遂にCNCマシンキットを発注。細かい工作をしながら待つ
みなさま遅まきながらあけましておめでとうございます。
おかげさまでこのブログは発足以来10年にもなりました。最近は記事の更新間隔が広がり、アクセス数も漸減しておりますが、自分として電子工作は定年後のライフワークとして欠かせない活動のひとつとなっています。
このブログも少しは人の役に立っていることを感じる時がたまにはあり、自分の好きなことで人に喜ばれることは無上の喜びでもありますので、止める気は今のところ全くありません。この自己満足を満たしつつ、細く長く続ける所存でありますので今後ともよろしくご支援のほどを願っております(コメントがとても励みになります)。
さて、今年は表題にありますように、とうとう念願のCNC(コンピューター制御)工作機の開発に挑むことにしました。当研究所の究極の目標のひとつでもあります。年末からこれまでの活動経過を以下にご報告します。
年末に意を決してCNC工作マシンに取り組むことを決定(12/27/2017)
遂に中華CNCフライス盤キットを発注した。これまで欲しい欲しいと思っていたコンピューター制御の工作機械である。
フライス盤とは高速で回転する刃物(ビット)で素材を切削し部品を作る機械のことで、プロの世界では、古くからコンピューター制御で自動的に作ることが当たり前になっている。最近はアマチュアの世界でも普及が広がってきた。
しかし、ちょっと前までアマチュアが手の出せるCNCフライスは、どんなに安くてもキットで10数万円した。自作するのはもっと大変だった。市販のミニフライス盤を改造するにしても、相当な工作の熟練度と経験を持たないと近寄れない世界であった。
それが中国製のCNCフライス盤キットならフレームからモーター、制御基板など全部合わせて、なんと数万円で手に入るのだ。ネットには続々と制作記が掲載され、評判も悪くない。
情報が豊富になったので、中華キットでも不安がなくなってきた。これはもう作るしかないだろう。この制御コンピューターがArduinoというのも時代を感じさせる。やってみたいのは、プリント基板制作である。いわゆる乾式プリント基板である。
発注先は、この前のオシロと同じAliexpressに決めた。沢山のショップが同じようなものを売り出している。良く見ると少しづつ微妙に違っていて同じではない。これを比較するサイトもあったりして選ぶのに参考になる。先月あたりから、色々物色して、多数の人が選んだCNC2418で、買うところは、一番安心できそうな、ここに決めた。
発注の時、ついでに5.5Wのレーザーユニットもつける。フライス盤がCNCレーザーカッターに早変わりだ。3ミリくらいまでのアクリル板の切り抜きが出来るという。これまで実用品にこだわってきた電子工作だが、こんどのプロジェクトは究極の実用化である。
ロボットアームなど、いくらこだわっても所詮は玩具である。一方、CNCマシンはこれをもとに、プリント基板や、ケースを自作できる。実用という意味では、「しかけ」を再生産する「しかけ」ほど実用的なものはない。
価格は何とレーザーユニットも含めて$148、送料$50、あわせて$200たらず。関税がかかるにしても、日本円で2万5000円以下である。本当にこんなに安くて良いのか、画面の前で一抹の不安がよぎる。
しかし、ここまで来て引き返すわけにもいかない。自分ひとりで興奮しながら、深夜、購入のボタンを押した。手元に届くには暫く日がかかりそうだが、楽しみに待つことにしよう。
参考にさせてもらったサイト。
CNC制御の自作レーザーマシンや、ルーター(フライスまで行かないか)マシンの全体俯瞰には、次のサイトがおすすめ。
自作CNCマシン・レーザーカッターについて
中華CNCマシンの制作や調整は以下の2つのサイトが細かくて懇切丁寧。必見である。
みら太な日々
マーティーの工房日誌
中華CNCマシンの比較は以下が詳しい。結局ここと同じものを選択。
念願のCNCフライスをついに注文……ただし、激安の中華CNCだがな
(無断引用ご容赦)
秋月電子で安いLDOを見つけた。秋月のLDOが勢ぞろい(12/29/2017)
キットが来るまでには日数がかかる。調べたいことは調べつくした。何か手を動かしていないと落ち着かない性格になっている。ということで、これまでやりのこした細々とした工作で、気を紛らすことにした。
ロボットアームのリモコンは、まだブレッドボードの上の仮ごしらえである。いずれケースに入れるつもりだが、せめて電源だけでもバッテリーにしようと、部品箱にころがっているリチウム電池を取り出した。
リチウム電池は、満杯のときが4.1Vで、公称が3.7Vだ(危険水位は3.6Vでこのあと急激に下がる)。3.3Vディバイスのためには、いわゆるLDO(low drop out)3端子レギュレーターの出番である。
当研究所には、既に沢山の3.3V用のLDOレギュレーターが揃っている。レギュレーターによっては、発振したり、なかなか定電圧にならなかったり微妙にやっかいな部品である。しかも、過去にはレギュレーターを2つも焼損させて「復讐」を受けたりしている。
最近のディバイスの電源電圧は3.3Vが多い。RaspberryPiやESPシリーズなど、これらは消費電流が多くて、電源の容量不足で問題が続出し、ネットが一時この話題で大いに賑わったことがある。
このとき、ねむいさん達が推奨していた3.3V用の強力なレギュレーター、ADP3338が、秋月でも売り出されているのを発見した。しかし高い。ひとつ¥300もする(DigiKeyではもっと高かった)。
どうしようかなと、さらに秋月サイトを眺めていると、LDOのジャンルで、日本無線のNJM2845というチップが目に止まった。こいつは最大出力が0.8Aと少し低いものの(ADP3338は1A)、最小ドロップ電圧が0.18Vという優れものである(ADP3338は0.19V)。価格はなんと1/6の¥50。これは買うべきだろう。
それに、LT1963というLDOも売り出されていた。これは小さいけれど1.5Aも出せる強力なLDOで、ねむいさんがかなり前に推奨していたことがある。しかし、これも少し高くひとつ¥200もする。でも何となく気になったので、暮れの秋葉原に出て、これら話題のLDOをまとめて買ってきた。
買ってきてとりあえずNJM2845のブレッドボード用のミニ基板を作る。こういう工作は楽しい。簡単にできた。早速、ロボットアームのリモコンボードに使ってみる。うむ、これまで、LD3985や、AMS1117では、電池電圧が3.9Vを下回るとリセットを繰り返して動かなくなったリモコンが、快調に動く。
まあ、AMS1117は最小ドロップ電圧が1.0V、LD3985は、最大出力電流が0.15Aといずれもスペック外になるのだが、同じLDOと銘打っても、こんなに差があることに驚いた。ADP3338ならもっと安定するのだろうが、これは先のお楽しみということで先に進む。
ESP8266の省電力化はうまくいかない(12/31/2017)
ロボットアームのESP8266は送受信とも電池駆動である。ネット機器は一般に大飯喰らいで、Xbeeなどは数十mA、WiFiのXbeeなどは百mAを越す。ESP8266でもWiFi接続時は同じくらい消費する。そのため、当然、電池駆動などの時のため節電モードが用意されている。
ESPシリーズ(ESP8266やESP32)はこれまで動かすことに専念してきたので、省電力化の機能は横目で見るだけだった。手が空いたので、少しは省電力化しようと調べてみた。このサイトの情報が良くまとまっている。
それによると、3つのモードのうち、使えそうなのはlight sleepである。ただ、今度のロボットアームは、送受信とも常にネットで相手の状況を調べている。こういう常時ネットと交信するシステムでは余り効果がないように思われるが、こればかりはやってみないとわからない。
省電力の設定そのものは、リセットを伴うdeep sleep以外はソースコードに手を入れる必要は殆どない。単に設定のAPI関数、 wifi_set_sleep_type(LIGHT_SLEEP_T) を入れるだけである(モデムスリープはMODEM_SLEEP_T)。
deep sleepはプログラムがリセットされるから、プログラムの構造を変える必要があり、立ち上がりのトリガーをコーディングしなければならない。今度のプログラムではこれを使うことが出来ない。
送受信とも、このlight sleepでテストしてみた。結果は全く影響がなかった。sleepを入れる前、受信側(サーバー)は交信前で、93~98mA、送信側(リモコン側)は、108mA程度で、交信が始まると、受信側が120mAに跳ね上がり、送信側も、134mAに上がる。
sleepを入れると、受信側は、交信中で136mAとかえって悪化してしまう(送信側は変化なし)。休止するための何らかのオーバーヘッドがあるのだろう。プログラムの構造を考えずに、こういうステートメントを入れても効果がないことが良くわかった。
測定は、電源に0.5Ωの抵抗を挿入し、両側の電圧をオシロで100mV/divで測った。今度のオシロは測定機能も充実していて、平均電流や、RMS(二乗平均)値も出してくれる(上記数値はすべてRMS値)。
さらに、測定量が多いので、時間軸を拡大してもちゃんとデータを持っている。前のオシロでは、持っているデータが少ないので、少し詳細を見ようと、時間を広げると、すぐ波形が凸凹になって絵にならなかった。
落ち着いた大晦日。電流の計測で、日がな、ゆったり時を過ごす。東京では雪が降ったそうである。こちらは雨だったと家人が言う。都心の方が雪というのも面白い。
めげない性格。何とかクライアント側を半分にする(1/4/2017)
何事もなく新年を迎えた。近くの神社に初詣に行き、箱根駅伝を見てしまうとやることがない。CNCキットは正月中なので来る気配はない。で、年末挫折したESP8266の省電力化をあきらめないでしつこく続けることにした。
要するに、断続的な観測以外の用途では、deep sleepは使えないし、無理に入れてもリセットなどで結果としてトータルとしては電力増の可能性がある。light sleepもネットが動いているときは殆ど無力だ。
従って、UDPパケットがくるのをひたすら待つサーバー側は、省電力にすることは難しい。調べる間隔を延ばせば、反応が遅くなるだけだ。残るはクライアント側のリモコンスイッチのところである。
少なくても、スイッチを押すまでは送信を休止していれば、少しは減るのではないか。再び、オシロに火を入れて測定開始である。まず、何もしない時の電流量は、先に紹介した通り100mAを越えている。一定の間隔(17ms)で常時パケットを送る仕様なのでこんなものだろう。
そこで、スイッチを押したときのみUDP送信をするようにソフトの修正を行った。これがはまったのである。うまく動かない。電池が不足してコアダンプを始めたり、memcpyの標準関数がおかしくなったり、さんざんな目にあう。
久しぶりの疑似コーディングで考え直す。スイッチを押した後の処理が難しい。うまく止まってくれない。フラグやスイッチはなるべく使いたくない。苦労の結果、前の状況を残しておくロジックで省電力化に成功した。電流量は60mAと半分近くになった。
オシロで調べたところでは、最初、フルにネット接続をしているようだが、暫くすると休止モードに移行し(ベースの電流ががくっと下がる)、消費電流が低くなる。しかし、WiFiネットの継続のための内部のヘルスチェックの交信が入るようで、たとえアプリで送信を止めていてもこれ以上、下げるのは無理なようだ。
遂にCNCマシンキットきたー(1/9/2018)
そうこうするうちに、思ったより早く暮れに発注した中華CNCマシンキットが到着した。AliExpressは注文確定から入金報告、出荷の有無などを逐一メールで報告してくれる。運送会社はEMSでこれも荷物の状況をかなり詳しくサイトで確認できる。
ついでに発注したレーザー光線防眩ゴーグルは、本体より早く日本に到着していたようだが、受け取ったのは同時だった。外出中に家人が受け取ったのだが、関税は全く請求されなかった。送り状には、¥744と明記があるのだが、配達員は何も請求しなかったという。忘れたのかもしれない。
荷物を記念撮影する。写真で見ていたのだが、思ったより小さい。しかしかなり重い。梱包も中国からにしては、歪みも殆どなくきれいな荷姿だ。さて、これから苦難の道が始まる。しかし、これは楽しみでもある。
しばらく当研究所のブログはこの話題が続き、電子工作どころではなくなるが、まあ、AVRと銘打って今は殆どAVRをいじっていない。気儘にやることを勘弁して頂きたい。さきほどの先人たちの克明な制作記があるので何の不安もなく作業を開始できる。みら太さんの制作記事が一番詳しくてわかりやすい。
梱包を解く。ありゃ、レーザー光線防眩ゴーグルが添付されていた。機材そのものは彼のキットとは微妙に違うところがあるが、大筋では同じ。X軸の動きが、彼のは渋かったようだが、こちらは、全く問題なくスムーズだ。反対にY軸がいまいち動きが悪い。レベル出しが必要なのかも知れない。
何とか動いたが、これからが大変(1/14/2018)
残念なことに、我が家には水平を出せる定盤のような設備はない。床のフローリングも水平なようで、細かく歪んでおり、スマホの水平レベルアプリで調べても、これを頼りに水平を出すのは意味がなさそうである。
実は当研究所では、ずいぶん昔、みら太さんが使っているダイヤルゲージを購入している。何のために買ったのか今になると思い出せないのだが、これを使えば相当精密な水平レベルを実現できそうだ。しかし、問題はフレームのレベル出しだ。色々考えた末、べニアの安い製図版を買って、ここで水平にすることにした。ネットで発注したが、到着まで10日近くかかるとメールが入った。
待っていられないので暫定的な水平出しで我慢して、組み立てを急ぐ。4日ほどかけて無事完成した。組み立て過程は、これまでの複数のサイトの説明で十分なのでここでは省略する。最初は、このマシンの主要枠材、v-slotの取り扱いに難渋したが(後入れナットがうまく入らない)、これも慣れてくるとだいぶ楽になった。
フレームが組みあがった。ステッピングモーターと、送りねじの接続で一苦労する。送りねじの長さが、X軸とY軸で微妙に違い、最初、逆につけてつながらない、つながらないと焦っていたり、基板の取り付けでフレームがずれているのに気が付かなくて(ここのずれは他と関係しない)、もうちょっとで取り付け穴を広げそうになったり、ドタバタはあったが特に大きな問題はなく組みあがる。
電子回路の配線は、単にモーターのケーブルを基板につなぐだけである。あっけなく、終わった。さあ、今度はソフトの準備だ。実は、ソフトのインストールが一番てまどった。付属のDVDからPCに持ち込もうとするとエラーが出る。しかも英文用のGRBLはDVDで立ち上げようとするとアプリケーションエラーで止まる。
あちこちいじったが、中文用のGRBLがDVDから動くことがわかった。紹介ネットサイトでおなじみのgrblControlの画面が出た。とりあえずこれでモーターの試運転まで行くことにする。USBをつないでUARTを接続、画面が変わった。
動いたー。jogという手動のボタンで上下左右に動かす。いやあ感激、感激である。GRBLインストールのトラブルは、原因究明より大もとのサイトから正式のソフトをダウンロードしてめでたくHDDから起動できることを確認した。なんと全てオープンソースなのだ。これが中華製品躍進の理由かもしれない。
とりあえず動いたというだけだが、ブログはこのへんで一段落しよう。残るは、防音ボックスと集塵装置の整備である。Fusion360のための64ビットOSの準備も待っている。ひょっとすると、このあたりの整備の方が本体より高くつくかもしれない。
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コメント
すささん、コメントありがとうございます。
説明書がなくても、今は、沢山の人が紹介してくれるので
楽に組み立てられるようになりましたね。
ありがたい時代になりました。
私も、基板制作を主目的にしていますが、まだデータが
揃わず一進一退です。MDF板の彫刻はこのあいだOKになりました。いずれ本記事でご紹介します。
投稿: がた老 | 2018年2月16日 (金) 23時47分
まったく同じのを買いました。
組立説明書とかが入ってなかったので、組立に苦労しました。
でも、なんとか完成させて、今は基盤作成をメインで使ってます。
(ここんとこ使ってないです)
ブレッドボードで作っていた回路を、基盤に置き換えるぐらいなら、これで十分だと思います。
(ピンが抜けちゃうようなイライラから解消されて、天国へゆけます)
ちなみに、基盤への穴あけは、刃先を交換して、CNCでやったほうがいいです。
モミ付けだけして、後で人力でピンバイスでやろうとすると、すぐに指の皮が剥けます。(そして、痛みで続けるのが困難になります)
0.8とか1.0ミリのドリルは、気になるような値段でも無いですし。
(1本で穴あけが出来る回数は、200ぐらいかな? 完全な消耗品です)
CNC、ハマるとすごく楽しいです。
投稿: すさ | 2018年2月16日 (金) 19時25分
おおー、素早いコメントいつもありがとうございます。
読んでいただけるのはとても励みになります。
一人コメントがあれば、10倍の人が読んでいるそうですから。
投稿: がた老 | 2018年1月15日 (月) 21時43分
CNC購入、おめでとうございます。
レベルは全く違うことは自認しますが、関心方向は結構近いですね(笑)。
今のオシロは、秋月で大分前に購入した最安アナログオシロですが、デジタルオシロがほしくなりました。
アナログオシロの本の筆者サイトで、もうアナログオシロは使命を終えたなどと書いてあるのを発見したこともあります。
もちろん、購入資金が一番のネックですが(爆)。
投稿: きゅうる村 | 2018年1月15日 (月) 21時27分