研究所活動は停滞したままでCCDカメラ顕微鏡導入など
年が改まって気が付けばもう2月になっていた。がた老AVR研究所の活動はさらに低迷している。この前の更新からそろそろ2か月が経つのだが、地下の工作ルームにいる時間は減る一方で工作らしい工作は殆ど手が付いていない。
あんなに熱中したCNCマシンも全く遊んでいる。レーザーカッターなど梱包も開けていない。要するに、工作のときの「わくわく」感が得られなくなったのだ。そう、数年前アメリカの雑誌「TIME」に世界で影響力のある100人に選ばれた片付けの名人、近藤麻理恵氏のいう「ときめき」がなくなったのである。
電子工作は仕事ではない。気分が盛り上がらなければ何もしないで一向にかまわないのだが、貧乏性に生まれたと見えて何か落ち着かない。試験が近づいているのに勉強に手が付かないときと同じような妙な焦燥感に襲われる。それに、このブログは備忘録を兼ねているので、何か書いておかないとまずい。
現在のところ、これしか生存証明がない。日記はメモ程度でも残すようにしているが(激しい物忘れ対策)、詳しい状況はこのブログが頼りである。というので量は少ないが、この2か月の行動記録(作業ではなく)で、記憶の糸をつないでいくことにした。
自作のループアンテナを曲げわっぱの工法でつくる(1/12/2019)
でも何か工作をしようと思って、曲げやすいという杉の薄板をホームセンターで年末に買ってあった。中波用のループアンテナを自作するつもりである。厚さ2ミリ、幅5センチの1メートルばかりの薄板が2枚である。
しかし、薄板を円弧に曲げる方法に迷ってそのままになっている。水に濡らせば良いのだが適当な方法が思いつかない。当初は、風呂場に持ち込むつもりだったが、熱湯の方が効率が良さそうだ。といって板を漬け込む熱湯容器を自宅で用意することは不可能である。
そのうち、自宅にある竹製の蒸し器の外周がアンテナに近い大きさであることに気づいた。この蒸し器は我が家の最大の鍋に載せるもので、鍋に湯を沸かし、薄板を少しづつ浸して、これにあてていけば、全部を漬けなくても曲げられる気がしてきた。
意を決して、家人が寝静まったある日の深夜、作業にとりかかる。ガスレンジに鍋をかけ板を焦がさないように斜めにしながら少しづつ沸騰する湯に一分ほど浸したあと、蒸し器の外周にあてて曲げて行く。温度が高いと思いのほか簡単に曲がることがわかった。何のことはない「案ずるより、産むがやすし」の諺通りである。直径およそ30センチの円形のフレームが簡単に作れた。
円の固定は。凝らなければもっと楽にすんだ。単なる瞬間接着剤だけで完全に止まった。最近の接着剤は強力で、曲げわっぱのような織り込み加工は全く不要である。固定台は、自作の温調付きのアクリル曲げ器で、CDケースを簡単に曲げて作る。テスト用なので見映えはしないが実用的には十分だ。
次は線材である。この前のデコパネのループアンテナは、被覆線を使ったが、どうも少しかさばる。今度はUEW線にしようと思ったが、手持ちがないので先に進めない。これは買ってこなければならない。
久しぶりの秋葉原。松屋で天ぷらそば。買い物はUEW線(1/14/2019)
ちょうどそのころ、古い職場の友人から新年会を兼ねて久しぶりに会わないかというお誘いがきた。秋葉原に買い物に来るのでそのついでということである。渡りに船とはこのことであった。定番の須田町のソバ屋、「松屋」で待ち合わせることにする。
昼時をはずして午後2時に集まったのだが、松屋はこの時間でも行列が出来ていて、大盛況であった。ビールと天ぷらそばを注文する。混んでいるので気が引けたが、一杯くらいなら良いだろう。ここはつきだしに「そばみそ」が出る。これが美味なのだ。
すっかり満足して買い物にでかけた。電線と言えば、やはりオヤイデ電気である。太さ0.5ミリのUEW線を50mほど調達する。メーター¥15程度で、1000円でおつりが来た。このあとは、2人でなつかしの店の消息を渡り歩く。
ラジオデパートは定休日ということもあって閑散としていて空きスペースが目立った。昔、結構はまっていた大通りの小さな中華そばや「松楽(しょうらく)」は、代が変わったそうで、店構えには全く昔の面影はないが、立派に営業していた。味は同じらしい。
これも良く行っていたガード下のラジオセンター横の喫茶店「古炉奈(ころな)」はコスメ喫茶に様変わりしていた。中を覗く気分にはなれない。いわゆるDOS/V通りと言われた末広町にかけての通りに足を延ばすと、立ち並んでいたPCパーツショップの殆どが姿を消していて、2人で嘆く。
一方、末広町から少し離れたAitendoの直営店には、友人が妙に感動したのが印象的だった。どういう基準で集められたのか判然としないのだが、なにしろ部品の種類が多いという。そして旧交通博物館の中央線の線路の見える喫茶店で一休みした。ここは、前から行きたかったところで、やっとのことでそれが実現できた。ご満悦である。
自宅に帰って早速、UEW線をループアンテナのフレームに巻く。20回あたりで前の方形ループアンテナと同じインダクタンスが得られるはずだ。テストの結果は、方形のループとほぼ同じ290μHが得られた。しかし感度はわずかながら低い。これは断面積がこちらの方が少ないので順当な結果であろう。
恐るべし中華ラジオの実力(1/16/2019)
このあいだの1000円台のラジオは家族に持って行かれたので、今度はDSPチューナーのオールバンドラジオを物色する(この前のはアナログ選局)。このあたりになると価格も¥5000台となり、日本製もちらほら良いものがあるが、やっぱり価格/機能比では中国には勝てない。
TECSUNという中華大手のこれ(PL310ET)を選ぶ。中華の通販は¥1000以下の小さな部品は郵便物で来るのでアマゾン経由でもやたらと時間がかかるが、この程度になるとさすがに宅配便ルートなので到着は早い。数日で届いた。
早速梱包を解いて中身を取り出す。前のラジオと同じくらいの大きさだ。電池は単3三つでニッケル水素充電池が使え、入れたままで充電できる。少し充電して試聴する。おおお、こいつは室内でもロッドアンテナだけで、在京FMが10何局、簡単に入感する。自作の意欲を奪ってしまう高感度だ。
ただし選局方法は無茶苦茶難しい。FMや中波帯を自動スキャンする程度ならともかく、短波帯を探訪するには、説明書を熟読してもまだわからない。アンテナがないこともあるが、めぼしい局を殆ど受信することができない。これはまともなアンテナで心を入れ換えて(馬鹿にせず)、練習しないととても使いこなせそうにない。
もののはずみで中波用の既製品のループアンテナ(TECSUN AN-200)もついでにポチってしまってあった。テストのため地下に持ち込み、USBドングルのRFコンバーターの前段につないだ。しかし、感度は自作のものと大差がないというより、むしろ低い。ダイヤルを回しても感度に変わりがない。
小さいので仕方がないと言えばその通りだが、ちょっとがっかりである。RF(無線)は基本、アナログなので、びっくりするような成果は出てこない。まあ、期待する方が間違っていた。
とうとうAitendoのCCDカメラ顕微鏡を代引きで買った(1/18/2019)
前からAitendoの直営店に行くたびに、気になっていたCCDカメラを付けた顕微鏡をとうとう買ってしまった。この顕微鏡、CCDカメラの画像を大型ディスプレイに映し出すもので、店の一角でデモをやっており、実際にプリント基板などを拡大して見ることができる。
当研究所では数年前ホーザンの実体双眼顕微鏡を導入し、とりあえず不自由なく0.5ミリピッチまでのハンダ付けは可能になっているが、難点は視野が狭いために肉眼で相当周りを確認しながら使う必要があった。
このCCDカメラの顕微鏡は、高解像度で大画面に映せるので飛躍的に視認範囲が広がる。しかも対物レンズと対象物の間のクリアランスは30センチ近くあるので、ハンダ付けなどの作業ははるかに楽になりそうである。 しかし、大型ディスプレイに手持ちがなかったのと、場所がかさばりそうなのでためらっていた(価格はスタンドなどをすべて合わせても3万前後でたいしたことはない)。それが正月に、娘に貸してあった液晶ディスプレイが戻ってきたのと、最近の電子工作へのやる気の回復のため、さらにこのあいだの直営店でのデモの印象が強かったため、思い切って買うことにした。
ちょうど思い立った日が直営店の定休日なのでウェブサイトを見ていたら、なんとレンズキットが売り切れになっている。ところが暫くしたら1ケだけ在庫が戻っているではないか。これはもう買うしかない。あわてて通販で申し込む。
ところが、Aitendoの通販は銀行振り込みが出来ない。カード支払いは、使える会社が限定されており、残る支払い方法は代引きしかない。手数料をとられるが、まあ、これが一番安全だろう。ぐずぐずしているうちにまた売り切れるかもしれないので、あせって画面に入力する。めでたくレンズキットはカートに入った(このあとだいぶん長い間、レンズキットは在庫切れになっていた)。
リモコン不調なれど、この解像度は凄い(1/20/2019)
数日後、無事、レンズキット、CCDカメラ、スタンド一式が宅配便で届いた。早速組み立てる。最初、カメラの対物レンズに保護シートが貼ってあり、ぼけぼけ画像に頭を抱えていたが、それを外すと見事な映像が出てきた。
当研究所の手持ちのディスプレイのHDMI出力はやや不安定で、ひんぴんとリセットを繰り返し心配したが、DVI経由にすると安定した。DVIとHDMIはコネクターが違うだけで両方サポートしているようだ。
試しに、ハンダ付けをやってみた。実体顕微鏡に比べると、圧倒的な視野の広さは比較にならないほど楽である。焦点深度が浅いのが少し不満だが、もっと困ったのが、ついてきたリモコンの一部の操作が動かないことだった。
早速、店にクレームのメールを出したところ、すぐに返答があり、返送用の切手つき封筒と代品を送ってきた。しかし、このリモコンも同じ症状だ。電源の入り切りが、OFFは動くがONのとき動作しない。どうもこのCCDカメラの正規のリモコンではないようだ。リモコンはどうしても必要なものではないので、とりあえず2品とも店に送り返し、正しく動くリモコンを再送してくれるよう頼んだ。
閑話休題。下呂温泉と各務原の航空宇宙博物館(1/27/2019)
工作以外の話題をひとつ。旅行の話である。家族が名古屋に転勤していて今年中に東京に戻りそうなので、今のうちに名古屋近辺に遊びに来ないかと誘いを受けた。ということで、下呂温泉と、近くの刃物で有名な関市に家族で行くことになった。
この界隈には、平成が終わるというので人気になっている平成の「道の駅」がある。ここは元々の地名が平成(へなり)という町で、話のタネに立ち寄った。何の変哲もない道の駅だが、これが結構な人出で驚いた。よほど行くところにみんな困っているらしい(我々もその一員だったが)。
下呂温泉は、日本三大名湯(江戸時代の制定で草津と有馬と下呂)のひとつということだが、特に驚くようなところではなく、極く普通の山里に広がる中程度の温泉である。とても寒い日だったので、結局、温泉街へは出向かず、旅館の中でたっぷり温泉を楽しんだ。泉質はアルカリ性で肌にやさしい。
関市では、60年ぶりに切り出し小刀を買い替えた。左利き用もあったが(自分は左利き)、右利きの刃の使い方に長年慣れてしまっているので結局、右利き用を買った。学習用は¥1000前後だが、少し贅沢して¥3000クラスのものをもとめる。
関市に隣接した「かがみはら航空宇宙博物館」にも立ち寄った。各務原は、旧日本軍の航空機開発のメッカであり、戦後も沢山の国産の飛行機がこの近辺で開発されたそ>うだ。ずらりと実機が並んだ博物館はなかなか見ごたえがあった。
究極の物欲。サーモグラフィックカメラの導入(1/29/2019)
これも衝動買いである。だいぶ前から、自作を狙っていたのだが、ユニットだけでも3万以上するし、5万近く出せば完成品でそれより性能の良い商品が手に入る。どうしようかと考えているうちに日が経ってしまっていた。
それが、ネットで偶然、サーモグラフィックカメラのレポートを見つけ、これが3万円クラスの完成品でも十分実用的な解像度があることがわかった。しかも、簡単にスマホにつけるだけである。こういう使用記事はとても参考になる。
工作が手詰まり状態の時は、完成品が何かの起爆剤になるときもある。というより、何か心に「ときめく」ものを感じて、ついポチっとしてしまった。4万以上するPROを選ぶ。最近少し経済状況が好転した勢いもあるかもしれない(持ち株が持ち直した)。PROは少し高いが、3万円の普及品より解像度が4倍になっているというので少し無理をした。
これもアマゾンからの買い物で、順当に数日で自宅に届いた。実に便利な世の中になったものだ。予備知識はネット上に沢山ころがっているので接続に不安はなかった。ただし、スマホでの操作はやはり苦しい。カバーをつけているので安定して持つことができない。
それでも操作性を除けば、性能は噂通り素晴らしいものだった。家庭内の電気機器の発熱状態が手に取るようにわかる。熱の差も、ちょっと絨毯に手を当てて(10秒前後で良い)離し、カメラで見ると温度差が出来て手の形がくっきり絨毯に残る。
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