ロボットアームを2台のESP8266でリモコン操縦する
ブレッドボードのテストは順調だがスマホのHTMLタグが難しい(11/13/2017)
モータードライバーで、ロボットアームをタクトスイッチで動かすことは出来た。これをESP8266のGPIOで制御してやれば、ワイヤレスリモコンが完成する。
ソフトは、以前クローラーをスマホで動かしたときのESP8266のスケッチが残っている。これを流用すれば良いはずだ。ESP8266のWiFiをAP(アクセスポイント)モードにして、スマホとpeer to peerでつなぎ、スマホの画面から制御する方式である。
このスケッチの中の制御ピンを増やしてやれば良い。ESP8266のハード周りをもう一度復習する。ESP8266は18本ピンが出ているが、このうちGPIOとして使えるピンは9本だけである。しかも、いくつかはモード切替などのため使えないピンがあり、結局、自由に動かせるピンは、6本しかない(制限付きのものが3本)。ぎりぎりだった。
以前のスケッチに、動かすGPIOピンを少しづつ増やし、モーターを動かす代わりにLEDをブレッドボード上につけて動かしてみる。LEDは順調に点いたり、消えたりした。
しかし、問題なのはスマホの方だ。画面上のボタンを増やしていくと、すぐ画面が一杯になり、スクロールしないと、ボタンが押せなくなる。画面のタップで操作性が悪くなっているところへ、画面の移動までして操縦することは、ほぼ不可能だ。
小さなスマホの画面に、数多くのボタン類をどうレイアウトするかも問題である。はじめ、ボタンをトグルスイッチのようにして、モーターの細かい制御が出来るように考えたが、スマホのタッピング操作は連続させると全く違うactionにとられることがわかってこれは断念する。
不便だが、それぞれのモーターのボタンはすべて動きの開始だけで、停止は共通のボタン一つにすることにした。それにしても、このボタンに使うHTMLのformタグのレイアウトはとても難しい。行と行の間隔が空きすぎて、ボタンの多い今度のリモコン画面は一面に納まらない。
formタグを一行に複数置く方法は、幸いウェブにやりかたが載っていた。フォントをさらに小さくするなどして、一画面に納まるようにレイアウトする。もっと良い方法があると思うが、情けないことに新しい方法が思い当たらない。これまでの方法を力づくで片付けていくしかない。
スマホでテスト用のLEDは動いたが、運転するのは無理か(11/14/2017)
画面が出来た。LEDをタップで光らして見る。点灯は僅か遅れるし、画面だけ見ているならともかく、アームの動きを見ながら、のっぺらな画面をタップする事は目茶目茶難しい。スマホのタップで細かい動きを制御するのはどうも無理な感じがする。
何か良い方法はないだろうか。色々探してみる。すると、ESP8266同士をサーバー・クライアントでつないでいる記事が見つかった。そうか、スマホでなく、もう一台のESP8266をクライアントにし、これをUARTか、タクトスイッチで動かせば、スマホのタップを使わなくてすむ。
しかし、これまでWiFiで2台のESP8266を連携させた経験がない。通信のイメージが良くつかめない。STAモードなのか、APモードなのか、TCPかUDPか色々方式がありそうだ。ちゃんと動くのかどうかの確信がない。それに対して今のスマホ方式はとにかく動いている。
乗り掛かった舟ということもある。今、これをやめるとこれまでの苦労が無駄になる。迷った挙句、とりあえずモーターを動かすところまでやってみて、だめなら2台方式に乗り換えることにする。
オシロの計測では、0.5~0.6秒遅れ。やっぱり諦めるべきか(11/22/2017)
その前に、スマホ方式の時間遅れをオシロで調べてみることにした。スマホは画面のタップ操作以外に、スマホが反応してから実際にESP8266のGPIOが動くまで、瞬時というわけではなく一息遅れてしまう。これがどれくらいの遅れか実測し、スマホ方式を諦める駄目押しにしたい。
実測と言ってもスマホをタップしたタイミングは、残念ながら電気的に知ることは出来ない。これは別のタクトスイッチとスマホを同時に押して近似することにした。以前、スイッチの同時押しを実装するとき、人間の同時押しというのがどれくらいの誤差があるか測ったことがある。
それによると、人間は、ずれを5ms以下にすることは殆どできないが、50ms程度の違いなら同時に押せる。今測りたい時間差は数百msの世界なので、この程度なら複数回測って平均をとればよい。
久しぶりの新型オシロに電源を入れる。ブレッドボードにタクトスイッチを付け、それで手でタクトスイッチとタップを同時に操作し、それをトリガーにESP8266側でONされる時間を画面に出す。
測定の結果、少々の誤差はあるが、平均では、0.5~0.6秒程度遅れていることが分かった。この前、クローラーをスマホで動かしたときと大体同じ感触だ。クローラーのような大雑把な運転ならともかく、ロボットアームでものをつかむというような、細かい操縦は出来ないだろう。
スマホの操縦でロボットアームが壊れそう。モーターを分解修理(11/24/2017)
とにかく、スマホによるロボットアームの動作試験は、やって見ることにした。まだ実装がすんでいないのでブレッドボードを経由して、ロボットアームとESP8266を接続する。
スマホのWiFiサイトを、画面に出てくるESP8266のアクセスポイントに設定し、適当なブラウザーでアドレスを指定する。よーし、制御画面が出てきた。適当なモーターをONする。良いぞ。モーターが動き始める。記念すべきスマホによるロボットアームの最初の稼働だ。
しかし、予想した通り、やはり、遅れ時間が大きいうえ、少し焦って画面を見ずにタップすると思った通りの操作にならない。そのうちアームは限界点に達して悲鳴をあげる(このキットのギアは空回り機構がついている)。
さらに都合の悪いことに、タップを正確にボタン上で行わないと画面が移動して目的のボタンがなくなってしまう。そのうち、モーターのひとつのギヤがかんで空転し始め、慌ててロボットアームの電源を切り離した。やれやれ、落ち着いているときは良いが、すこし焦るとタップ操作は、昨今の高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違いと同じになる。
モーターの空転は、減速ギアボックスの中で、歯車がはずれたようだ。ギアボックスの分解を余儀なくされた。予想通り、画面のタップで、こういう細かい動作を制御することは無理だということが良く分かった。
タップというのは画面を見ながらでないと正確にできないし、それではロボットアームの動きがわからなくなる。これでスマホで操縦することは完全に諦めがついた。
やっぱり、もう一台ESP8266を入れて、タクトスイッチを動かすクライアント方式にしよう。ロボットアームの実装は途中でお休みし、ESP8266の2台方式にとりかかった。
2台めのESP8266ブレークアウト基板の制作(11/25/2017)
ということで、ストックしてあった予備のESP8266のブレークアウト基板の組み立てにとりかかる。これはクライアント用である。久しぶりなのでESP8266の開発環境を復習する。
結構沢山のピンを事前にセットアップする必要ある。これまでの基板は、便利と思って、I/Oピンソケットをすべて片側に一列に並べたが、ピンの位置の確認に余計な手間がかかり反って非能率だった。その反省を生かして、今度はESP8266のピン両側に分けてピンソケットを並べる。
書き込みモードとフラッシュブートの切り替えは、スライドスイッチからタクトスイッチに変更する。切り替えは、電源立ち上がりかリセット直後のGPIO0のhigh/lowだけで判断しているようなので、タクトスイッチだけで良い。
さらにGPIO15は立ち上がりの時は、必ず、LOWでないと動かないが(これが結構はまる)、立ち上がった後は、制御可能なので、プルダウンはピンヘッダーで変更可能にする。
大した作業量ではないので、この基板はすぐ出来た。あとは、ロボットアームに実装する作業手順である。ロボットアームの基板は小さく、リセットスイッチなどは載せられないから、どこかでスケッチを焼いてから、持ち込む必要がある。
Aitendoピッチ変換基板で実装するESP8266を用意する(11/27/2017)
作業手順を検討した結果、ESP8266の稼働用の基板がもうひとついることが分かった。リセットや書き込み用のボタンは必要ないが、立ち上がりに必要ないくつかの設定がある。立ち上がりモードの設定(GPIO0)、GPIO2のプルアップと、GPIO15のプルダウンである。
ロボットアームの基板の平面上は確保したが、ESP8266のピッチ変換基板のピンヘッダーの高さが意外に大きく、普通にシングルラインのICソケットにつけていたのでは、カバーが入らないか、下のフレームにぶつかってしまう。
実は、前からこのことに気づき、色々調べていたのだが、ふとしたことで良さそうな案を思いついた。秋月が売っている汎用基板に厚さが0.8ミリの薄い基板があることを知って閃いた。これにICソケットをハンダ付けし、この基板をESP8266の裏側に入れてESP8266をはさむ。
こうすると、ICソケットの高さ分が低くなり、カバーの中におさまる。ESP8266の立ち上がりに必要な部品は、この薄い基板に配線できる。なかなか良いアイデアだと自己満足する。
そのうち、Aitendoのピッチ変換基板の裏には、初期設定用のプリント配線が用意されており、あらためて配線しなくても実装できることを発見した。
このプリント配線だが、リセットやENABLEのプルアップ抵抗のランドは、2010くらいあるのに、GPIO0や、GPIO15などのランドは非常に狭い。1005よりもっと狭い。これはあとになってわかったのだが、このランドはハンダブリッジの間隔で、チップ抵抗を置くランドではなかった。直接VccやGNDに落としてもOKだということなのかもしれないが、何となく不安だ。
で、これまでのストックから、1005クラスのチップ抵抗を探し、ランドを削って正式なプルアップ/プルダウン配線にすることにした。しかし、こんな小さな抵抗の手持ちはない。
そこで、物入れから、ジャンク基板(結構たまった)や、歴代の不良HDDなどを掘り出して、1005に近いプルダウンになる10KΩ程度のチップ抵抗を探した。
思ったより簡単に見つかった。ハンダごてだけで採集する。例の低温ハンダを使うまでもない。少し周りを長い間あてていれば、チップ抵抗くらいだと自然に動き出すので、取りだすのは簡単だ。
何とか必要な数のチップ抵抗を確保し、やっとのことでつけたのだが、案の定、一か所テンプラハンダをやってしまった。ランドが小さすぎて片側が接触不良になっていたのである。
写真ではよくわからないが、左側がつながっていない。これで数時間を無駄にした。チップ部品は、片側が固定されてしまうと、残りの部分の接触不良は目検や、物理的な検証(部品を触る)では簡単には見つからないことを学ぶ。
それにしても、残してあったHDDは不良品もふくめて5個以上ある。Appleマッキントッシュ時代の160MB(GBではありません)、SCSII(スカジー、これは死語か)DISKを見つけて感慨無量である。あのころは100MBを越す容量は大容量だったのだ。このあたりのチップ部品は、2010ではなくもっと大きいので、最近の基板には大きすぎて使えないのが残念である。
UDPでLEDを制御するスケッチを見つけた(12/1/2017)
2台のESP8266の接続を紹介するサイトは、探してみたら結構沢山見つかった。参考になりそうなスケッチ(ソースコード)もあちこちにある。いくつか見て手続きの簡単なUDPで行うことにする。ここのソースコードを拝借することにした。4つのLEDの点滅を別のESP8266で実現している。こちらと全く同じだ。動画も公開されており、見たところレスポンスも速い。
Arduinoには沢山のライブラリーがあるのでUDPを動かすのは、とても簡単なようだ。UDPを知らなくても、単にソケットをオープンしてそこへデータを流し込むだけである。クライアント側は、ソケットにデータが来るのをループで待って、それを読むだけである。
こちらも2台のESP8266とLEDで実験してみた。最初は全く動かなかった。動かなかった理由は、お恥ずかしいながら全く基本的なところである。拝借したソースコードのSSIDとパスコードを自分のところに変えていなかっただけのことである。
UDPが今一つ理解できていない証拠である。ソースコードの中の、WiFiのSSIDとパスコードが'*'になっているのを見て、UDPではそうするのかと、そのままにしてあったというオチである。良く考えれば、WiFiのこことUDPとは何の関係もないのだが、思い込みというのは恐ろしい。これに気付くまでまた数時間を浪費した。
2台のESP8266のWiFiを正しく設定して、UDPを使ったリモコンLEDは全く問題なく動作した。動きも速い。案ずるより産むがやすしである。もっと早くこの方式にすれば良かった。
ついでにオシロで遅れ時間を測定した。今度は両方とも電気的に問題なく採集できる。良いぞ。最小5ms、最大でも20ms以内にレスポンスが返ってきた。スマホ経由のTCP/IPのサーバー経由なら数百msオーダーだったやつだ。
やった、タクトスイッチのUDP接続でロボットアーム快調に動く(12/6/2017)
ここまで来たら、もうあと一歩である。ブレッドボードを何枚か連ねてバラックでモータードライバーの制御線をESP8266のGPIOにつなぎ、もうひとつのブレッドボードにタクトスイッチを並べてクライアントを組み上げる。
あれえ。クライアントのGPIO16だけが一旦、0(active)になると1(stop)に戻らない。試行錯誤の結果GPIO16はプルアップが必要とわかった。10KΩの抵抗を入れてしのぐ。
早く結果が見たいので、一部のモーターだけの結線にして、UDP接続を確かめる。UARTを動かして接続をモニターしながら、テスト開始。
やった。とても機敏にモーターが動いたり止まったりする。スマホとは比較にならないレスポンスだ。全く問題ない。ところがしばらく動かしている間に、突然モーターが止まらなくなった。あわててロボットアームの主電源を切り離す。暴走だ。こういう機械で最も避けねばならない現象である。不安がよぎる。
冷静になって、慎重にソースコードを見直した。ははーん、原因がわかったぞ。サーバーは常にクライアントからのUDPメッセージを待ち続け、切れても再接続の初期手続きをやりなおしてループしている。
GPIOの状態はどうだ。あらあら、通信が途絶えても、前の状態を続けたままだ。これではクライアントの接続が切れると同時に、前の状況のまま暴走する。
良かった。これが原因に違いない。LEDなら付きっぱなしでも実害はないが、モーターの場合は致命的だ。サーバー側に、通信が途切れれば、必ずすべてのモーターの駆動を止めるステップを加えた。その結果、動きは安定し、今までのところこのトラブルは再現していない。
ESP8266基板に正式にモータードライバーの制御線を接続し、所定の基板スペースにセットして一段落である。記念撮影する。テストをやりすぎたので電池がへたり、モーターの動きが鈍くなってしまったが、すべてのモーターがリモコンで動くというのは気持ちが良い。
やれやれこれでロボットアームのリモコン化は一段落である。
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コメント
きゅうる村さん、いつもコメントありがとうございます。
無線というのは、どんなものでも遊び心を刺激しますね。
トコスというのは、TWE-LITEのことですよね。こいつはプログラムしなくても同じようなことができるので、楽ですね。
投稿: がた老 | 2017年12月 9日 (土) 22時34分
今回も一番に読みましたよ(笑)。
てもとにトコスのモジュールがあります。
これをふたつつかって、おなじようにできそうなきがしました。
投稿: きゅうる村 | 2017年12月 9日 (土) 20時06分