やっぱりRaspberryPi3は早い
RaspberryPi(以下Raspi)の定点カメラのハードとOS周りの整備は完成した。次はアプリである。定点カメラの細かい仕様は、まだ決まっていない。とりあえずは、通行中の人や車をチェックする(家の前で何が起きているか監視する)ぐらいのことを考えておく。厳密なものではない。
無印Raspiは遅い。motionはすんなり動いたがカクカク(2/3/2017)
満を持して無印Raspi(初代のRaspberryPi B)に、motionパッケージをインストールする。Raspi3は電力消費が大きいので、無印の方で動くなら動かしたい。無印RaspiのOSはこのあいだ更新した。アプリを入れる前にapt-get updateと、upgradeをかける。
うーむ、何かエラーが起きているようだ。updateが進まない。エラーメッセージは「サイトが見つからない」と怒っている。えー何故だ。apt-getを中止して、pingをかける。何だ何だ、ネットワークが外へ出ていっていない。
そう言えば、RaspiのIPアドレスを固定にするため。staticアドレスに変えた。設定ファイルを確かめる。DNSはちゃんと定義してある。何で行かない? 面倒なので、DHCPに戻す。問題なく外部へpingが通り、apt-get updateは無事終わった。upgradeに入る。これがまたえらく時間がかかる。小一時間かかった。件のmotionの方は何のことはない数分でインストールされた。
このあと、IPアドレス設定ファイル(/etc/dhcpcd.conf)の中を見るともなく見ていて、とんでもないミスを発見した。DNSを定義する設定行domain-name-servers=XXX.... が、server=になっていた。Linuxは無口で、こういう誤りは教えてくれない。
motionの設定でもまた少しまごついた。最初の設定値(デフォルト)ではサーバー外へのストリーミングを許さないのだ。ウェブ上の情報と、実際のパラメーターの名前が微妙に違うので結構混乱する。それにしてもこの設定量の多さには辟易する。ここの記事が親切だ。
エディター(nanoこいつは便利だ)の検索機能(ctl+W)を使って目的のパラメーターを探し出した。stream_localhost off (ウェブ上ではwebcam_localhostになっている) これを直せば、すぐに画像が表示された。
しかし、遅い! 前はもう少し早かったような気がするが、640ドットはお話にならないくらい遅い。320x240の画面でもカクカクして見にくい。景色を見るだけならともかく監視には使えない。シリアルコンソールには、motionが残しているファイル名が延々と出ているので、無駄な設定をしている可能性はある。うーむ、無印Raspiでこのまま行くか、Raspi3に上げるか迷うところだ。
mjpg-streamerは早かった(2/6/2017)
motionは動体検知の機能がついているので動きが重い。320x240の画像のストリーミングでも2~4fps(フレーム/秒)がせいぜいだ。動きを検知するたびにデータフォルダーにaviファイルを大量に残しているようなので余計遅くなっているようだ。
これを止めようと、あれこれ設定をいじったが、うまくいかない。これからの目的(路上の不審者の究明)には、このソフトがうってつけなのだが、なかなか手ごわい。motionの仕組みそのものを理解していないので、どう止めるのか行き当たりばったりである。一番無駄な方法だ。
motionばかりにこだわっていても先に進まない。で、以前使ったもう一つのストリーミングソフトmjpg-streamer(これにapache2とでライブカメラにした)を導入することにした。動体検知はできないがライブカメラとして使える。motionより早いはずだ。
このアプリは、ソースコードからである。この前は、ダウンロードに手間がかかり、コンパイルエラーが出たりして大騒ぎだったが、今回はスムーズにインストールされた。バージョンが上がったのかも知れない。
早速試してみる。おおお、こいつは早い。無印Raspiでも640x480の画像が滑らかにでる。Raspi3ならもっと早いだろう。motionのように動体検知は出来ないが、ストリーミングだけならこれで十分だ。
Raspi3に切り替える。シリアルコンソールが字化け(2/14/2017)
Raspiのカメラモジュールは当初の目的(定点カメラ)をほぼ実現した。ただ、2つの無印Raspiには既にお役目がある。ひとつはSAMBAサーバー、もうひとつはパンチルトが出来る外部ライブカメラのメインマシンである(いずれも最近は使っていないけれど)。
Raspi3は現在具体的な用途が決まっていない。こちらに移した方が合理的である。それに無印では遅かったmotionも早くなって、最終目的の動体検知が実用になるかもしれない。 折角、無印Raspiで動いているのを改めてRaspi3に移すのも二重手間だが、どれくらい早くなるのかも試してみたかったので移し替えることにした。
まずは、Raspi3のケースに、カメラを固定する工作を加えなければいけない。Raspi3のケースを手に取っているうち閃いた。カメラの固定は、無印の時はケースについている段差(というより縁)を利用している。これをRaspi3の時も使えば良い。そう、縁のかわりをアクリルの細い棒で再現するのだ。
早速、アクリル棒を切り出し、瞬間接着剤で固定する。差してみる。おお、うまくはまった。ちょっとテーバーが付いているので(勝手にできたのだが)、ピッタリだ。よーし、良いぞ。こんなささいなことでも、何かとても幸せな気分になれる。次はソフトだ。
当研究所のRaspi3は、去年の6月に買ったので、OSはJessieで、例のカメラモジュールのディバイスファイル化は済んでいる。7インチのIGZO液晶パネルを動かすため、日本語化までやったがアプリは全く入れていない。久しぶりに火を入れることにする。シリアルコンソールをつなぎ電源をON。
おやあ、シリアルが字化けだ。前はどうした。あ、前は、HDMIケーブルでデスクトップ画面を出していたのでこれを使っていない。あわててシリアルの接続ピンを確認する。間違っていない。そりゃそうだ、化けた文字がでているのだからハードがおかしいのではない。
こういうときは、Google先生に聞くのが一番だ。調べてみるとすぐに原因が明らかになった。Raspi3では、そのままだとシリアルコンソールがまともに動かないとある。入出力ピンが新しく入ったBluetoothのUARTと共用になったためらしい。
これはあとの話だが、SAMBAのインストールをしたらまたおかしくなった。この解決は、ここ(http://akkagi.info/20161004_web/)に詳しい。要はmdline.txtの中を変えれば良い(と言ってもconsoleの順番を変えただけ)。これでやっとシリアルコンソールは安定した。
Raspi3にもSAMBAサーバー(2/19/2017)
ついでに、このRaspi3にもSAMBAを入れる。SAMBAはすんなりインストールされたのだが、WindowsからSAMBAディスクが見えない。Raspi側の状況は問題ないのに。なぜだ。
居間で使っているWinXPのネットブックではいつもどおりディスクが見えるので、これはこのWindows10の問題である。これもWebに情報を求める。うーむ、SAMBAの認証がえらく面倒くさくなったようだ。
まず、Raspi側でSAMBAサーバーにsmbpasswdにユーザーIDとパスワードを定義し、Windows側ではネットワーク資格情報なる登録がいるようだ。この前までは、何もしなくてもすんなり読み書きができたのになぜだろう。
SAMBAの設定パラメーターも、motionに負けず劣らず膨大な量なので、ことは簡単ではない。いくつかのウェブ情報を頼りに、せっせと設定を入れ込む。うまく行くときと行かないときがあって混乱する。
リモートディスクの設定方法が複数あるのが混乱のもとだ。このユーザーIDというのはWindowsのなのかLinuxなのか、SAMBA固有なのか良くわからない。うまく行くとユーザーIDの入力は求められないが、求められたときは、正しい(と思われる)IDを入れてもはじかれる。
何度もやっているうち、何とか安定してディスクがつながるようになった。Windowsは「ネットワークドライブの割り当て」から始めるのが確実なようだ。しかし、この「割り当て」のアイコンを出すのが結構難しい。Windowsのエクスプローラー(ファイラー)も機能が肥大してしまっている。
Raspi3のmotionは早かった(2/21/2017)
まあ寄り道ばかりしていても仕方がない。本来の目的に移ろう。motionのインストールだ。これは問題なくインストールされ、定義ファイルの修正も何度目かなので順調に終わった。カメラモジュールが動くことは、raspistillなどの専用のコマンドで確認してある。
Raspi3のOSは、Jessieなのでカメラモジュールは既にディバイスファイル(/dev/video0)になっている。motionは何もしないで動くはずだ。動作させる。赤いLEDが点灯し動き始めた。しかし、ストリーミングは始まらない。
コンソールには何か延々とバックアップの画像ファイルを残していくメッセージが出るだけだ。えーなんで。何も変えていないよ。設定ファイルがおかしいのか、もういちど確認する。いや無印のときと変わっていない。
OSもアプリも全く同じだ。それなのになぜRaspi3では動かない。設定ファイルを何度も確認するが、変わったところはない。暫く途方に暮れる。仕方がない、派手に出ているmotionの起動直後のメッセージを地道にひとつひとつ調べていくことにした。
すると、コマンドを入れた直後のメッセージで、motionの設定ファイル/etc/motion/motion.confがないというメッセージが見つかった。ええー、そんな馬鹿な。さっきエディターで編集したばかりだ。何故だ? ああー、もしかすると motionに設定ファイルを読む権限がない? つまりmotionをsudoをつけずに動かしているからか。
そのとおりだった。sudoを付けて動かすと問題なくストリーミングが始まった。しかしそれにしても、今までsudoをつけていたっけ?motionの設定ファイルmotion.confの属性がおかしい。オーナーがrootになっているのはともかく、他ユーザーに読めないようになっている(パーミッション600)。
これではsudoがないと動かないはずだ。以前は一般ユーザーでも動いていたように思う。まあ、それはともかく、chmodで属性を644に替え、一般ユーザーで見えるようにする。動かしてみる。うむ、正常に立ち上がった。
ストリーミングはどうだ。焦る手でPCのブラウザーを開く。出た。おおお、こいつは早い。無印に比べたら雲泥の差だ。640x480でも軽く20FPSくらいはいっていそうな滑らかさだ。さすがRaspi3だ。遅延は少し(0.5秒程度か)あるが、監視には全く問題がない。
これはRaspi3で決まりだな。電源は元から電池にするつもりはないのであまり障害ではない。ACアダプターに大きいのが必要なだけだ。
自宅前の定点カメラのテスト順調。夕方でも鮮明(2/25/2017)
いよいよフィールドテストに入る。自宅前の道路に面したサンルームの一角に3脚を据え付けカメラ付きのRaspi3を固定する。電源を入れ、LANケーブルを延長して(早くWiFiにしよう)接続する。動作中を示すカメラの前の赤LEDが眩しく、道行く人は不審に思うかもしれないが、これはいずれ消せる。
ネットブックを持ち出し、ストリーミング映像を確認する。うん、良く映っている。窓ガラス越しだが、視認性は高い。解像度も問題ない。車の通行も飛ばないで映っている。いやあ、これは簡単だ。定点カメラとしての実用性は十分だ。
日が暮れてきた。人間の目ではかなり暗いが、映像ではまだ十分な明るさだ。これでmotionの動体検知の機能を稼働させ、画像ファイルをSAMBAに入れて、遠隔地からその画像を確認するという手順が可能になった。
カメラの固定がまだ仮りの状態なのと、引き回すのに有線LANではなく、WiFiにすることが課題に残っているが、今回のプロジェクトは何とか想定通りに進みそうである。
無線LANでもmotionは快調に動いたが。SAMBAが不調(2/28/2017)
最後の仕掛けに挑戦する。Raspi3から実装されたWiFiである。定点カメラの移動の際、有線LANではなく無線(Wifi)にできればとても楽だ。セキュリティの問題はあるが、どうせ家の中から撮った外の景色が外に漏れたとしても大した問題ではない。
Raspi3の無線LANの設定は多数のウェブサイトに紹介記事があり、インストールに不安はない。適当なサイトを選んで設定を進める。ただ最近の改定で、設定方法がかわり(dhcpの指定ファイルが一元化された)、設定方法が複数あるようで少し混乱する。
LANケーブルがなければカメラの移動は大変楽になる。電源ケーブルさえ気にしていればいいからだ。motionの結果は、ストリーミングを利用して他のサーバーに送ったり、SAMBAディスクに記録して離れたところから眺めたりできる。
WiFiの設定は、簡単にできた。ifconfigでIPアドレスを確認する。ここも、固定アドレスにする。メインPCからSSHでRaspi3にログオンする。よーし、入った。次はいよいよ動画ストリーミングだ。
おお、何の問題なく画像が出た。動きは有線のときと全く遜色ない円滑さである。いやいや、これは楽だ。今後、Raspi3を移動体に載せて動画中継をすることも可能になる(電源が大変だけど)。
勢いに乗って、SAMBAサーバーが動くか確認する。しかし、Wifi経由では、SAMBAがつながらなかった。確かに、有線LANと無線LAN2つに経路が出来たとき、経路を選ぶ設定パラメーターはSAMBAにはない。何か別の理由があるようだ。
調べ始めると、意外に根の深い問題であることがわかった。そのうち確定申告の期限が迫ってきて、電子工作に時間がかけられなくなった。このあたりで記事をまとめて、話の続きは次回に報告するとしよう。
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