品が上記のようになると断定は出来ない。たまたま所長の買ってきたものが、そうだったというだけである。誤解のないように。まあ、実用に使うなら秋月のオリジナルのParallax社のものが間違いないだろう(高価だが)。もっとも秋月のものでもFETか何かでタイムアウトをとりリセットすれば使えないわけではない。
プリンターを買い換えて、旧型をリサイクルセンターへ葬る(9/21/2015)
珍しく仕事が入って、プリンターを使う機会が増えた。10年近く前に買ったカラーレーザー(コニカミノルタ 2530DL)は、印刷機能はまだ十分働くのに、最近は紙送りが不調で、最初の一枚か二枚を必ず失敗する。
だましだまし使っていたのだが、遂にエラーが復帰せず、3枚以上の印刷が不能になった(必ず3枚目で紙送りエラーになる)。使い始めてからの年数を正確に調べてみた。8年と11ヶ月、およそ9年である。微妙な年数だ。ウェブで調べると、同程度のプリンターなら1万円台で入手可能だ。ドラムがそろそろ寿命だし、修理に出しても、軽くこれ以上の修理代金をとられる可能性は高い。
大分前から迷っていたのだが、結局新しいプリンターに更新する決意を固めた。買うことは造作がないが、困るのは古いプリンターの処分である。20kg近い重量があり、地下から1階に上げるだけでも大仕事である。
それに、まだ十分動く(恐らく紙送りのセンサーあたりを交換するだけ)のに粗大ゴミに出すのはあまりにも忍びない。地球環境にやさしくない。ウェブで探してみると沢山の廃棄処理業者のサイトが出てきた。送料だけで無料で引き取ってくれるらしい。
直接持ち込めば梱包もいらないという、ある業者のコピーに惹かれて東村山にあるリサイクルセンターに車で持ち込むことにする。 あと始末に困っていたが助かった。ただ20キロ近い箱を運ぶのは、地下から玄関を出て車に入れるだけで一大事業だった。海外旅行に使ったカートが思わぬところで役に立った。何とか腰を痛めずに車のトランクに入れる。
自宅から小一時間で現場の処分場に着く。雑木林に囲まれた倉庫のようなところで愛想の良いおねえちゃんが迎えてくれる。あらかじめかけた電話も親切だった。レーザープリンターのほかに、自作のデスクトップPC、長女のこわれたノートパソコン3点も一緒に引き取って貰った。
すべて無料である。身元を証明するものは不要(無料だからか)で、控えに住所氏名を書くだけである。部品どりが沢山行われることを祈って現場を後にした。合掌。
新しいレーザープリンターは正価が8万近くするが、何故かネットで1万前後で売られているNECの5750Cを選んだ。DTP屋さんが、べた褒めしているサイトが検索上位にランクし、思わずポチッとしてしまった。値段は肩の力の抜けるこれまでの1/3の¥13,500。2日ほどで届いた。
早速テストする。何の問題もなく動いた。前のコニカミノルタに較べると少し大きいが静かだし、早い。画質は確かに良くなった。文字も綺麗だ。もっとも、この間には10年近い年月が流れている。これぐらいの進歩は当たり前なのだろう。
久しぶりの家族旅行。世界遺産の白川郷へ(9/27/2015)
次も、電子工作ではない話である。長女夫婦が岐阜に転勤になったので、家族と一緒に車で岐阜に遊びに行った。暫くぶりの長距離ドライブである。また第二東名を飛ばす。かなりの雨だったが、第二東名の路面からは全く水しぶきがあがらない。高速走行での雨は路面に溜まった水がハイドロプレーニング現象などを起こすので神経を遣うのだが、その心配もなく実に快適だった。
岐阜に着いて少し早めの夕食の後、長女たちの案内で鵜飼を初めて鑑賞した。鵜匠たちが宮内庁職員だったとはこれまで知らなかった。格調が高いのである。ただ鵜飼そのものは、雨で川が増水して流れが速かったせいか、あっという間に通り過ぎ、ちょっと物足らなかった。
鵜飼の写真を載せたが、すべて手ブレとピンボケでまともな写真にはならない。そりゃそうだ。動く舟の上から、篝火だけの光源では無理だ。ストロボもよほど強力でなければ効かない(恐らく禁止しているだろう)。雰囲気だけでも感じていただきたい。
次の日は明治村を何十年ぶりかで再訪問し、最終日は世界遺産の白川郷まで足を伸ばした。このあたりは、40年近く前に、自動車(オンボロ自家用車)で通ったことがある。もちろん白川郷までは行けず、深い谷筋を延々と辿ってやっとのことで通り抜けた記憶がよみがえる。
しかし、今は岐阜から白川郷まで自動車専用道路だけで行けるのだ。スイスアルプスにあるような山間(やまあい)に雄大な曲線を描くインターチェンジを通り、10キロを越す長大トンネルを抜けて目的地に着く。道路網の進歩には驚くばかりである。まさしく隔世の感である。
初めて訪れた世界遺産の白川郷は、外人観光客であふれかえっていた。コスモスと稲穂が合掌造りの民家に良く映えていた。紅葉や積雪時も美しいだろう。ただ残念なのは合掌造りの家が着実に減っていることだ。昔の写真と較べると良くわかる。まあ、ここは完全な保護区ではないので無理と言えば無理な話だが。
Tiny85のI2Cがうまく動かない(10/2/2015)
旅行から帰って、電子工作を再開する。Tiny85への換装は仕様をまとめただけで実際の作業は始めていない。小さなブレッドボードにTiny85を載せてテストボードを追加する。861から85 へのソフトの変更は、クロック変更によるタイマー設定の変更、GPIOピンの再設定ぐらいである。テスト用のUARTは送信部分だけ残し、受信側は省略する。
大した作業ではない。ほどなく完成して、早速テストに入る。CRクロックなのでUARTの速度を少し落とす(38400 -> 19200)。UARTは無事Welcomeメッセージを出した。しかしI2Cの方は、どうも安定しない。マスター書き込みは何とか動いているが、読み込みが全くだめだ。
デバッグ用のUARTメッセージだけでは原因がつかめない。得意のロジアナへのプローブは一本たりとも使えない。読み込みのステートマシン部にカウンターを設けて、UARTで動作を確認していくが、いくつもの不審な動きを見せて安定しない。
まず、マスター受信バッファーとデータ配列の順番がおかしい。データはSR04の距離データを使っているのだが、1バイトずれている(これはいつのまにか直ってしまった)。それに、マスター受信のビットの送り込み回数が本来の24回(3バイト)のはずが、もう1バイト多い32回になっている(あとになってみれば、それは現状を正しく表現していたのだが、このときはわからない)。
I2Cそのものの波形をロジアナでとってみると奇妙なことばかりだ。想定もしないところにストップコンディションが発生して通信が中断されているし、データはもともと全く狂っている。しかし化け方に規則性があるのが悔しい。ロジックで間違っていることは明らかだ。
今度も馬鹿馬鹿しいミスで、1週間を無駄にした(10/6/2015)
ソースを追っかけては、メモ用紙にSCL、SDAのチャートを描き、動作を検証する。しかし間違っているところを見つけられない。第一、861では何の問題なく動いていたのだ(クロックは1/2になっているが)。Tiny861からTiny85への移植だけで、こんなにトラブルになる理由がわからない。
何度か、ステートメントを換えて(SCLクロックを割り込みではなくwaitで待つなど)、動かしてみたが改善されない。クロック遅れで起きるのなら、状態が時々変わりそうなものだが、データの化け方は一定している。これが悔しい。
いい加減、嫌気がさして(大きな目標があるわけでもない)、そろそろTiny85でスレーブを作るをもう止めようと思い始めた。それでも最後に、プログラムの動きを探るプローブ点を一つだけ作って、動きを確認し、それでもだめなら潔くTiny85を諦めることにする。
マスター読み込みルーチンの動きだけでも調べれば何かがわかるだろう。テスト用にSR04のトリガーピンを使っても当面問題はなさそうだ(ユニットが勝手に動くだけ)。というので最後の手段、トリガーピンのGPIOにデバッグ用のプローブステートメントを当て、テストしてみた。
これが大当たりだったのである。ロジアナの画面には目を疑う波形が現れた。何ということだ。最初のSCLの立下りのあと、複数の割り込みが入っている波形がでてきたのだ。何だ、何だ、これは何だ。ロジアナに記録されないSCLの動きがあるのか。暫く考えて、いや違う、もっととんでもないことに気が付いた。
なに、SCLの割り込み設定をやっているか?あ、あ、あっ、861から移植するとき、UARTの受信ピンに合わせて削除したままなのではないか(861の外部割込み設定は共通)。その通りだった。外部割込み設定を未定義のビット0、0「Low割り込み」のまま動かしている。
それにしてもなぜこれに気が付かなかったのだろう。マスター書き込みは、1バイトだけで間隔が狭いので、「Low割り込み」でも問題なく動いたのだ。一方、マスター読み込みは、多バイトで、マスターは1バイトづつ関数で送るので、バイトとバイトの間に少し間が開く。で、ここで複数回の割り込みが起きてトラブルになっていた。受信回数が想定より多いのは、このせいだったのである。あああ、もう少し深く考えれば、この状況を解明できたかもしれない。
外部割込みの設定を(0,0)ではなく立下りの(1.0)にして、Tiny85は何ごともなかったようにI2Cのマスター読み込みを実現した。何度やってもエラーは全く起きない。タイムアウトもない。ああ、良かった。あきらめずに頑張って本当に良かった。このまま挫折していたら電子工作そのものの熱も冷めるところだった。
やれやれ、今度のドタバタ劇も、幕を開ければ、実にくだらないミスだった。しかし、こういう解決は、変な話だが妙にすがすがしい。これまでの暗雲が、すっかり晴れて、人生が明るくなる。これまで暗かった周りの世界が一変し、ものみなすべてが自分に対して好意を持ってくれるかのような変化だ。これだから電子工作はやめられない。
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