カテゴリー「RF(高周波)」の3件の記事

2019年2月 8日 (金)

研究所活動は停滞したままでCCDカメラ顕微鏡導入など

 年が改まって気が付けばもう2月になっていた。がた老AVR研究所の活動はさらに低迷している。この前の更新からそろそろ2か月が経つのだが、地下の工作ルームにいる時間は減る一方で工作らしい工作は殆ど手が付いていない。

 あんなに熱中したCNCマシンも全く遊んでいる。レーザーカッターなど梱包も開けていない。要するに、工作のときの「わくわく」感が得られなくなったのだ。そう、数年前アメリカの雑誌「TIME」に世界で影響力のある100人に選ばれた片付けの名人、近藤麻理恵氏のいう「ときめき」がなくなったのである。

 電子工作は仕事ではない。気分が盛り上がらなければ何もしないで一向にかまわないのだが、貧乏性に生まれたと見えて何か落ち着かない。試験が近づいているのに勉強に手が付かないときと同じような妙な焦燥感に襲われる。それに、このブログは備忘録を兼ねているので、何か書いておかないとまずい。

 現在のところ、これしか生存証明がない。日記はメモ程度でも残すようにしているが(激しい物忘れ対策)、詳しい状況はこのブログが頼りである。というので量は少ないが、この2か月の行動記録(作業ではなく)で、記憶の糸をつないでいくことにした。Dsc01603

自作のループアンテナを曲げわっぱの工法でつくる(1/12/2019)

 年が明けた。もう大分前から仕事はしていないから毎日がお正月のようなもので、特に感慨は湧かない。年末は電子工作らしいものは何もしていなかった。例によって家族が大集合し、箱根駅伝を見て、近くの神社に初詣に行き、破魔矢を買ってくればおしまいである。

 でも何か工作をしようと思って、曲げやすいという杉の薄板をホームセンターで年末に買ってあった。中波用のループアンテナを自作するつもりである。厚さ2ミリ、幅5センチの1メートルばかりの薄板が2枚である。

 しかし、薄板を円弧に曲げる方法に迷ってそのままになっている。水に濡らせば良いのだが適当な方法が思いつかない。当初は、風呂場に持ち込むつもりだったが、熱湯の方が効率が良さそうだ。といって板を漬け込む熱湯容器を自宅で用意することは不可能である。

 そのうち、自宅にある竹製の蒸し器の外周がアンテナに近い大きさであることに気づいた。この蒸し器は我が家の最大の鍋に載せるもので、鍋に湯を沸かし、薄板を少しづつ浸して、これにあてていけば、全部を漬けなくても曲げられる気がしてきた。Dsc01600

 意を決して、家人が寝静まったある日の深夜、作業にとりかかる。ガスレンジに鍋をかけ板を焦がさないように斜めにしながら少しづつ沸騰する湯に一分ほど浸したあと、蒸し器の外周にあてて曲げて行く。温度が高いと思いのほか簡単に曲がることがわかった。何のことはない「案ずるより、産むがやすし」の諺通りである。直径およそ30センチの円形のフレームが簡単に作れた。

 円の固定は。凝らなければもっと楽にすんだ。単なる瞬間接着剤だけで完全に止まった。最近の接着剤は強力で、曲げわっぱのような織り込み加工は全く不要である。固定台は、自作の温調付きのアクリル曲げ器で、CDケースを簡単に曲げて作る。テスト用なので見映えはしないが実用的には十分だ。

Dsc01599  次は線材である。この前のデコパネのループアンテナは、被覆線を使ったが、どうも少しかさばる。今度はUEW線にしようと思ったが、手持ちがないので先に進めない。これは買ってこなければならない。

久しぶりの秋葉原。松屋で天ぷらそば。買い物はUEW線(1/14/2019)

 ちょうどそのころ、古い職場の友人から新年会を兼ねて久しぶりに会わないかというお誘いがきた。秋葉原に買い物に来るのでそのついでということである。渡りに船とはこのことであった。定番の須田町のソバ屋、「松屋」で待ち合わせることにする。

 昼時をはずして午後2時に集まったのだが、松屋はこの時間でも行列が出来ていて、大盛況であった。ビールと天ぷらそばを注文する。混んでいるので気が引けたが、一杯くらいなら良いだろう。ここはつきだしに「そばみそ」が出る。これが美味なのだ。

 すっかり満足して買い物にでかけた。電線と言えば、やはりオヤイデ電気である。太さ0.5ミリのUEW線を50mほど調達する。メーター¥15程度で、1000円でおつりが来た。このあとは、2人でなつかしの店の消息を渡り歩く。

 ラジオデパートは定休日ということもあって閑散としていて空きスペースが目立った。昔、結構はまっていた大通りの小さな中華そばや「松楽(しょうらく)」は、代が変わったそうで、店構えには全く昔の面影はないが、立派に営業していた。味は同じらしい。

 これも良く行っていたガード下のラジオセンター横の喫茶店「古炉奈(ころな)」はコスメ喫茶に様変わりしていた。中を覗く気分にはなれない。いわゆるDOS/V通りと言われた末広町にかけての通りに足を延ばすと、立ち並んでいたPCパーツショップの殆どが姿を消していて、2人で嘆く。

 一方、末広町から少し離れたAitendoの直営店には、友人が妙に感動したのが印象的だった。どういう基準で集められたのか判然としないのだが、なにしろ部品の種類が多いという。そして旧交通博物館の中央線の線路の見える喫茶店で一休みした。ここは、前から行きたかったところで、やっとのことでそれが実現できた。ご満悦である。

 自宅に帰って早速、UEW線をループアンテナのフレームに巻く。20回あたりで前の方形ループアンテナと同じインダクタンスが得られるはずだ。テストの結果は、方形のループとほぼ同じ290μHが得られた。しかし感度はわずかながら低い。これは断面積がこちらの方が少ないので順当な結果であろう。

恐るべし中華ラジオの実力(1/16/2019)
 このあいだの1000円台のラジオは家族に持って行かれたので、今度はDSPチューナーのオールバンドラジオを物色する(この前のはアナログ選局)。このあたりになると価格も¥5000台となり、日本製もちらほら良いものがあるが、やっぱり価格/機能比では中国には勝てない。 Kagawadou_2018080413314500080 TECSUNという中華大手のこれ(PL310ET)を選ぶ。中華の通販は¥1000以下の小さな部品は郵便物で来るのでアマゾン経由でもやたらと時間がかかるが、この程度になるとさすがに宅配便ルートなので到着は早い。数日で届いた。

 早速梱包を解いて中身を取り出す。前のラジオと同じくらいの大きさだ。電池は単3三つでニッケル水素充電池が使え、入れたままで充電できる。少し充電して試聴する。おおお、こいつは室内でもロッドアンテナだけで、在京FMが10何局、簡単に入感する。自作の意欲を奪ってしまう高感度だ。

 ただし選局方法は無茶苦茶難しい。FMや中波帯を自動スキャンする程度ならともかく、短波帯を探訪するには、説明書を熟読してもまだわからない。アンテナがないこともあるが、めぼしい局を殆ど受信することができない。これはまともなアンテナで心を入れ換えて(馬鹿にせず)、練習しないととても使いこなせそうにない。 

 もののはずみで中波用の既製品のループアンテナ(TECSUN AN-200)もついでにポチってしまってあった。テストのため地下に持ち込み、USBドングルのRFコンバーターの前段につないだ。しかし、感度は自作のものと大差がないというより、むしろ低い。ダイヤルを回しても感度に変わりがない。 Dsc01598

 小さいので仕方がないと言えばその通りだが、ちょっとがっかりである。RF(無線)は基本、アナログなので、びっくりするような成果は出てこない。まあ、期待する方が間違っていた。

とうとうAitendoのCCDカメラ顕微鏡を代引きで買った(1/18/2019)
 前からAitendoの直営店に行くたびに、気になっていたCCDカメラを付けた顕微鏡をとうとう買ってしまった。この顕微鏡、CCDカメラの画像を大型ディスプレイに映し出すもので、店の一角でデモをやっており、実際にプリント基板などを拡大して見ることができる。

 当研究所では数年前ホーザンの実体双眼顕微鏡を導入し、とりあえず不自由なく0.5ミリピッチまでのハンダ付けは可能になっているが、難点は視野が狭いために肉眼で相当周りを確認しながら使う必要があった。

 このCCDカメラの顕微鏡は、高解像度で大画面に映せるので飛躍的に視認範囲が広がる。しかも対物レンズと対象物の間のクリアランスは30センチ近くあるので、ハンダ付けなどの作業ははるかに楽になりそうである。Dsc01606 しかし、大型ディスプレイに手持ちがなかったのと、場所がかさばりそうなのでためらっていた(価格はスタンドなどをすべて合わせても3万前後でたいしたことはない)。それが正月に、娘に貸してあった液晶ディスプレイが戻ってきたのと、最近の電子工作へのやる気の回復のため、さらにこのあいだの直営店でのデモの印象が強かったため、思い切って買うことにした。

 ちょうど思い立った日が直営店の定休日なのでウェブサイトを見ていたら、なんとレンズキットが売り切れになっている。ところが暫くしたら1ケだけ在庫が戻っているではないか。これはもう買うしかない。あわてて通販で申し込む。

 ところが、Aitendoの通販は銀行振り込みが出来ない。カード支払いは、使える会社が限定されており、残る支払い方法は代引きしかない。手数料をとられるが、まあ、これが一番安全だろう。ぐずぐずしているうちにまた売り切れるかもしれないので、あせって画面に入力する。めでたくレンズキットはカートに入った(このあとだいぶん長い間、レンズキットは在庫切れになっていた)。

リモコン不調なれど、この解像度は凄い(1/20/2019)
 数日後、無事、レンズキット、CCDカメラ、スタンド一式が宅配便で届いた。早速組み立てる。最初、カメラの対物レンズに保護シートが貼ってあり、ぼけぼけ画像に頭を抱えていたが、それを外すと見事な映像が出てきた。 Dsc01604

 当研究所の手持ちのディスプレイのHDMI出力はやや不安定で、ひんぴんとリセットを繰り返し心配したが、DVI経由にすると安定した。DVIとHDMIはコネクターが違うだけで両方サポートしているようだ。

 試しに、ハンダ付けをやってみた。実体顕微鏡に比べると、圧倒的な視野の広さは比較にならないほど楽である。焦点深度が浅いのが少し不満だが、もっと困ったのが、ついてきたリモコンの一部の操作が動かないことだった。 Dsc01608  早速、店にクレームのメールを出したところ、すぐに返答があり、返送用の切手つき封筒と代品を送ってきた。しかし、このリモコンも同じ症状だ。電源の入り切りが、OFFは動くがONのとき動作しない。どうもこのCCDカメラの正規のリモコンではないようだ。リモコンはどうしても必要なものではないので、とりあえず2品とも店に送り返し、正しく動くリモコンを再送してくれるよう頼んだ。

閑話休題。下呂温泉と各務原の航空宇宙博物館(1/27/2019)

 工作以外の話題をひとつ。旅行の話である。家族が名古屋に転勤していて今年中に東京に戻りそうなので、今のうちに名古屋近辺に遊びに来ないかと誘いを受けた。ということで、下呂温泉と、近くの刃物で有名な関市に家族で行くことになった。

 この界隈には、平成が終わるというので人気になっている平成の「道の駅」がある。ここは元々の地名が平成(へなり)という町で、話のタネに立ち寄った。何の変哲もない道の駅だが、これが結構な人出で驚いた。よほど行くところにみんな困っているらしい(我々もその一員だったが)。 Dsc01655

 下呂温泉は、日本三大名湯(江戸時代の制定で草津と有馬と下呂)のひとつということだが、特に驚くようなところではなく、極く普通の山里に広がる中程度の温泉である。とても寒い日だったので、結局、温泉街へは出向かず、旅館の中でたっぷり温泉を楽しんだ。泉質はアルカリ性で肌にやさしい。 

 関市では、60年ぶりに切り出し小刀を買い替えた。左利き用もあったが(自分は左利き)、右利きの刃の使い方に長年慣れてしまっているので結局、右利き用を買った。学習用は¥1000前後だが、少し贅沢して¥3000クラスのものをもとめる。Dsc01635

 関市に隣接した「かがみはら航空宇宙博物館」にも立ち寄った。各務原は、旧日本軍の航空機開発のメッカであり、戦後も沢山の国産の飛行機がこの近辺で開発されたそ>うだ。ずらりと実機が並んだ博物館はなかなか見ごたえがあった。Dsc01652


究極の物欲。サーモグラフィックカメラの導入(1/29/2019)

 これも衝動買いである。だいぶ前から、自作を狙っていたのだが、ユニットだけでも3万以上するし、5万近く出せば完成品でそれより性能の良い商品が手に入る。どうしようかと考えているうちに日が経ってしまっていた。 Dsc01640

 それが、ネットで偶然、サーモグラフィックカメラのレポートを見つけ、これが3万円クラスの完成品でも十分実用的な解像度があることがわかった。しかも、簡単にスマホにつけるだけである。こういう使用記事はとても参考になる。 

 工作が手詰まり状態の時は、完成品が何かの起爆剤になるときもある。というより、何か心に「ときめく」ものを感じて、ついポチっとしてしまった。4万以上するPROを選ぶ。最近少し経済状況が好転した勢いもあるかもしれない(持ち株が持ち直した)。PROは少し高いが、3万円の普及品より解像度が4倍になっているというので少し無理をした。 Dsc01654

 これもアマゾンからの買い物で、順当に数日で自宅に届いた。実に便利な世の中になったものだ。予備知識はネット上に沢山ころがっているので接続に不安はなかった。ただし、スマホでの操作はやはり苦しい。カバーをつけているので安定して持つことができない。

 それでも操作性を除けば、性能は噂通り素晴らしいものだった。家庭内の電気機器の発熱状態が手に取るようにわかる。熱の差も、ちょっと絨毯に手を当てて(10秒前後で良い)離し、カメラで見ると温度差が出来て手の形がくっきり絨毯に残る。 Dsc01653

 あと問題は電池の減りがかなり早いことだろうか。それでもこれは色々な所で活躍できそうだ。 Jkws0136

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2018年12月12日 (水)

ドングルのHFコンバーターでJJY標準電波は見えたか

 どういうはずみか、PCで長波の40Khz標準電波を見ることに熱中している。今となっては何のきっかけでこれを始めたのか、すぐに思い出せないくらい長い期間だ。ブログの更新間隔もいつのまにか一か月を越えてしまった。

 前回記事のとおり、PCでJJY標準電波を見るために、USBアダプターに接続したソフトウエアラジオドングルで画面上に受信した電波のスペクトルを出そうとしている。何十年ぶりかのRF(電波、高周波)の世界に完全に飲み込まれてしまったようだ。

 そもそものきっかけは、このサイトの記事のような気もするが、もっと前からJJYの電波強度を調べていた気もする。いずれにしても、この記事は、6年以上も前の記事で、今や、このほかにも長波のJJYを受信した話は沢山でてくる。ここにはドングルではなく、一般の普通の受信装置で聞いておられる例もある。

 アマチュア無線家の中には、このドングルを受信機(高級型がある)として実用に使っておられる例も数多くあるようで、技術の進歩の激しさに今更ながら驚くばかりである

 JJYの電波そのものは、当研究所ではAitendoの受信モジュールを使った電波時計の自作や、標準電波のリピーター制作などで既にお馴染みである。PCで受信することは目新しい話なので飛びついた。しかし、これが電波を見るとなると、そう簡単にはいかなかった。 Dsc01550 我ながら馬鹿なことにこだわっていると思う。そう、当研究所のモットー、「実用」ということでは、全く実用のあてのない(アマチュア無線をやらないなら)工作である。それでも、後述するように、ドングルとHFコンバーター、それに外付けRFアンプと手製のループアンテナで、40Khz近辺でそれらしい電波を捉えることに成功した。

 しかし、受信機のデコード機能の関係か、正確なパルスコードを見ることは出来ず、本当にこれがそうなのかの確証はない。とはいえ、近辺でそれらしい電波はこれしかなく、3Khzほどオフセットしているが、これはコンバーターのクリスタルの誤差の範囲(数十PPM)だと思われる。受信できたことにしておこう。ともあれ、以下は、この一か月の悪戦苦闘の記録である。

HFコンバーターの組み立て(11/2/2018)
 前回のブログ記事をUPしたあと、予定通りHFコンバーターの組み立てに入った。製作者のサイトには数多くの制作記が載っているが、みなさん例外なく部品の小ささに驚かれているようだ。しかし、こちらには例の実体顕微鏡という強い味方がいる。

 1608チップの実装も怖くない。それでもLEDひとつを飛ばして行方不明にしてしまった。このクラスのパーツは床に飛ばしてしまうと、まず発見は不可能である。しばらく床の絨毯をペンライト片手に文字通り手探りで探したが、早々に諦めた。 Dsc01562

 というのは、この大きさのLEDなら手持ちがあるからだ。昔々、ネットの記事(チップ部品の手ハンダ実装競争)に刺激されて手に入れてある。これを取り出して難なくハンダ付けし、とりあえず配線終了である。失くしたLEDは青色だったようで、取り替えたLEDは緑。こちらの方が所長の好みなので怪我の功名であった。

 プリント基板なので、誤配線の心配はない。オプションパーツのリレー(VHF帯へのバイパス)の実装を残し、テストを開始する。アンテナの準備が出来ていないので、まず、自作SG(シグナルジェネレーター)から40khzを出し、ドングルを100Mhz起点にして受信できるかどうかを試す(コンバーターは100Mhzへアップコンバートする。つまり40Khzなら100,040khzを受信)。

 PCのラジオソフトはこの前から使っているSDR#(SDRシャープ)である。よーし、受信しているようだ。それでは、これまでのLTC1799を使ったJJYリピーターではどうか。ふーむ、これは無理なようだ。直付けしていないこともあって受信できない。

 カップリングコンデンサーで直付けすれば、前のドングル直結のダイレクトサンプリングのときのように見えるのだろうが、先を急ぐのでアンテナを使った中波の受信テストに進む。

中波のAM放送が聞こえない。アンテナの原理を学ぶ(11/5/2018)
 中波の受信はJJY受信と直接関係がないが、どの程度の受信能力があるかは試しておきたい。最近のアマチュア無線は、このソフトウエアラジオによるバンドウォッチ(入感の監視)が当たり前になっているようなので、今後この世界に復帰するときのためにも調べておきたい(おいおい)。

 アンテナが問題だ。はじめループアンテナを作ろうと、ウェブサイトを漁ったが、作りたくなるようなものが見つからなかった。調べて行くうちにどんどん基本に戻り、アンテナとは何ぞやというところまで調べる羽目になった。

 ウェブで基本的なことを学ぼうとするが、なかなか良い資料にめぐまれない。どの世界でもそうだが、最初の初歩の部分の解説は山ほどあるが、ちょっと進んで、長波帯での有効なアンテナの考え方を分かりやすく書いたサイトは全く見当たらない。

 恐らく、書籍でもそうだろう。改めて探す気にならない。これまでに何度も失敗をしている。あきらめきれずネットサーフィンを続けるうち、不要電波の輻射をおさえるサイトの解説でふと面白いことを思いついた。要するにこの反対をやれば良いのだ。

 輻射を抑えるには、シールド線のように、行きと帰りのワイヤーを近づけて相殺させる。ぐるぐる巻きをさけて磁界と電界を交錯させないようにとある。そうだ、この逆をやれば、電波が出て行く勘定だ。

 つまり、ワイヤーのさしわたす範囲の面積を出来るだけ広げたり(一本線のアンテナでは地上接地面が対極)、繰り返しの流路をまとめて磁束と電界を交叉させたりすれば(コイル)、電波が輻射していくのだ。一波長が数キロメートルという長波電波でも、ループアンテナのようなものが有効だということが少しは理解できた。

続々とウエブで高周波部品を注文。圧着工具を2度買い(11/10/2018

 無線、高周波(RF)の世界は、これまでの、マイコンなどの電子工作とは少し毛色の違う部品を使う。同軸コネクターだけでも多種多様な規格があることを学ぶ。秋月電子の店頭で横目でみていたSMAコネクターが小さくて、とても工作心(ごころ)を刺激されていたのだが、これが大威張りで使える。 

 当面、当研究所の高周波コネクターは、SMAに統一することにしてSMA関係のコネクターやケーブルを次々に物色して、ネットで注文している。まるで新しい玩具に夢中になっている子供のようだ。Dsc01559 同軸などの通信ケーブルの配線では、コネクターかしめ用の圧着工具(ペンチ)が重要なキーディバイスである。圧着ペンチは昔から何故か気になる工具で、当研究所では、みな安物ばかりだがイーサネットや電話のRJ11,RJ45用から、ピンヘッダー用のオープンバレル型(これだけはまともなEngineer製)、AC配線の絶縁端子型用まで5つ近くが揃っている。

 圧着ペンチの価格はピンキリで業務用のものは軽く一万円近くするが、ここも最近は中華ものが幅を利かせているようで2千円しないで各種の工具が手に入る。同軸コネクターの圧着工具も中華製が安いので、気楽に他のSMAプラグなどと合わせて注文していたら、コネクターの規格とダイスのサイズの違うものが届いてしまった。

 どうもRG58や、RG174などのこれから使おうと思っているケーブルのサイズと微妙に違っている。いざとなればプラス側の細いピンの固定はハンダ付けで何とかなるが、千円ちょっとの工具なので、ウェブでもう一度、太さを確認し(インチとミリでややこしい)、2本目を発注した。Dsc01560 ところが、こういうときに限って、注文したものと全く違う型番のものが届いた。アマゾンは返品が簡単に出来るので、宅配業者に送料受取人払いで送り返し、同じものを注文しなおす。それにしても、肩の力が抜ける話だ。

 コネクターだけでなく、同軸ケーブルも種類が多すぎて何を選べば良いのかわからない。RG系列(米軍仕様)と、5C2V,3D2VなどのJIS系列は互換性があるところとないところがあり、コネクターそのものも、ケーブルによって種類が違い(太さが違うので)、もう何が何だかわからない状態である。

 既製品のアンテナも色々見つかった。マグネティックシールドループアンテナが良さそうだが、1万円以上してちょっと手が出せない。ケーブルを何メートル用意するのかも問題だ。最終的には、室内ではなく、せめて2階のベランダあたりまで伸ばすことを考えれば20メートル以上は買っておきたい。しかし、余り長いのを買ってしまうと損失がばかにならない。悩ましいところである。

 またケーブルの値段が店によって極端に違うのも気になる。秋葉原の有名なケーブルの専門店オヤイデ電気は結構高い。ネットの方が圧倒的に安いのだが、これもまちまちで迷ってしまう。ケーブルは規格品なのにどうしてこんなに値段が違うのか。中華パチものがあるのだろうか。

子供のラジカセからループアンテナをはずし実験。受信成功(11/13/2018)
 ちょうどそのころ、我が家の物置の奥に娘が捨てていったラジカセが見つかった。MDカセットという今では絶滅した電池式だ。手提げハンドルの脇にちょうど欲しかった巾10センチばかりの中波用のループアンテナがついていた。本体からはずれるようになっていて方向を選べる。

 早速これを利用することにする。たいしたループをしているわけではないが(7ターン)、テストしてみる価値はある。早速、SMAプラグにターミナルブロックをつけるブレーク基板を用意して、接続し、地下のPC横でテストしてみた。 Dsc01558

 おお、HFコンバーターで始めて中波AM放送を聞くことができた。地下では、せいぜいが、NHK第一とFEN、それに東京放送(TBS)くらいだが、同軸ケーブルで地上近くに持って行くと、5局以上が受信できた。

 ためしに、電話線でワイヤーを垂らして持ち出すと、家庭電力からの強烈な雑音で全く聞こえなくなった。同軸ケーブルはやっぱりノイズ抑制には欠かせないものであることを納得する。

アンテナを外に出しても感度改善せず(11/15/2018)
 圧着ペンチが届かないので、SMAプラグを、買い置きのRG174ケーブルに、だましだまし固定し、中継プラグで継ぎ足して(例のリバースSMAコードに変換プラグをかませたもの)、ラジカセアンテナを屋外に出した。

 我が家は家族の要望で防犯・防災用に網ガラスが入っている。電波事情としては良い環境とは言えない。これを避けるためである。屋外に固定するために作ったのが、写真のデコパネでつくった棚である。玄関の外壁に両面テープで固定した。 Dsc01555 デコパネ(ポリスチレン樹脂)は、近くのホームセンターでたまたま見つけた極めて軽くてしかも意外に丈夫な板素材である。ポリスチレンも接着できるという接着剤が、最近売り出されているのでそのテストの意味もあって買ってきた。

 デコパネをハサミや、カッターで簡単に切り離し、接着剤で固定する。考えていた構造をあっという間に作ることが出来た。重いものは載せられないが、ループアンテナくらいなら問題ない。ガムテ―プでアンテナを仮止めする。

 ケーブルは、ルーバー型の換気窓の下を通す。見映えはいまひとつだが、無事、地下の工作室から、玄関先の換気窓のところまでケーブルがつながった。勇躍、受信テストに入る。しかし、アンテナを外に出しても感度は殆ど改善されなかった。期待していただけにがっかりである。

4アマくらいならちょっと勉強したら合格できるかも?(11/17/2018)
 RFの世界を調べ始めて、どんどん深入りが止まらなくなっている。今まで避けて通っていたアマチュア無線の世界でもある。見ること聞くことが、とても新鮮で物珍しい。危険だ。ここもオーディオ同様、やりだすと止まらない趣味である。

 それでも誘惑に耐えられず、ウェブで昨今のアマチュア無線界を覗いてしまった。色々面白い。無線の資格が昔に比べると全く変わっている。4級というクラスまである。これが昔の電話級という初心者向けのライセンスのようだ。

 試験問題までウェブで見ることができる。試しに電波工学のところを全く復習せずにやってみた。10問くらいですべて選択問題である。解答を調べる。おお、70%くらいの正解率だ。これはやれるじゃないか。ちょっと楽しみになってきた。

 とはいえ、アマチュア無線を活発にやろうという気は何故か盛り上がってこない。電波の送信だけがやってみたいだけなので、これ以上の具体的なステップには進まなかった。

驚くべき中華ラジオの世界。オールバンドラジオがたったの1500円!(11/19/2018)
 我が家にはだいぶ前から携帯ラジオがない。リファレンス機器として一台買うことにした。災害への備えにもなる。

 適当なものを探すためウェブで調べ始めて驚いた。何とたったの¥1500台でオールバンドラジオが売り出されている。もちろん中華製だが、どうも日本のELPAのコピー品のようだ。だめもとで注文してみる。 Dsc01544 ほどなく到着し、早速試聴した。これがなんと、これまでのHFコンバーター付きのRTL-SDRドングルより感度が高い。地下のPC横の外部アンテナなしでNHK第一が楽々入感する。ニッポン放送などドングルでは入りにくいものまで聞こえる(ノイズが多いが)。すっかり肩の力が抜ける。

 あわててドングルの前段につけるHFアンプを発注する。ドングルといえども、もう少し感度を上げておきたい。HFアンプは、これまた多種多様のアンプが販売されて適当なものを見つけるのが大変だった。少しづつスペックが違う。Dsc01554 RFアンプはともかく、この¥1500台のラジオは家族に強奪された。手芸の時にラジオが一番落ち着くのだそうだ。

2万円以上するSDRドングルがあるそうな(11/28/2018)
 話は発散するばかりで止め処がない。ソフトウエアラジオ(SDR)には、別のオールバンドSDRがあるということを知る。RTL-SDRドングルは8ビットADCだが、これは12ビットサンプリングである。さらにLNA(ローノイズアンプ)が付いている。

 紛らわしいがSDRplay RSP2という名前で、イギリスの製品である。アマチュア無線家が本国から輸入して実際の局の運用に使っているレベルのようだ。ただし価格は 2万円以上する。いずれ中華パチものが出てくると思うが、今のところその情報はない。だいぶん迷ったが、結局、買うことは見合わせる。

デコパネのループアンテナが案外感度が良い。3D-2V同軸ケーブルと接続(12/2/2018)
 格安のモノタロウから50mで¥4000(メートルあたり¥80!オヤイデだと¥200以上)の3D-2Vケーブルが届いた。とりあえず30mで切って両端にSMAプラグを付ける。将来2階のベランダにアンテナを上げても届く長さにした。 Dsc01552 再発注して届いた圧着ペンチで本格的な、コネクターのかしめの仕事をする。この圧着ペンチはアマゾンで売られている格安のペンチ(¥1500 足らず)で、型番はTU-301Gである。秋月で買った、かしめ用のSMAプラグの各部のサイズとどうも0.1ミリほどの誤差があるのが気になったが問題なく圧着に成功した。

 アンテナは、棚で味を占めたデコパネで作る。30cm四方のループアンテナを作った。デコパネなのでフニャフニャだが、沢山巻かなければ大丈夫だ。Aitendoで手に入れたポリバリコンをミニブレッドボードに実装し、中波帯は同調アンテナにする。Dsc01553 秋月で買った精密級(?)のLCRメーター(LE5000)が大活躍である。14ターンで190μHで、4連のポリバリコンをすべて並列にして400pF足らず。これで中波帯が入るはずだ。念のためフランクリン発振回路に入れてみた。見事に、500KHzあたりの発振を確かめた。

遂にJJYを捉えたか(12/7/2018)
 このあいだのテストで外に出しても余り感度が変わらないことがわかったので、アンテナを1Fのサンルームの三脚(ライブカメラ用)に固定して、アンテナのテストに入る。ポリバリコンはつけたままで同調形の中波用になっている。

Dsc01556 アンテナ出力は、ピックアップコイル(3ターン)を同時巻きし、同軸ケーブルで受信機までつなぐ。結果は上々で沢山の放送局が聞こえる。ポリバリコンで感度の高い周波数帯域が移動することを確かめる。AGCをかけないと、大電力のNHK第一や、FENは出力が大きすぎ歪んでしまうほどだ。

 いよいよ、40Khz帯の探索だ。ポリバリコンにさらに並列に0.03μFのセラコンを加え、ドングルの前にHFアンプを加えて、ソフトウエアラジオのSDR#を100Mhz帯にセットする。

 左側に、局発の100Mhzの大きなピークが映り、右横の周波数帯をrangeバーで広げて、出現するピークを慎重に調べて行く。ヘテロダイン方式の受信機は、とにかく混変調を起こしやすく(自分で別の電波を作っているので)、至る所にあらわれるイメージ波に用心しないといけない。

Ws000014 すると、40Khzより少し低いが、数Khz手前の38.5Khz近辺に出力が間歇的に上下する電波を発見した。ラジオをCWモードにするが、JJY時報のようなパルスは捉えられない。暫く、周辺を探索する。HFコンバーターは中波でも数Khzの誤差が出ているので、これがどうもJJY臭い。

 JJYは毎時15分と45分にJJYのコールサインをモールスコードで発信している。何回かこのタイミングで耳をそばだてたが、聞き取ることは出来なかった。 Ws000017

 確かな証拠は見つけられなかったが、これがJJYの40Khzである可能性は高い。RFの世界の探索は今後も続けるとして、JJYを見るというテーマはこのへんで一段落して肩の荷を下ろすことにする。

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2018年10月31日 (水)

JJY電波を見るため、RF(高周波)の世界に踏み込む

 当研究所で最後まで残った未踏のフロンティアはRF(高周波)である。実はRFには思い入れがあって、何となくこれまで避けていたのだが、ひょんなきっかけでどっぷり踏み込むことになった。

 前にも少し触れたと思うが、所長は60年以上昔の中学生の頃、アマチュア無線に熱中していた。電話級が出来る前の2アマの国家試験は一次が合格し、二次は修学旅行と重なったため(試験は受け直せても修学旅行は一度きり)受けずにそのままになっている(当時は一次試験合格有効期間が10年あった)。

 修学旅行で秋葉原に行き、ガード下の真空管屋さんで、807と5U4G(パワー出力管と整流管)を買い込み、後生大事に持ち帰った記憶がよみがえる。結局、電源トランスが高くて買えなくて、送信機を自作するところまで行かなかった。

 その代わり、6ZP1(いや懐かしい)という一般ラジオ用の出力管で、近くの悪友と勝手に電波を飛ばし遊んでいた(豆電球にループ線をつけ、出力コイルにかざすとマイクの音に合わせて明滅し楽しかった)。そんな今になっては時効になった様々な思い出がある。

 そのうち受験勉強が忙しくなって、結局、無線免許はとりそびれた。そんなトラウマがあるのか、電子工作を始めてもこの世界はあえて封印していたのだが、JJYの電波時計リピーターを開発しているうち、遂に、RFの世界に再び入り込む誘惑に耐え切れなくなってしまった。どんな状況になったか。詳しくは以下の作業記録で。Dsc01506

スペアナが欲しいが高い(10/1/2018)
  そもそもは、JJYの標準電波がどの程度、この研究所に来ているかを調べたかったのがきっかけである。軽い気持ちで作ったJJYリピーターは十分な出力があるはずなのに少し離れるとノイズっぽくなって受信が出来なくなる。このままではリピーターをかなり時計に近づける必要があり実用性が低い。

 受信出来なくなるのは、本家のJJY電波(40khz)と干渉しているからだと思われるが、本当に干渉しているかは単なる推測で確かめたわけではない。リピーターを60khzにすれば解決するのかも知れないが、そうなると受信側も対応が必要で面倒だ。

 こういうことを検証するには、何と言ってもスペクトルアナライザーが一番である。来ている電波を適当なアンテナなどで受けてスペアナで調べれば一発で解決する。しかし、スペアナは、オシロに比べると中華の安値革命がまだ起きていないと見えて、どれも高価である。いくら安くても10万円近くはする。

 参考書などを手に入れて、少しまともに調べ始めたのだが、長波帯までカバーするスペアナはやはり本格的なものでなくては無理で、そういうスペアナは50万円以上する。PCにUSB接続するハンディなものでも100万近くするのはざらで、とても手が出せるものではない。

 どうしたものかと考えていたら、そのうちウェブ上で恰好のものが見つかった。サウンドカードのアナログ入力を利用したPCで動くソフトウエアのスペアナである。実際に動かして、JJYの電波をとらえている記事も複数見つかった。

 Spectrum Labというのが定番のようだ。主な測定対象はオーディオ帯域のようだが、最近のサウンドカードはスーパーオーディオCD(SACD)の普及で、長波帯(40Khz)くらいは軽くカバーしているようだ。当研究所のメインPCのサウンドカードも48khzサンプリングで、何とか聞こえるのではないか。

Spectrorum LabでPCサウンドカードのスペアナを狙うも失敗(10/2/2018)
 早速、このPCのフリーのスペアナソフトSpectrum Labを使わせてもらうことにする。ドイツのアマ無線家(DL4YHF)の開発で、凝りに凝った機能がてんこもりである。いかにもドイツ人らしい緻密な構成だ。アマ無線家御用達のようで、多種多様な使い方の紹介があり、何から始めて良いのか全く見当がつかない。ただ、わずかだが日本語の解説ページがある。

 しかし、日本語でも専門用語が多く理解するのにひと苦労だ。幸い、このソフトでJJYを受信しているサイトがあったので、それを頼りに導入を進めた。ダウンロードは順調に終わり、動作させると画面上に一定の範囲の周波数帯域の受信スペクトルが出始めた。

 全体の電波の受信スペクトルが時系列で画面上を滝のように流れて行く(WaterFallと呼ばれる)。素晴らしい。しかし設定が難しくて、JJY電波の40khzあたりの受信帯域になかなかならず、エラーになることが多い。

 しかも、やっとのことで帯域の設定が出来ても、肝腎の電波が出てこない。念のため、埃を払って自作のSG(シグナルジェネレーター)を持ち出して、その出力をアナログ入力につなぐと20khz以上では出力が消える。Ws000010

 そのうち大変なことに気が付いた。現在のメインPCのサウンドカードは、古い、ゲームポートがまだついている48khzのCreativeのサウンドカードである。48khzサンプリングで見える周波数はその半分の24Khzであることに今更のように気が付いた(シャノンの定理)。

 道理でSpcetrum Labの画面では、24khz以上のホワイトノイズが綺麗に下がっているわけだ。やれやれ、ハードウエアがサポートしていないので、40khzの受信は、この手持ちのサウンドカードでは無理なのである。暫し呆然とする。

サウンドカードを新調するもこれも受信せず(10/7/2018)
 こういうところで簡単にやめてしまわないところが所長の取柄である。漱石の「坊ちゃん」ではないが、若いころから、これで苦労している。負けず嫌いとも言うが、この年になってこの性格が自分にとって良かったかどうか長期的に判断すれば、どうみても赤字決算だ。

 決して褒められる性格ではない。しかし精神衛生上は、間違いなくこちらの方がストレスは少ない。自分の気持ちに正直にこだわっている方が、色々なことを我慢して別の道にいやいや進むより、気分的にははるかに楽だからだ。

 ということで、懲りずにネットで最近のサウンドカードの動向を恐る恐るリサーチする。折角、ソフトを入れたのだから、サウンドカードそのものを取り替えてやろうという算段である。すると、96Khzや192Khzサンプリングのスーパーオーディオのサウンドカードが次々に見つかった。Ws000012

 価格も3000円程度であることがわかった。10万以上するスペアナのことを考えればただのような安さだ。喜び勇んでサウンドカードをウェブでポチッた。アマゾンで注文して3日で届いた。いそいそと、これまでのカードをはずして装填する。

 ところがどっこい、こいつがうまく行かない。帯域の設定は明らかに前のカードに比べれば楽になり、簡単に96Khzあたりに設定がエラーなしに出来るようになったが、受信しないのである。自作SGの出力をパスコン(0.1μF)経由で直接アナログ入力に接続しテストを進める。

 すると前のカード同様、24Khz以下では活発に波が出るのに、それ以上になると全くピークがでてこないことがわかった。その代わり、24khzより低い周波数を発生させていると、高調波の形で、派手に40Khz以上の波形が出始める。

 何ということだ。こいつもアナログ系はどうも24Khzを境にLPFをかけたように感度が極端に下がる。もしかすると本当に音声帯域のためのLPFが付いているのかもしれない。

ちゃんとLPFのカットオフ周波数は100Khzになっていた(10/10/2018)
 こうなると、もう止まらない。高額でないにしろ新しいカードを準備したのだ。このまま黙って引き下がるわけにはいかない。 

 サウンドカードをもういちどPCスロットからはずして、オーディオジャック近辺のプリント配線を、実体顕微鏡を使って調査する。もしかしたら、このアナログ部分にCRフィルターがかかっているのかもしれない。それなら、このLPFをバイパスしてやれば良い。

 プリント基板をいじろうという大それた目論見だが、乗り掛かった舟である。このあたりの表面実装部品は、1608程度の大きさなので、何とか手ハンダで修正が可能だと思う。

 20倍の実体顕微鏡で調べたところでは、確かに、オーディオジャックから音声チップに入る前に、それらしいアナログ回路がついている(写真の赤丸で囲ったところ)。Line もMicの入力もどれも、一段のRCフィルターがついているようだ。

 配線の済んだCRの定数は正しく測定することは出来ないはずだが、秋月の精密級LCRメーター(LE5000)は、2点間の合成LCRを出してくれるという触れ込みなので測ってみる。何かもっともらしいCR値が現れた。得た値をウェブの早見表ソフトに入れカットオフ周波数を調べる。Dsc01541

 測定できた定数は、LineもMicも違った値だったが、奇しくも2つともカットオフ周波数は100Khz近辺で、96khzサンプリングというスペックと符合する。ちゃんと通しているように見える。

 さてどうしよう。このCR部分が本当にLPFになっているかどうかの確証が得られないまま、このカードの配線をいじる勇気は生まれてこない。この方法は少し棚上げにするしかないか。

高周波増幅回路の横道に入る(10/12/2018)  
 ウェブには、電波時計の受信モジュールを使うのでなく、スクラッチからJJYの受信機を自作して受信に成功しておられる方の記事もいくつかある。その中には、FETを使った高周波リニアアンプの回路図も載っている。

 そうか、アナログ入力の前にアンプで増幅しておけば電波が見つかるかもしれない。アンプの回路はとても簡単である。しかも使用する高周波用のFETは、2SK241といって秋月でももう売っていない絶滅危惧種なのだそうだ。これは横道に入るのに十分な魅力的な話である。

 本来の目的に向かっているかどうかわからないが、急にアンプが作りたくなった。ウェブを探し回って、本来の定番2SK241(東芝製)の完全互換品、2SK439(日立製)が、あのAitendoで売っていることを発見し(¥120)、これだけのために、Aitendoに足を運んだ。

 高周波なので本当はハンダ付けで作るべきだろうが、とりあえずブレッドボードに配線を短くして組んでみる。回路はここを参考にさせていただいた。簡単な回路なのですぐ完成した。電源は、リチウム電池である。Dsc01508

 アンプそのものの増幅率は、SGで波を出し、オシロで入出力をモニターすれば実測可能だ。おお、これは簡単に測定できた。発振もしない。ただ中波帯(1Mhz以下)では増幅率は30倍近くあるが、1Mhzを超すと、どんどん増幅が頭打ちになる。

 まあ、中長波帯では数十倍あるので、早速、回路をサウンドカードの前段に接続しテストしてみる。残念。やはりこの程度の増幅では、リピーターの40khzも本来のJJYも受信不能であった。

さらに中華SDRドングルを買ってしまう(10/16/2018)
 八方塞がりである。何をやってもうまく動かない。しかし、ここまで無線に目覚めてしまったので、このまま引き下がるわけにはいかなくなった。あきらめきれず色々調べているうち、さらにJJYを受ける方法があることがわかった。ワンセグチューナーのドングルである。

 夢中になってウェブを探索する。これまで避けて通ってきた道なので、RFの世界は知らないことが多くて興味が尽きない。スペクトルアナライザーに関連したところでは、ワンセグのテレビを視聴できるUSBドングルが流行っているようだ。Dsc01507

 たったの20ドル近くで高性能のデジタルレシーバー(Software Digital Radio)が手に入る。本来は欧州仕様のTVワンセグチューナーのドングルだが、これも欧州のアマチュア無線家が開発したソフトを使うと、FM受信機や、航空無線の傍受用に早変わりし、VHFのスペアナにもなる。

 調べているうち、VHF帯だけでなく、長中波やHF(短波)も聞けるオールバンドラジオになることを知った。ふーむ、これならJJYもこれで聞けるかもしれない。

 このあいだのCNCマシン同様、同じような形をしたドングルが市場に出回っていて、やたらと種類が多い。代表的な、というよりオリジナルはRTL-SDRと呼ばれるドングルのようだ。色々調べた結果、ドングルではなくHF帯も受信できるソフトウエアラジオのセットを注文した。これもアマゾンで発注して3日で届いた。Ws000011

 アンテナを普段使っているTV/FM用の同軸ケーブルにつなぐと、FM放送などは簡単に受信が出来た。長波帯の受信を試みる。しかし、残念なことに、こいつも1000Khz以下は極端に感度が下がる。VHFは快調に受信するが、HF帯はまともなアンテナをつけなければ無理なようだ。

 スペック上は100khz以上ということで、受信方式はダイレクトサンプリングなので、少し感度が低いということをあとで知った。 

はてはHFコンバーターも発注(10/20/2018)
 もう際限がなくなってきた。前から秋月で気になっていた高周波用の同軸コネクター関連のパーツを手当たり次第にウェブでポチっている。まず、SMAコネクターまわりが気になって、ケーブルやコネクターを買い込む。Dsc01509

 安いので、知らずにリバースSMAのケーブルを買って、刺さらなくてあせって、あわてて変換プラグを注文したり、FケーブルからSMAの変換プラグ(厳密にはインピーダンスが合わないので国産にはない)を発注したり、はては、同軸ケーブルの圧着工具(安い中国製)まで注文したりして、もう錯乱状態である。

 そのうち、ダイレクトサンプリングではなく、スーパーヘテロダイン方式(だと思う)のHFコンバーターがアマゾンに出ているのを発見した。これなら長波帯までカバーしているので受信ができるかもしれない。

 完成品は少し高いが(¥6800)、キットでも頒布されていることがわかった(半額)。少し迷ったが、高周波基板の勉強のつもりでキットで手に入れることにした。日本の個人の方が開発されているというのも心強い。

 メールで申し込んだら、すぐ返事があり、お金を振り込むと3日も経たないうちに家に届いた。アマゾンに頼んだ諸々の部品や工具はまだ届いていないというのに、驚くべき速さだ。

 封筒を開けてみて、予想通りの細かい部品に、いささかたじろぎ、これまでのようにすぐ制作にとりかかる余裕が生まれてこない。そこで、このブログの記事を出した後、一度気分を落ち着かせてから着手することにする。

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