« 遂にCNCマシンキットを発注。細かい工作をしながら待つ | トップページ | CNCマシン(2) 切削を始めるも、Raspi Zero Wへ思わぬ脱線 »

2018年2月 2日 (金)

CNCマシン(1) 初切削の目前で電源故障。代品はすぐ届く

 予想通り、がた老AVR研究所のブログはCNCマシン導入一色の制作記となった。久しぶりの大型プロジェクトである。今まで夢でしかなかった表面実装チップを変換基板なしに直に実装する基板が自前で出来るのである。

 自分は化学系ではないので基本的に薬品(特に液体)を使うのは苦手で、どうしてもプリント基板が必要な時は、海外発注で何とかすませてきた。それが、自宅で自由に銅箔面を削って基板を作れるのである。

 しかも、今度のCNCマシンはかなり強力な(5.5W)レーザーカッターまでつけた。安いので、はずみでポチったのだが、これを使えばこのあいだのロボットアームもフレームから自作できるかもしれない。夢は限りなくふくらむ。ただ、実際に動かすまでやらねばならないことは数限りなくある。

 以下は、この2週間の活動記録である。残念ながらまだ切削はできていない。

ダイヤルゲージでフレーム面の水平を調べる(1/16/2018)
 ダイヤルゲージをスピンドル軸に固定し、水平レベル(Z軸)を測定する。何のために買ったのか思いだせないダイヤルゲージだが、取り出してみたら、ウェブに出ているみら太氏のような高級品ではなく最小読み取り目盛りが0.01mmの普及品だった。

Dsc01313  スピンドルへの固定は、手持ちのあり合わせですませる。当て板に使っていた蒲鉾板の端切れに6ミリの穴を開け、そこにダイヤルゲージを固定し、木材接着用のクランプで板をスピンドルモーターの空洞を使って固定する。簡単に固定できた。

 ジョグで工作面上を動かし測定する。工作面(作業盤)はV-slotなので溝がある。Y軸の移動のときはダイヤルゲージがそこで引っかかり、送りねじが空周りを始めたりして慌てる。モーター保護のためカップラーの締め付けを強くしていないためである。リミットスイッチを早くつけなければ。

 測定の結果、X軸方向が結構歪んでいて1ミリ以上の誤差があることがわかった。単調変化なので、これはXZ軸のフレームの左右が傾いているからに違いない。一方、Y軸の誤差は微妙だ。全体では0.3ミリ以下なのだが、最初の1/4部分で0から0.3に上がり、その後、変化しない。

 この理由はわからない。組み上げる時、動きをスムーズにするために作業盤の裏の軸受けひとつに、薄いスチロール板(0.2mm)を挟んで締め付けているが、これが原因とはどうみても考えられない。工作面のV-slot盤そのものが曲がっているのかもしれない。

 まともな水平出しをしていないので、測定はこれ以上綿密にやらなかった。ただ、問題が残っている。歪みがわかったあとの対策である。X軸は、もういちどフレームのブラケットを緩めて調整する余地が残っているが、Y軸は原因がわからないので直しようがない。シャフトが歪んでいる?(まさか)。

製図板でレベル出し。けっこう歪んでいた(1/17/2018)

 プロが使う水平出しの工具、定盤(じょうばん)はとてもじゃないけど手が出ない。でも何とかしようと安物のべニアの製図板(それでも¥5000した)をウェブで注文していた。これが来るまで少し日数がかかり、今日届いた。

 早速、出来上がったマシンのフレームを緩めてスピンドルモーターのついたXZ軸一式をはずし、床に置いた製図板に水平面のフレームを置く。Y軸のステッピングモーターの軸もはずし、フレームだけにして4隅を押しながら、がた付きを見る。

 結構がたついていた。コーナーブラケットを一旦全部緩め、どの隅を押しても他が浮かないことを確認しながら、少しづつ締めて行く。フレームのがた付きがなくなったら、Y軸の軸受けもすべて少しゆるめ、滑りを確認しながら、軸受けそのものを慎重に締めて行く。

 滑りは以前に比べて大幅に改善されていた。しかし、軸受けの固定を強めて行くと、必ず滑りが悪くなる。軸受けそのものの精度が余りない上に、固定はV-slotの溝で自由度があるからだ。これからの調整は完全に「かん」の世界である。

 幸い、たまたま3つまで締めて全く問題なく最後の4つ目でおかしくなったので、この軸受けを紙やスチロール(クリアファイル)板をさらに足して少しづつ締めて行くと、殆ど変わらない滑りが得られた。もしかすると、このひとつを遊ばしておいても精度に問題がなかったのかもしれない。

 そろそろ素材を用意する段階だ。仕事の帰り、久しぶりに秋葉原に寄り、買い物をした。これまで手をくわえて見ていた生基板を千石電商で両面と片面基板を1枚づつ入手する。秋月は10枚単位でしか売っていない。色々試したいので少量づつ買うことにした。ついでにリミットスイッチ用に超小型のマイクロスイッチ(¥100)を買い増した。

 最近、千石は店舗を大幅に統合し本社の売り場階が増えたが、どうも慣れなくていけない。スイッチとコネクターなどは同じ階ではなく、地下と2階に分かれてしまって混乱する。所長にとっては全く縁がないエレキギターの部品が結構大きな面積を占めているのも気に入らないところだ。

Ws000006 heightmapという機能があった。早速、工具を作る(1/19/2018)
 当研究所のCNC導入の大きな目的は、薬剤を使わないプリント基板の切削にある。ほとんどの工作は基板制作になるはずなので、工作面の平面出しは薄い銅箔を削るので非常に重要だ。ただ、買ってきた生基板を見ていると、この板だけでも結構歪んでいるではないか。

 これを平面にするのは大変だなと感じていたのだが、ウェブの中でみなが話題にしているのに、最初その意味がわからなかったheightmap機能というのが、これを解決するカギであることを知った。

 Z軸は、切削の前に、このあらかじめ採っておいたheightmap情報を元に補正し、常に一定距離で削れるようにする仕掛けである。これなら少々元が歪んでいても削り出す深さは一定に保てる。とても合理的な方法だ。

 基本的な平面出しが一段落したので、早速、ウェブサイトを参考に見よう見まねでA5ピンを使ったheightmap機能の実験に取り掛かる。Z軸プローブは、商用AC用の1.6mm単線の切れ端を使う。被覆を入れるとちょうど3ミリ、エンドミルの口径にピッタリである。

Dsc01316  やすりで切断面を磨くとちょうど良い感じである。最初、プローブケーブルをひとつ隣のピンに刺して、Zプローブを実行させ、生基板にゴリゴリ言いながらプローブが刺さったときも銅なので大きな被害はまぬがれた。

 間隔や、広さを指定し、スタートボタンを押すと、生基板の上をスピンドルの先端につけたプローブが少しづつ動いて距離を測っていく。順調に進んでいるようだ。見ているだけで楽しい。画面に少しづつ結果がカラーで表示されていく。よーし無事終わった。

 測定結果は、フレームの水平出しをやったおかげでダイヤルゲージの時より大分良くなった。それでも0.3ミリ程度の誤差があるようだ。この程度なら補正出来るだろう。ついでに、マーティ氏が経験したA5端子のESD対策のダイオードを基板にハンダ付けする。

Normaladpter  確かにグランドから浮いたICの端子を長く引き回すのは静電気を引き込みやすくICそのものを壊す危険がある。残るはレーザーカッターの時の12V電源のグランド対策だが、レーザーはまだ動かさないのでこれは後回しにする。いやいや先達がすべて問題を先に見つけて指摘してくださるのでとても安心だ。

 レーザーカッターも、厳密には光の焦点の関係でZ軸にうるさいはずだ。しかしheightmapがこれを解決してくれる。出来上がったheightmapは色とりどりで美しい(変化があるということで本当は良くない)。誤差は0.3mm以下になったが、素材の固定は結構難しい。相当、余白が必要だし、余り強く締めると反って歪みが出てくる。

 このところホームセンターに行っては、集塵装置や、防音ボックスを物色している。しかし、これという気にいったものは見つからない。まあ、地下のオープンスペースが作業場所になると思うので、そう神経質になることはない。ここでは、これまでに派手に音や粉塵を出している。

いよいよ初切削かと意気込んでいるときに思わぬ障害(1/21/2018)

  生基板も買ってきたし、そろそろ試しの切削を決行しようかと思ったとたん、電源が突然おかしくなった。電圧が全くでてこない。少々ケーブルをいじるが全く反応なし。みら太氏のところにも不良品が最初行っているので余り驚かないが、とにかくステッピングモーターが回らない。電圧は0V。

 そういえば、テストの時、スピンドルモーターが連続ではなく間歇的にしか回らないので最初はそういうものだ思っていたが、やっぱり問題があったのだ。ACアダプターの故障に間違いない。24V、5.62Aという妙な定格である。

 先方にクレームの電子メールをとりあえず打ったが、返事はすぐには来ない。とにかく先に進みたいのでウェブで代替品を探す。ところが、頼りにしている秋月には、24Vで4A以上は、アダプター形式のものはなく本格的な電源装置ユニットになる。しかも¥5000近くする。

 とにかく電源が来なければ先に進めない。もっと安い所はないかさらにネットで調べる。すると車のバッテリーの充電用(トラックは24Vらしい)のAC電源ユニットが異様に安いのを発見した。安いのは¥2000台からある。一応みな安定化電源をうたっている。

Normaladpter_1_2  恐らくこれも中華製品で、CNCマシン同様、どこかのオリジナルの製品がコピーされ市場に出回っているようで、みな恐ろしく似た形をしている。あまり安いのは危ない(代替品がまた壊れたのではしゃれにならない)ので、少し値段の高い¥3600のものにする。

 CNCキットの販売元から、早速レスポンスがあった。実際に電圧が出てこないという証拠の写真が欲しいという。こんなもの必要ないと思うが(いくらでも演出できる)、まあ求めに応じる。LINE風のやりとりが面白い。

Dsc01317  しかし、このクレームシステムは合理的だ。通常のメール以外に、発注番号をキーにしたLINE風のやりとりがウェブサイトの掲示板として出来ており、写真も送れるし、なにより窓口が一本になっているので混乱することがない。

KiCADに挑戦。こいつがまた難物。何とか1枚できたけれど(1/25/2018)
 車用品のAC電源ユニットを発注はしたもののこれもすぐ来るわけではない。はやる心を抑えきれず、近くのホームセンターで60X30(cm)のMDF板(5ミリ)を3枚に切ってもらって練習に備えたり、プリント配線のデータの準備をしたりして電源が来るのを待った。

 プリント基板の切削も良いが、普通の加工しやすい素材で本来のフライス盤の機能も確かめておきたい。どうせならソフトについているサンプルの簡体字の漢字パターンでなく、自前のデータを作りたいと、適当なソフトを探したが、これはとてもじゃないが簡単には準備できないことがわかる。

 Fusion360というのが定番のようで、マーティ氏やみら太氏のブログには詳しく出ているが、恐ろしく機能が豊富でちょっとのことで使いこなせそうにない。それにしてもソフトの世界はこのところ様変わりだ。非営利ならこのソフトが一年単位で無料で使える(更新可能)。昔なら数十、いや数百万円はしたであろう3Dモデリングソフトが自由に使える。良い時代になったものだ。

 基板CADの定番EAGLEは直接Gcodeを吐き出せるというのだが、今さらEAGLEを勉強しなおすというのもちょっと気が重い。もう少し簡便なCADプログラムはないか。調べるうちにKiCADというのがフリーソフトでは最近非常にもてはやされていると聞いたのでインストールしてみた。

 ところがこいつが意外に難物だった。ユーザーインターフェースがちょっと変わっているのか、どうも操作が慣れない。操作勝手はむしろEAGLEより使いにくい。まあ、フリーソフトだからということもあるが、なにかハングするようにソフトが止まるので面食らう。

Ws000008  やっとのことで、トランジスター1石でLEDをドライブする回路を作り、何とかべたアースで基板を作ることまで成功した。いや、これはちょっと大変だ。

非金属用のZ軸プローブを作ってheightmap(1/27/2018)
 車用品の店からAC電源ユニットが届いて、水平出しのテストを継続する。ただ何度もやってさすがに飽きてきた。懸念した通り生基板をクランプで強く締めても、やはり基板はかなり歪んでいる。当て板をしいて測りなおすが、あまり効果はない。

 それはそうと、制作の参考にさせてもらっているマーティ氏のCNCにかける熱意は素晴らしい。みら太氏は他に大型の二酸化炭素レーザーカッターを自作されているベテランで、このところ中華CNCの記事は少ないが、マーティ氏はたくさんの製品をこの中華CNCで制作されておりとても参考になる。

Normaladpter_5  このなかでスピンドルモーターの回転数測定で古いPS2マウスから部品を集めたという記事に触発されて、こちらもジャンク箱からいくつもあるマウスを取り出して分解したら、使い易そうなマイクロスイッチが3つも入っているのを見つけた。

 ちょうどMDF板を買ってきて、非金属用のheightmapを出したいと思っていたところだ。これでZ軸プローブを作ることを思い立った。アクリルの端材にマイクロスイッチの2ミリの穴をあけ、スピンドル軸は3ミリの長めのビスで代用できる。

Normaladpter_4  実は写真では良くわからないが、アクリル板の接着で大失敗している。瞬間接着剤の乾きが早く、天板のアクリル小片が正確に固定されていない。2回やったが2回とも不満な結果。もっとも、接着の効果を試すのには役に立った(べらぼうに接着力は強い)。

 テストする。うまく動いた。ただ、マーティ氏が指摘した通り、スイッチのヒステリシスは結構ある。でも、heightmap測定では一方向でしか測っていないので問題ないはずだ。これでハード関係の整備は殆ど終わった。あとは、切削データの準備である。

AliExpressから代品到着(2/1/2018)
 皮肉なことに、車用品のACアダプターが届いて数日もしないうちに、AliExpressから新しいACアダプターが届いた。早速、梱包を解く。出てきた製品は前の製品と全く違うタイプだった。容量も6Aに増強されていた。勿論問題なく動いた(写真右が代品)。

Normaladpter_2  いやみっぽく「故障品は返送しようか。送料着払いで」とメールしたら「not much reseach value」なので要らないと返事が来た。まあ、中国では良くあることなのでいちいち原因解析などしておられないのだろう。それにしても、クレームのメールを出したのが20日で、届いたのは30日、まるで日本の通販並みの速さだ。

 しかも、とても誠実だ。中国だといって馬鹿にしてはいけない。向こうの英語は正直言ってかなり怪しい感じだし(まあ、自分も余り褒められたものではないが)、発送前にテストしておけばわかった不具合だと思うけれど、少なくても担当の女性(名前がElizabethなので)のトラブル収束に向ける誠意を感じた。やはり中国恐るべしである。

|

« 遂にCNCマシンキットを発注。細かい工作をしながら待つ | トップページ | CNCマシン(2) 切削を始めるも、Raspi Zero Wへ思わぬ脱線 »

CNC」カテゴリの記事

電子工作」カテゴリの記事

コメント

素早いレスポンスいつもありがとうございます。品質はともかく、ネットを活用したサービスはなかなかのものです。
代品の発送状況も、最近の荷物追跡サービス17TRACKを利用して、逐一わかりました。これによるとやはり、中国の税関のところが一番日数がかかっていましたね。

投稿: がた老 | 2018年2月 3日 (土) 13時11分

今回も読みましたよ。

中国製品とサービス。
良くなってきてますよね。
一般的に言うのは問題だと思いますが。

何を思い立ったのか、最近、微分積分の本を読んでます。
オペアンプ回路などにも通ずるんですね。

投稿: きゅうる村 | 2018年2月 3日 (土) 07時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1089557/72831126

この記事へのトラックバック一覧です: CNCマシン(1) 初切削の目前で電源故障。代品はすぐ届く:

« 遂にCNCマシンキットを発注。細かい工作をしながら待つ | トップページ | CNCマシン(2) 切削を始めるも、Raspi Zero Wへ思わぬ脱線 »